映画『フォレスト・ガンプ――一期一会』(パラマウント、1995年日本公開、同年アカデミー賞作品賞受賞)を見た。「一期一会」は不要だろう。
バス停留所のベンチに座ったトム・ハンクスが隣りに座った人に向かって自分の生い立ちから現在までを回想して語る、朗読劇に画がついているような映画。
アメリカ映画の文法(そんなものがあるのかどうか分からないが)に従ったいい映画だったと思う。
障害をもつ子が出てきて、気丈な母親が出てきて、奇跡の回復が出てきて、しかし不治の病いも出てきたり、サクセス物語が出てきたりもする、そして主人公とヒロインとの純愛も出てくるという、典型的なheart-warming映画である。
足の不自由だった男の子フォレスト・ガンプ(後のトム・ハンクス)がスクール・バスに乗ると、みんなが意地悪をして座席に座らせない。一人だけかわいらしい少女ジェニーが自分の隣りに座らせる。
フォレストのジェニーへの愛を縦糸に、フォレストの大学生活、軍隊生活、実業家としての成功など彼の経験が横糸となってストーリーが展開する。
「霧のサンフランシスコ」など1970年代のポップスやニュース映像(ケネディ、ニクソンから毛沢東まで)も登場する。ぼくらには懐かしいシーンである。
思春期に見ていたら、通学のバスで毎日乗り合わせる武蔵野女子学院の女の子の向うにジェニーを思い浮かべて、声をかけていたかもしれない。
2021年8月6日 記