JR西日本では昨年ダイヤ改正が実施され、北陸本線が敦賀まで直流化されて新快速が延長される様になって注目を集めていますが、これに伴う新型車両521系の導入に伴って一部編成に廃車が発生したものの、まだ走り続けている事が不思議に感じられる車両が今日取り上げる419系電車です。
この車両は国鉄末期の1980年代中頃、旧型客車列車置き換えを目論むものの大赤字で新車導入にはなかなか手が回らない旧国鉄(JNR:日本国有鉄道)が苦肉の策として、余剰になっていた世界的にも異例の昼夜両用特急型電車・581・583系を近郊輸送用に転用したもので、交流専用車の715系と、交直両用車の419系の2種類が存在しました。
この内715系は仙台と九州地区に、419系は北陸本線に配属され、国鉄民営化後715系はJR東日本・JR九州の2社に、419系はJR西日本に引き継がれましたが、元々が昼夜両用で使用されていた車両で、それもかなりの経年車という事もあって、715系は後進の新型電車登場によって淘汰され、せいぜい九州の門司港にある九州鉄道記念館で特急時代の塗装に戻された保存車が存在する程度です。
しかし419系は交直両用車という特殊性と、経年車を長く使う事に長けたJR西日本に配属されたという事もあって、最近一部編成が廃車になったとはいえ、風雪や塩害の影響を大きく受ける事が想像される北陸地区において今でもしぶとく生き残っており、改造から20年以上を経過した現在でも走り続けている事自体が奇跡的といえます。
(ちなみに以前MAKIKYUが九州鉄道記念館で保存されている715系を見学している際に係員の方と話をする機会があって、まだ北陸には類似車両が現役で…と話すと驚いていた位です)
この419系はかつて特急として活躍していた頃は9~12両程度の長編成で運行されていたものの、近郊輸送の普通列車では3両(419系)・4両(715系)という短編成(通勤時間帯などは2編成併結)で運行される事から先頭車両が不足し、原型の先頭車の他に先頭車化改造された車両も多数存在(こちらの方が多いです)するので、編成の前後で前面デザインが異なる編成が多く、また改造先頭車は切妻のなかなか強烈な形状をしているのも特徴です。
しかし最近JR西日本では、近郊・一般型車両の先頭車化改造車が数多く登場し、その中にはこの車両を凌ぐ程の強烈なモノも数多く存在しますので、419系を見てもあまり違和感を感じない様に思えてしまうのは気のせいでしょうか?
写真は419系電車の前面(特急時代からの原型と先頭車化改造車)です。
車内の様子については(2)で取り上げたいと思います。
JR西日本の国鉄型車両改造は、確かにかなり強烈な印象を受けるものが多く、新車の如くリニューアルした車両から、最低限の改造で済ませたものまで様々ですが、バリエーションが色々ありますね。
特に113系等は凄まじく、N40の様にかなりハイグレードに感じるものから、福知山線ワンマン改造車の前面の様に旧国を凌ぐものまで多種多様で、なかなか興味深いものです。