1月1日(12月31日の夜)、東京12チャンネルの“ニューイヤー・コンサート”が終わって、いつもより早めに寝たのだが、日ごろ寝坊をしているため、ちっとも眠くならない。
仕方ないので、寝ることは断念して、DVDを見ることにした。
年末に買っておいた“水野晴郎のDVDで観る世界名作映画”から、ジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演の“三人の名付親”を選んだ。
一見すると西部劇映画風だが、実はコメディ。
そして実は“クリスマス映画”のジャンルに入るべき映画だった。ただし、クリスマス映画といっても、雪景色があるわけでもなければ、サンタクロースが登場するわけでもない。
舞台は、西部開拓期のアリゾナ州。クリスマス前夜だというのに、街をはずれた砂漠には砂嵐が吹き荒れていて、太陽が照りつけている。
テキサスからやって来たジョン・ウェインら3人組みは銀行強盗。盗みは成功するが、仲間の1人は銃で肩を撃たれ、水もないまま砂漠の中を逃走する。
やがて砂漠の中に置き去りにされた一台の幌馬車を発見する。ようやく水にありつけるかと思ったが、幌馬車には産気づいた女が一人取り残されているだけであった。
逆に3人組みは、サボテンから水を絞り、男3人で出産を手伝うことになる。無事に男の子を取り上げるが、女は死んでしまう。名付親になるよう遺言された3人は、生まれたばかりの赤子を伴って、追っ手から逃れつつ、偶然開いた聖書のページが指示するニュー・エルサレムの町を目ざす。
やがて仲間は一人ずつ倒れ、最後はジョン・ウェイン1人が、亡くなった仲間の幽霊(“ゴースト”!)に導かれて町にたどり着く。
程なく保安官の一行も追いつくが、実は幌馬車の中で亡くなった女は保安官の娘で、ウェインが砂漠の中を抱きかかえて連れ帰った赤子は保安官の孫だった。
赤子を保安官の養子にすることに同意するのと引きかえに刑を1年に減軽されたウェインは、保安官たちに見送られて刑務所に向かう・・・。
いうなれば、西部劇版の“クリスマス・キャロル”といったところである。
砂嵐の中を逃げまどうシーンはやや息苦しくなるが、眠れない元日の夜中に見るには程よい内容であった。
ちなみに、名付親“godfather”を辞書で引くと、①教父、名づけ親;洗礼式に立会い、父母に代わって霊的指導の役割を負う、②(一般に男の)後見人、保証人、③(マフィアなどの)首領、などとなっている。
この映画では、赤子を保安官(赤子の祖父母なのに!)の養子にするのに、godfatherであるウェインの同意が必要になっている。これはまさにgodfatherが②の後見人の地位にあるからだろう。
当時のアリゾナ準州の法律を正確に反映しているのかどうか分からないが、新知識を得ることもできた。
* 写真は、“水野晴郎のDVDで観る世界名作映画”から、ジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演の“三人の名付親”(原題は“3 Godfathers”、1948年、アメリカ)(KEEP社、500円)のカバー。