晴、6度、61%
寒くなると脂の乗った魚が出回ります。日本に帰ったら美味しいお魚が食べれると帰国したのは7年前、近くのスーパーの魚売り場には海外からの魚ばかりが並んでいました。「サバ」は美味しいと思うものはノルウェー産です。地元で獲れた「サバ」は驚くような値段がついています。地元の魚を売りにした新規オープンのスーパーも当初はいい魚が並びますが、次第に売り場に活気がなくなります。ですので週一回、スーパーも含めて魚屋を巡ります。
この冬、お野菜が高騰しています。大根、白菜、青物の葉っぱは昨年の倍以上だと聞きます。少し辺鄙な場所に「市場」があるのに気づきました。野菜や果物が並んでいます。テント張りの市場です。懐かしさも手伝って行ってみました。野菜はどこも高値です。奥に肉売り場が見えたので行くと、対面での量り売りのお肉屋さんでした。一番奥に魚屋がありました。想像していたより大きい市場です。長い間口の魚台の後ろでは、魚を捌くおじさんが4、5人立ち働いています。「アワビの刺身できました。」と常連のお客に手渡しています。並んでいる魚はほぼ福岡地元、遠くても対馬産です。家の冷凍庫にはまだお魚が入っていますが、何か買ってみようと思いました。「タイ」も「タチウオ」も新鮮なのが見てとれます。氷水に沈んでいる魚の上に「お刺身にできます。」と書かれていました。つまみ上げると「イワシ」でした。丸々太った「イワシ」、一匹の値段は「イワシ」の値段ではありません。奥のおじさんに「イワシ一匹お刺身にしてください。」と頼みました。「イワシ」がお刺身にできるほど新鮮なものは帰国以来デパートの地下で見たものだけです。福岡に入ってくる「イワシ」は宮城県、千葉県が大半、加熱しなくては食べられない距離です。刺身に造られ、氷入りのビニールが添えられて手渡してもらいました。
「サンマ」「イワシ」青物のお刺身が好きです。新鮮であれば青物の匂いはありません。「イワシ」のお造り、見ただけでも脂のノリがわかります。口に含むと脂が溶けて甘味を生みます。お肉ほどのお値段の「イワシ」のお刺身です。
お野菜を買うつもりで行ったのに買ったのは「イワシ」だけでした。帰ってレシートを見てもう一つびっくりしました。この魚屋さん、私が小さい頃母に連れられて毎日、父の夕飯につけるお刺身を買いに行った店でした。店はとっくに閉まって市内に数軒、料亭を営んでいることは知っていましたが、まさか魚屋としてこんなところにあったとは。しばらくこの魚屋さん通いが続きます。