晴、18度、84%
マティスの作品のみの展覧会は日本で20年ぶりだそうです。エルミタージュ美術館の展覧会の時、2点ほど見て以来のマティスの絵画、この展覧会を昨年より心待ちにしました。五月の青空、上野の森には大勢の修学旅行の学生、海外からの団体旅行者、以前の賑わいを見せていました。
マティスがとにかく好きです。明るい色彩は後年の作品ですが、色使いの妙は色調の明るい暗いに左右されることがありません。絵画ばかりか彫刻も手がけたマティスです。日本の美術展も撮影可能な作品が増えてきました。 素描と絵画が並べられての展示も見られます。 色彩豊かな作品群は南仏に移り住んでからだと聞きます。気候や目にする景色は画家の製作に大きな影響を及ぼしています。 一つ一つの作品、メガネをかけたマティスが描いている時の眼差しを感じながら見ました。
作品の数は思ったより少なく残念い思いました。一番最後のブースにマティスの「ステンドガラス」の4K映像流れています。これが圧巻です。南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂にあるマティスが手がけた「ステンドガラス」と壁画、その礼拝堂の内部を光の動きを追ってビデオが作られています。 これは私がずっと保存している一枚の写真、祭壇背後の「ステンドガラス」です。小さな礼拝堂に「ステンドガラス」を通して入り込む光は、まるでダンスをしているかのようです。色遣い、構図共にマティスならではの空間を作り上げています。
このステンドガラスの余韻を持って美術館を出ました。東京都美術館は上野の森の一番奥に位置しています。楠の大木がいく本もある静かな道を賑やかな駅へと向かいました。楠はこの時期静かに香りを放ちます。まるで香りの洗礼を受けているかのような気分でした。