曇り、21度、96%
先日の帰国の折、行きの飛行機で本を読み上げたので、帰りの飛行機の中で読む軽い文庫本を求めました。「コットンが好き」高峰秀子、そう、往年の亡くなった大女優の本です。
読み進めて行くうちに、ある写真に目が釘付けになりました。 往年の大女優は、バンコクの骨董屋でこの器を買ったそうです。神器というか、仏様に供えもをするときに使う器だそうで、大女優は、灰皿として使っていると書かれています。
家に帰り着くなり、鏡の前に直行。 細部は似ていませんが、色使い、縁のひだ、足付きの様子はそっくりです。
私がこの器を求めたのは、25年前のこと。香港で求めた一番初めの古物です。
私の古物を求めるときの基準が3つほどあります。まず、好きなこと。次に、私の小さなお財布の中身で買えること。そして、毎日使えるもの。美術品でなく、欲しいのは雑器です。ですから、年代やどこの出などは、気にしません。
この器は香港で求めたのだから、ずっと中国の物と思って、この25年間いました。色彩や文様からすれば、中国でなくよその国の物では?と疑問すら25年抱いたことがありません。
24年前に、プーケットに行きました。その時、市場の雑貨やさんで求めたのが、
直径6センチのこの器です。染め付けと色絵の違いこそあれ、形や足付きがそっくりなこの器と
この古物との共通点に、なぜ思い至らなかったのかしら?恥ずかしくなるくらい、雑な我が頭。
25年にして、出自が少しはっきりしてきた我が家の器です。この器、私が出先から戻ると、時計やそのとき身につけていたアクセサリーを入れておきます。25年間、鏡の前で何も言わず、鎮座しています。