還暦直前に心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症弁形成術体験記)

還暦を目前にして滋賀医大の浅井徹先生の執刀で僧帽弁形成術を受けました。
私の体験が同病の方の参考になれば幸いです。

滋賀医大で精密検査-3

2010年10月14日 | 診断確定
続いてスケジュールの話になり、手術を10月頃にお願い出来ないか聞いてみました。
すると秋は学会シーズンで出張が多く予定を立てにくい、それでもう少し早い方(9月とか)がいいのではないかと・・・・
いろいろ迷いましたが8月23日に診察を予約し、その時にスケジュールを詰めることになりました。
ということで弁膜症が発覚して2日目にもう【手術決定】です。
したがっていろいろと考え込む間もなかったです。

次は費用についての話でした。
総費用として約400万円(弁置換の場合はもう少しプラス)かかるが、身体障害者と更生医療の申請により自己負担は10万円以下ですむ、認可まで少し時間がかかるが多分OKでしょうとの説明でした。
心臓が悪いと身体障害者?
更生医療って?
初めて聞く言葉です。
ただ、その時はいろんな思いが頭の中をぐるぐる回っていたので、なんのことかよくわからないままでした。

その他
自己血の貯血はしない、以前はしていたが止めた
輸血も多分無くていける
との説明がありました。

いよいよ最後の最後になり、事前に作成してきたメモを見ながらいくつか質問しました。
(メモを取っておかないと忘れてしまいそうでした)
生活の注意点は?
今まで通り普通に生活して良い
旅行は?
OK
献血は?
(数秒後)控えて下さい
献血ができないのは少し残念だけど、今は自分の体の方が大事だよね。
聞く方も聞く方か?(笑)
実は3年ほど前から年に3回の献血を続けており、7月上旬には献血に行く予定だったのです。

そして立ち上がったとき、浅井先生から名刺をいただきました。
続いてニコニコしながら右手を差し出されました。
えっっ、握手??
戸惑いながら私も右手を差し出し、握手させていただきました・・・・
「がんばりましょう」
「はい、よろしくお願いします」
名刺くれたり握手を求められたり、病院でこんな経験は生まれて初めてです。
そのせいか、なんだかハイな気分のまま病院を後にしました。
浅井先生とはその後何度も握手しました。手術日にはツーショットで写真も撮りました。
入院中は100枚以上写真を撮りましたが、これは宝物です(笑)


いただいた名刺です。

その後入院に到るまでの2ヶ月間は、いっぱい勉強しました。
なんの予備知識もないままに、弁膜症と診断されて手術まで決めてしまったってわけですが、その後の勉強で浅井先生が国内有数の心臓外科医であることがわかり、大船に乗った気分というか、とても楽な気持ちになりました。

そんなわけで、滋賀医大心臓血管外科浅井先生を紹介していただいた、ヴォーリズ記念病院の寺尾先生にも感謝感謝です。

滋賀医大で精密検査-2

2010年10月13日 | 診断確定
待って待って・・・結局呼ばれたのは11時過ぎでしたが、中待合いでまた足止めです。
ところが後から呼ばれた患者さんが先に診察室に入ったりして、またまた豆パパさんは飛ばされる運命に・・・・
これでいよいよ、私の予測は間違いないとますます確信を持ったのでした。

この待ち時間の間、中待合いに掲示されている滋賀医大の心臓手術数の全国ランキング、近畿ランキング、浅井先生の雑誌、新聞等のインタビュー記事などを読んでいました。
へえー、ここってなかなか凄い病院で凄い先生がいるんだ・・・・なんて。
今頃感心しています。

ところで診察室からは先生の大きな声が外まで聞こえてきます。何だか豪快な医者だなあと思っていたわけですが、11時半になってようやく呼ばれました。
声は大きいし背は高いし、ちょっと引きながら診察室に入っていきました(笑)
(実際はとても優しい先生ですよ)

診察時間は1時間ほどでした。検査はすべて終了していたので、心臓の模型を使っての心臓の構造と弁膜症および検査結果の説明が大半でした。
それで私の僧帽弁閉鎖不全による逆流の程度は、大変悪い状態(重症)であると聞きました。
ヴォーリズ記念病院では中等度よりやや悪いと聞いていたのでそれよりもさらに悪い状況でした。もう十分手術して良い段階まで来てますよ・・・と。
えっっ、手術? 一瞬、耳を疑いました(覚悟が十分ではありません)。

心臓そのものは現在のところ、検査結果に正常範囲外のデータはないが、左心房の大きさが正常範囲ギリギリ。また、左心室の心筋が肥大しかかっているとの説明でした。
このままほっとけば、早晩左心房細動(不整脈)が出て肺高血圧症になり、右に回ってやがては心不全を起こすとの説明を聞きました。
それって、ほっといたら死ぬかもってことです。

そして再度、十分手術して良い段階まで来ていると言われ
どうしますか?
お家の方と相談し、連絡いただけますか?
と浅井先生。その声を聞きながら頭はフル回転していました。

私自身の体のことなので、他人と相談したところで結論を出すのは自分だし、時間を浪費しても仕方がありません。清水の舞台から飛び降りる決断をしなければ・・・・
・・・・手術をお願いします(ペコリ)。
えいやっと決断しました。
優柔不断な私にしては早い結論です。勇気を出したという気もあまりしないのですが。

というわけで、しばらく様子見ましょうという話にはなりませんでした。

滋賀医大で精密検査-1

2010年10月12日 | 診断確定
6月30日の朝8時過ぎに病院のJR最寄り駅で降り、病院までタクシーに乗りました(ちょっと贅沢)。
所要時間は10分あまりで案外近いです。車でも高速のインターから5分くらいなので、ごく近いのですが・・・・一度は車で行ってみようと思いました。

診察予約票に書かれていたように、地域医療連携窓口で健康保険証と予約票、CD-ROMや紹介状の入った封筒を渡しました。他病院から紹介を受けた患者が初めて訪れるときは、この窓口に行くシステムのようです。

受付後約10分後に呼ばれ、必要なものの入った緑色半透明のビニールファイルを渡されました。
この病院は初めてなので作ったばかりの診察券と、私が渡したものが入っています。
心臓血管外科外来に行き、このファイルを渡すよう指示されました。

心臓血管外科外来受付に行くと、しばらく休んだ後血圧測定するよう言われました。受付の横に自動血圧計があります。5分ほどベンチに腰掛けて休憩した後血圧を測定し、結果をプリントアウトし受付の女性に渡しました。この時で時刻は9時少し前でした。
ところで血圧はここ数年無いくらい高かったです。こんな数値で良いのかというくらい。
初めての病院なので緊張して高く出たのでしょう。

さて、誰も呼ばれないまま時間が過ぎます。ようやく9時半頃になって私の名前が呼ばれましたが、心エコー検査が必要とのことで、検査部を案内されました。
検査部の受付に行き、そこで10分ほど待った後、検査室から呼ばれました。
こちらでは検査部は独立した組織のため、専門の検査員により検査を受けました。

検査時の姿勢はヴォーリズ記念病院の時とは異なり、最初は左側に真横の姿勢。この姿勢が大半でしたが、その後斜め左向き(この姿勢を続けるのはいささかしんどい)、最後に仰向けになり終了。仰向けになったときモニターが見えましたが、とてもカラフルでした。

データはLAN経由で心臓血管外科に送られるとのこと。昔は検査データを受け取ってまた診療科に出すということをやってましたが、今はネットワーク化されていますね。

10時頃に心臓血管外科に戻り、窓口で心エコー検査終了を伝えました。
ところが、、、、それから待てど暮らせど呼ばれません。なぜだぁ?
後から来た人が先に呼ばれ診察室に入っていきます。
ん、豆パパさんは飛ばされてますよ。

考えを巡らせた結果、僧帽弁閉鎖不全症は間違いのないところで、重傷度が相当悪く手術が必要なのではないか、それで時間をかけてゆっくり説明しようと浅井先生は考えておられ、予約診察の最後の方に回されたのではないかと結論づけました。
それでもまだ心のどこかでは、しばらく様子を見ましょうと言ってくれるかもしれないと、一縷の望みを抱いていました。

レイアウトを変更しました。しばらくは試行錯誤が続くかもしれません。

ヴォーリズ記念病院で精密検査-2

2010年10月11日 | 診断確定
それって・・・・
最悪の予想的中です、はい。しかも中等度より悪い・・・・
しかし心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症)と聞いても、それほど大きなショックはありませんでした。

オフクロと同じ心臓弁膜症かあ、親子でねぇ、という感じで・・・・・でもさすがに何秒間か目は焦点を失い宙を泳いでいた・・・ように思います。
その間は、寺尾先生が何を仰ったかよく覚えていません。
超音波エコー検査はこれで終わりました。検査の所要時間は20分くらいでした。
予定されていたホルター心電図検査は、一旦キャンセルとなりました。

しかし、親子で弁膜症になる確率っていうのはかなり低いと思われるので、ある意味で凄い当たりクジ? を引いたのかもしれません。

さて、それで手術適応かどうかは微妙な段階でもあるし、専門医を紹介するから手術適応も含めてそこで診てもらったらどうかということで、心臓外科のある病院を紹介いただくことになりました。
そして紹介いただいたのが滋賀医大附属病院です。心臓血管外科の浅井先生に電話で都合を聞いていただくことになりました。

最悪、手術なのかなあ? こんなに元気なのに・・・・
でも、なるようにしかならないしなあ、というのが偽らざる心境でした。

そして次は、トレッドミルを使った運動負荷検査です。
これは特に問題なく、結果はOKでした。

キャンセルになったホルター心電図検査はやることになり、診察室に呼ばれ機械を取り付けられました。あらまあ、自動血圧計付きです。
これでこの日は帰宅しましたが、今夜は、風呂もシャワーもアウトです。

翌日、仕事は午前のみで午後は帰宅し、ヴォーリズ記念病院でホルター心電計を外してもらうことになっていました。
仕事が終わり更衣室で着替えていると(着替えはけっこう難儀です)携帯が鳴りだしました。発信は妻からで、結論として翌日の水曜日に滋賀医大の浅井先生の診察をお願いすることになりました。
これで3日続けて会社休みです。まあ、でも善は急げですから。

再度訪れたヴォーリズ記念病院でホルター心電計を外してもらった後、滋賀医大への紹介状、CD-ROMに焼いた検査データ、滋賀医大の診察予約票を受け取り帰宅しました。

ホルター心電計の結果は一週間後の診察時に聞くことになりました。

ヴォーリズ記念病院で精密検査-1

2010年10月10日 | 診断確定
6月19日の循環器科寺尾先生の診察予約を取り受診しました。
その数日前に病院に電話して心臓の精密検査をお願いしたい旨説明すると、まず一般診察を受けて下さいとのことでした。
6月19日は診察の前に、検査科で正面と側面からのレントゲン一般撮影と心電図を取りました。データは院内LANで、依頼した科に送られます。おー、さすが。

そのデータにより寺尾先生に診察いただきましたが、聴診器を当てた直後に頷きながら、確かに雑音は大きいですね、とのこと。
パソコンに映し出されたレントゲン写真の説明では、心臓の形に異常はなく心胸比も正常範囲でした。
心電図は波形の一部に狭心症のパターンが見られるとのことで、少し不安になりました。
※心胸比とは心臓の幅と胸郭の幅の比で、心臓が肥大すると心胸比の数字は大きくなります。

この日の診察はここまでで、続いて精密検査の日程を決めました。
そして精密検査は6月28日の午後2時半と決まりました。またホルター心電計取り外しのため、翌日午後も来院要となりました。

検査当日まで一週間以上ありましたが、病気かもしれないとかなるべく考えないようにしていました。考えたくなかったのかもしれません。自覚症状もなかったし・・・・

検査当日の6月28日、この日は1日休暇を取り、午前中は音楽を聴いたりと、の~んびり過ごしました。
昼食後、シャワーを浴び髪も洗って午後2時10分頃に病院に到着しましたが、意外と駐車場は混んでいます。
受付後、看護師さんから検査室に案内されました。
上半身裸になり、左を下に向けて検査用ベッドに横たわりました。寺尾先生自ら超音波エコー検査機を操り、プローブを心臓を中心に体のあちこちに当ててはボタンをピー。

最初は検査機に背を向けた格好でしたが、仰向けに姿勢を変えるよう指示されると、私にもモニターが見えます。心臓が拍動しているのが見えます。止まってたら大変です・・・(笑)
それにしても赤や青に着色された画像は何だろう?(カラードップラー法なんですね)
この検査で診断がついたようで、
「弁膜症のひとつ、僧帽弁閉鎖不全症です、進行の程度は中等度よりやや悪いぐらい。」
という内容で、病名と重傷度を告げられました。
(この日から大きく動き出したわけです)

会社の定期健康診断

2010年10月09日 | 診断確定
私の勤務先では毎年春に定期健康診断があります。
2009年春の健康診断時の聴診の結果、初めて心雑音が指摘されました。しかし口頭ではそれ以上の説明はなく、1ヶ月後に届いた診断結果表に要観察と書かれただけでした。
これは、日常生活に気をつけなさいという程度の内容です。

それまでにも心臓に関しては、1年おきぐらいにいろいろ指摘されていました。
心電図異常が1回、洞性徐脈が2回という具合です。
これに心雑音が加わったことになります。
しかし、何も自覚症状がなかったのでまもなくきれいさっぱり忘れてしまいました。

一年後の2010年、つまり今年の春の健康診断でもやはり心雑音が指摘されました。
今回は問診の医師から、要観察にしておきますが雑音が大きいので精密検査をお勧めします、と口頭でコメントをいただきました。
しかし急ぐ必要はないですよ、検査して何もなければ安心できますからね。
との追加コメントもあり、その時点では病気につながるとの意識は全くありませんでした。

その後GWの沖縄旅行やあれこれ用事が続いたため、精密検査を滋賀県近江八幡市のヴォーリズ記念病院で予約したのは、6月も半ばを過ぎてからとなりました。

この頃妻が市の図書館で、心臓病に関する本を借りてきてくれました。
全部読む時間はなかったので心雑音について書かれたページを開いてみると
心雑音の原因は弁膜症かもしれないというサブタイトルで、心雑音と弁膜症のことを解説した記事でした。
「ギョッ」ですよね。
これはもしかしたら母と同じ弁膜症かもしれない、と少し不安になりました。

今から考えると、心雑音だけでは病気と確定できないので要観察より拘束力の強い「治療」まで踏み込めなかったものと思われます。