先日姫路市内を走る神姫バスの「城周辺観光ループバス」に関して取り上げましたが、MAKIKYUは先月姫路でこのバスに乗車した後、神姫バスの一般路線にも乗車しており、その際にやって来た車両は、三菱ふそう製のノンステップバスでした。
俗に「NEW AEROSTAR」と呼ばれる最近の三菱ふそう製大型路線車は、ノンステップ車も全国各地で多数が活躍しており、NEW AEROSTARのノンステップ車自体は特に珍しいものではなく、非常にありふれた存在ですので、MAKIKYUとしては特に有り難味を感じる車両ではないのも事実です。
この車両の99.9%程度は前中扉配置となっており、更に後輪後部にも扉が設けられている3扉車(成田空港内のターミナル間無料循環バスなど、幾つかの使用実例があります)を見かけただけでも、かなり珍しい車両に遭遇したと感じるものです。
この事はリアエンジンのノンステップ車では、中扉から後部の床が高くなる構造を考えると当然といえ、ノンステップ車に限らずワンステップ車も含めた低床車が幅を利かせるようになった最近では、今まで前後扉のバスを多数導入してきた関西などにおいても、前中扉車ばかりが導入される大きな要因になっていますが、こんな事を書くと、前後扉では低床バスは…と考える方も多いかと思います。
勿論神姫バスにおいても、比較的古い車両は概ね前後扉車であるものの、最近導入されている車両の大半は前中扉となっており、姫路市内でも前中扉のノンステップ車が走る姿は多数目撃していますが、中には「ノンステップ・前後扉」という他に類を見ない車両も存在しています。
この車両は神姫バスでも本格導入された車両ではなく、メーカーの試作車を購入した車両という事で、狙ってもなかなか遭遇できる車両ではないのですが、MAKIKYUが姫路を訪問した際には、以前にも何度かその姿を目撃しており、先月姫路で乗車した三菱ふそう製ノンステップバスもこの車両でした。
MAKIKYU自体が姫路はもとより、関西圏自体に地縁のある人間でもないですので、こんな車両に乗車したのは初めてでしたが、車内は1+2列の座席が通路から一段段上げされた状態で並んでおり、ノンステップ部分は通路のみという状況になっています。
また通常のノンステップバス(前中扉)では、中扉が車椅子乗車口も兼ねる構造となっており、扉下部に手動スロープ板が備えられている車両が多いのですが、この車両は後扉から乗車して通路を前に進むにも、構造上後輪部分のタイヤハウスが出っ張っている事もあって、ここは車椅子が通れる幅は確保されていません。
そのためノンステップバスにも関わらず、車椅子での乗車は困難な車両となっており、通常の路線バスに比べて割高であるにも関わらず、一般的にはバリアフリーの観点から補助金が支給されて導入が進められる事が多いノンステップバスの性質を考えると、極めて異色の存在と言えますが、この事もあってか、ノンステップバスでは前面行先表示器脇などに当たり前の様に見かける「車椅子マーク」が掲出されていないのも大きな特徴です。
その上メーカーの試作車という事もあってか、この車両は機械式オートマチック車となっている事も大きな特徴で、こんな車両は実用上の使い勝手は決して良いとは言えず、他事業者も含めて量産される事はまずないと思われる代物ですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も姫路を訪問され、見るからに異様な雰囲気を放つこの前後扉ノンステップ車を見かける機会がありましたら、是非一度乗車してみては如何でしょうか?
写真は姫路駅前を走る前後扉ノンステップ車(姫路駅前での降車後に撮影しましたので、行先表示は回送になっています)と、その車内の様子です。
名古屋市交が初期に導入した3ドアノンステップ車にも乗ってみたいものですね
この前後扉ノンステップバスは、エンジン搭載スペースの関係などで、最後尾座席へのアプローチも随分な工夫が必要となり、この様な車両は殆ど見かけませんので、見るだけで違和感がありますね。
また使い勝手が悪い車両という事もありますので、バリアフリー車両の導入が求められる今日では、まず普及は望めない代物ですが、それでもこの様なバスが製造可能である事を示す点では、貴重な存在ですね。
あと3扉ノンステップバスは、国内では名古屋市営以外にも成田空港交通(成田空港内ターミナル間無料循環バス)や南海バスなどに事例があり、前者はこちらも乗車した事がありますが、こちらは成田空港に出向く機会があれば、今なら比較的容易に乗車できます(他にCNGノンステなども走っていますが…)ので、興味があれば早めに乗車された方が良いかと思います。