チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

もう一つの「雛額」

2025年03月05日 | 雛祭り

雨、9度、87%

 「私、もう一つ雛人形の刺繍をしたんだ。」と気づいたのは昨日のブログを書きながらでした。先月誕生日を迎えた孫娘の初節句の祝いに私が刺した刺繍の中でも大きな一枚でした。ところがどんな図案だったか思い出せません。もう11年前に刺した刺繍です。お節句に間に合うように初めての期日制限付きの作業でした。モモを膝に乗せ、毎日朝から刺し続けました。大きな額に仕立てて、機内持ち込みの荷物にして東京まで持って行きました。どんな図案だったかな?

 昨夕、孫娘と電話しました。「かかが刺したお雛様の額、今年も飾ってくれた?」「うん、まだ飾ってるよ。」「その刺繍大変だったのよ。」「ふぅん〜。」

 まだ刺繍の図案が思い浮かびません。PCで写真を探しました。「あら、立ち雛じゃない!」額にしたててもらったのは昨日書いた姉妹で営む香港のフレーム屋さんです。彼女たちにとって2つ目の「お雛様」の額装です。きっと孫娘のために刺したのだと私が説明したのだと思います。なんとまあ、私の「雛額」に比べると明るく、可愛く仕上がっています。毛氈のように赤いマットが巡らされ、それに合わせるようにフレームが細めでモダンです。

 私の大作の一つです。雛の周りにもぼんぼりなどが密に刺されています。今は長時間針を持つと目が疲れます。刺しかけの刺繍が2つ、ゆっくりでもいいから、ひと針ひと針刺し続けようと、針を持つ喜びが蘇ってきました。針を持つと心が静かになります。そういう時間が好きです。

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雛人形

2025年03月04日 | 雛祭り

雨、7度、89%

 「雛人形」を出してくるのは二月の終わり、ひな祭りの翌日、つまり今日3月4日にはお雛様を箱に戻していました。60年は越す古い「雛人形」です。木目込の大きな「立ち雛」です。この「立ち雛」は私の2代目の「雛人形」。初代は段飾りで3人官女、お道具もあるものでした。一体あの段飾りの「雛人形」はどこに行ったのやら?聞こうにも母はもういません。そもそもこの「立ち雛」ですら、この家の茶箱の中にゴロンと入っていたのですから。それを香港に持ち帰り、またこの家に戻ってきました。

 胸に色々な思いを抱きながら「お雛様」を手に取ります。これから先、今まで私がこの「雛人形」を飾った回数箱から出すことはないと思います。細い目の「雛人形」、少しでも見ていたいそう思いました。しばらく床間に飾ったままにしましょう。月半ば、いや月末まででもこのままおきましょうか。手に取ると持ち重みのある「立ち雛」、私の「雛人形」です。

 「雛人形」の背後には私が刺した刺繍の「立ち雛」が飾られています。 額に仕立ててくれたのは香港の姉妹で営むフレーム屋さんです。香港には額装をしてくれる店が多くありました。フレームの数、下に置くマットの種類、実に多数揃えている店が多くありました。長い付き合いのこの店に、刺し終えた刺繍布を持ち込み、フレーム、枠周り、サイズ、下地を姉妹たちとああでもない、こうでもないと話ながら決めます。楽しい時間でした。この「雛人形」の刺繍を見た姉妹、初めて目にする「雛」です。そこで、私は「雛祭り」の説明をしました。頷きながら聞き入ってくれました。そうしてできた「雛人形」の額装です。フレーム、サイズは決まりました。この刺繍布の下には「和紙」を敷こうと提案してくれました。「和紙」のおかげで麻布の柔らかい色が映えました。周りの薄黄色は布地です。額装にも掛け軸の表装のように布地を使います。数ある色の中から最後にこの薄黄色が残りました。布地のストックも多数持っている店だからできたこの額です。そしてこの額から20年後、孫娘へ私が刺した「雛人形」の額を作ってもらいました。私より年下だったフレーム屋の姉妹の顔が懐かしく浮かびます。

 一つ一つに思い出、想いを馳せる時間が多くなりました。まだ数日、「雛」に囲まれて過ごします。

 

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雛膳

2024年03月04日 | 雛祭り

曇、5度、78%

 昨日のお昼ご飯、自分のために「ちらし寿司」を作りました。お雛様です。春らしい華やかなちらし寿司を作りました。

 スーパーには「寿司種セット」を売っています。帰国して驚いたものの一つです。自分の好きな刺身を買い作りました。海鮮ちらし寿司はばら寿司に比べて家で作るよりお寿司屋さんで食べることの方が多いような気がします。先日、主人と一緒にお寿司屋さんで食べたちらし寿司は見事でした。まず手の込んだ寿司飯、このすし飯だけでも満足できます。上に乗せられた生ものも寿司屋らしくひと手間加えられています。

 家で作ったちらし寿司、食べやすいように刺身は醤油に小一時間漬けました。こうすれば寿司飯と一緒にぱっくりと食べれます。 甘さを抑えた寿司飯と漬けの刺身、卵と菜の花の簡単なものです。大きなわっぱいっぱいに作りました。そうそう、庭の「水蓮の株分」をした時に見つけた蓮根、小指ほどの小さな蓮根をうっかり折ってしまいました。主人が「食べれない?」などと言いますがほんの小さなかけらです。でも捨てるに忍びず、「酢蓮」にしてちらし寿司に散らしました。小さくても穴の空いた姿が可愛い。 

 蛤が今年は安く出回っています。地元の蛤ですら手頃な値段です。輸入物よりはるかに大きな蛤で「潮汁」を作りました。 「潮汁」は身を食べるより汁の旨みを味わうものかと思うほど滋味を感じます。

 お腹も心も満ち足りた「雛膳」でした。

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雛膳 お雛様と

2023年03月04日 | 雛祭り

晴、8度、70%

 2月の下旬に飾り3月の4日には仕舞う「お雛様」、毎年短いお付き合いです。せっかくですのでお雛様と一緒にお昼ご飯をしました。

 朝は真冬並みの寒さでしたが、昼には日差しもあり暖かくなりました。春らしい食事をと思います。桜の開花予報では福岡地方はあと半月で咲き始めるそうです。その頃になると「桜鯛」と言って鯛が売られますが、年中ある「真鯛」です。福岡の鯛はどの時期もそれぞれの美味しさがあります。お昼ですので小さめに拵えた「鯛のお刺身」 お雛様には赤みの強い「鮪」より薄ピンクな「鯛」に限ります。

 「蕾菜」が出始めました。「菜の花」をと思いましたが、寒波があったおかげで「菜の花」の出荷量が少なく高値だそうです。「蕾菜」と生麩を炊き合わせました。 春を告げる芽のものはどこかに渋みや苦みを含んでいます。それが冬に体に溜まった毒素を出す作用があると知ったのは最近のことです。「雛膳」につきものの「ハマグリのお吸い物」 日本の「ハマグリ」は2つで千円近くもします。大きいのですがそんな贅沢はできません。ぱっかりと開いた「ハマグリ」、蓋を取ったその時の香りもまた春のものです。今から貝類がおいしい季節、貝殻いっぱいに詰まった身をすする時、磯の香りがします。

  今年は「太巻き」にしました。「カニの足の身」だと思って買ったものは「カニカマ」でした。ごぼうと卵焼きの「太巻き」です。「太巻き」1本、普通の量のご飯で作ると食べ切れません。ご飯少なめ、具を大きめに切り入れると1本すんなりとお腹に収まります。巻き簀の上のお海苔に酢飯を乗せた時のいい匂いにお腹が鳴ります。日本人に生まれて幸せと思う瞬間です。

 小さなひとり「雛膳」です。毎年今日には仕舞う「お雛様」ですが、ひと月遅れの「雛祭り」まで出しておこうかなと名残惜しさが心に浮かびました。庭の「花桃」は満開、「白梅」は散り始めました。「桜」に向けて春は進みます。

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お雛様

2023年02月27日 | 雛祭り

晴、30度、74%

 義母の入院で、洗濯物を取りに行く日課が増え、日常品の足りないものを買い届けたりしていて、気付けばもう2月もお終わりに近づいています。面会はできません。看護士さんから様子を聞くだけです。骨折ですので時間が薬です。認知症が進むのではとベットに寝たきりの義母を思います。

 夕方短い時間を見つけて「お雛様」を出してきました。立ち雛のお二人だけです。小さい「貝雛」 私が刺した刺繍のお雛様。

 床の間のお軸や松の植木を片付けて、飾り終わるのに小一時間でした。慌ただしい日々を送るとこうした短い時間でもほっと安らぎます。

 寒い座敷の床に座って、「お雛様」と向かい合います。「もうすぐ66歳。いろいろあったわね。」母の帯を解いた毛氈がわりの織地に「お雛様」は並びます。昔ながらの下膨れの目の細い「お雛様」です。

 まだ寒さが残っています。 お雛様を出してきた座敷は華やかな雰囲気に包まれました。庭の「花桃」がほころび始めています。今日はひと枝手折って飾りましょう。

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蒸し寿司

2022年03月05日 | 雛祭り

晴、8度、80%

 桃の節句にはお寿司が登場します。ふくさ寿司だったり、ちらし寿司だったり。お寿司屋さんのお寿司ではなく、お家のお寿司です。寿司ご飯が好きで簡単な寿司はよく作ります。寒くなると懐かしく思い出すのが「蒸し寿司」です。

 「蒸し寿司」は関西の食べ物だと思います。子供の頃年に2、3回は関西へ母に連れられて旅行しました。どこの駅だったかどこに向かっていたのか、さっぱり思い出せないのですが、駅前に蒸し寿司の店が並ぶ駅がありました。この駅から確かバスに乗り換えて目的地に向かいます。きっと冬だったのでしょう。寒空の下、「蒸し寿司」の香りが駅前に漂っていました。バスに乗り換えの時間がある時は「蒸し寿司」を食べました。何が乗っていたか、どんな味だったか、器がどんなんだったか全く記憶にありません。私の記憶にあるのは「蒸し寿司」のほの温かい匂いだけです。

 寒い日のご馳走、春に向かうお節句の日、久々に「蒸し寿司」を作りました。お節句ですから気張って「穴子」を探しましたが見つかりません。簡単に「錦糸卵」「海老」「椎茸の含め煮」だけの「蒸し寿司」です。蒸している時、飯台ですしご飯を作る時の香りより酸っぱさの抜けた匂いが台所に充満します。 そして蓋を取った時の具材の香りは心まで寛ぎます。 海老と椎茸の香りが寿司ご飯の香りとともに食欲を掻き立ててくれます。「穴子」が一切れでもあるとまた違った香りになります。「鰻」を代用しようかと思いましたが、「鰻」では匂いが強すぎていけません。小どんぶりを持つ手にしんみりと温かさが伝わりました。

 今でも初めて食べた「蒸し寿司」がどこの駅前だったのかとその匂いと光景だけを夢見ます。昭和の日本の寂れた駅前、「蒸し寿司」の幟と匂いだけが私の中に眠っています。

 

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