名古屋大学での学会から戻ってきた。
地下鉄名古屋大学駅周辺は、名古屋大学出身者が3人もノーベル賞を受賞したので、あちこちに彼らの写真入りの立派なポスターが掲げられていた。
わが大学は月曜日の年間講義数を維持するために“ハッピー・マンデー”の日も授業がある。
東京到着後、夕方から講義。休日の街は閑散としており、はたして学生が出席するのか不安もあったが、教室に行ってみると普段の8割かたは出席していた。うちの学生は基本的に真面目である。
夜自宅に戻ってから、録画しておいた“メグレ警視 深夜の十字路”を見た。
テレビのメグレ警視シリーズは、時代を第2次大戦後に移しているため、ナチスの残党や迫害された東欧系のユダヤ人などが時たま登場する。
今回の話も、そんなドイツから移民した画家とその妹が伏線として描かれている。
ただし、小説のような容疑者、犯人の側の心理を描写するうちに事件は解決に向かうというのではなく、終末近くではドタバタ劇になってしまう。
そして今回も、小説のメグレらしからぬ結末を迎える。まるでアガサ・クリスティか何かのように、関係者が一堂に会したところでメグレが謎解きを語り、犯人を指摘する。
原作がそうなっているのかどうか分からないが、テレビシリーズではしばしばこんな結末シーンにお目にかかる。小説とは違うテレビの文法に従うとこんな風にならざるを得ないのだろうか。
* 写真は、FOX CRIME(247ch)“メグレ警視 深夜の十字路”から、いつものシトロエンのめずらしく後部座席に鎮座するメグレ。
長島良三編『名探偵読本 メグレ警視』(パシフィカ)によれば、原題は“La Nuit de carrefour”。執筆は1931年5月、シムノンのメグレ警部ものの第7作目に当たる。