曇、22度、95%
京都に着いたのは9時少し前、11時にお約束の友人宅は清水寺の下、産寧坂にあります。京都駅すぐ近くのホテルに荷物を預けてのんびりと歩いて行くことにしました。京都はご存知のように碁盤の目です。分からなくなれば人に尋ねます。神社、仏閣、名所は小学の中高学年の時、毎年母に連れられてやって来たので今回は行かないことに決めています。
スタコラと歩き始めました。歩くこと自体は問題ないのですが、途中失敗したなあと思います。京都の暑さです。なんと表現していいのか、暑さの質が香港とも違います。盆地のなせる技です。しかも友人宅を訪ねるために、ワンピース、普通の靴という出で立ちです。ワンピースには裏地まで付いています。まあ、五条の大橋も渡りました。もうすぐです。 大橋の上から鴨川を眺めました。この3日後、大雨で水位が上がり濁流と化した鴨川です。およそ駅から歩いて40分後、最後の坂を上がりました。友人宅の2階からの景色です。 このお部屋は静かですが、すぐ下を行く観光客が見られます。御霊前に挨拶して、山崎に行くという私を駅まで送ってくださいました。
山崎から京都に戻るのに阪急電車を使いました。目指すは「錦市場」です。中国人、西洋人の観光客の多いこと、錦には京都独特の食材を見に行くことと、包丁の「有次」行くのが目的でした。「有次」の物は今は無くなった日本橋の高島屋のコーナーで、ほとんど揃えています。折角なので、お店を覗きました。鰹箱の刃の研ぎは宅急便で送ればやってくださるそうです。お姉さんと話していると、今まで見たことのないものが目に飛び込んできました。早速使い方を教えてもらい、私への土産としました。 中身は、使ってみてからお披露目します。錦市場から歩いてお次に向かったのは、三条河原町です。
三条河原町の老舗の針屋さん「みやす針」に行きました。 細い路地が入り口です。 この路地を抜けると坪庭が広がります。 飛び石を渡ってお店に入ります。京都ならではの風情のあるお店です。お店といっても針専門、小さな間口です。お客も私一人、針のことをあれやこれやら教えていただきました。 この針だけは自分への土産に決めていたものです。友人たちへの土産も買って、ホテルに戻ろうとバスに乗りました。バスに揺られていると「みやす針」のおじさんの話が頭をよぎりました。バスを降りてすぐに「みやす針」に電話します。「明日の朝一番に伺います。全部取り置いてください。」パグの友人たちのために、 この待ち針を買いました。向かって右、パグのまち針です。これは香港にいるとき京都の友人が送ってくれたものです。お飾りのまち針ですが、針山にこのまち針が刺さっていると、気持ちが和みます。パグのまち針をあるだけ取り置いてもらいました。
翌朝、雨が降ったり止んだりの中をバスで三条河原町に行きました。開店時間にまだ間があります。そこで寺町通をぐるりと回ります。京都鳩居堂の前を通ったとき、急に母とこの店に来たことを思い出します。小学の頃のことです。河原町の教会のどなたかに会いに行った母が帰りに鳩居堂に買い物に行きました。町屋造りのその店に母を思い出しました。「みやす針」に戻ると、先代のおじいさんが掃除をなさっていました。
路地を抜けて坪庭に出た途端、大雨です。おじいさんが傘をさしかけてくれました。小さな動物のついたまち針は、40歳代の女性が一人で作っていらっしゃるのだそうです。その方が最近、「作るのがしんどい。」と言ってるとお聞きしたことが、2度も「みやす針」を訪ねた理由です。次回行ってもパグのまち針はないかもしれません。雨が止むまでのしばらくの間、おじいさん、おじさんにお店の話やら針の昨今をお聞きすることができました。
京都駅から産寧坂、山崎でも大山崎美術館の往復、京都の市中とよく歩いた1日でした。さあ、次回はどこをどう歩きましょう。大雨の後の京都を思いやっています。見出し写真は、雨の「みやす針」の坪庭です。しっとりとした風情です。