小雨、28度、85%
七味唐辛子が好きです。あまりに何度も七味唐辛子のことを書くので、皆さん次々に送ってくださいます。おかげさまで、日本の小さなメーカーの七味唐辛子を食べることが出来ました。七味唐辛子の東西対決、いえ、何処の七味も名だたる所のものは夫々特徴があって美味しいと思うようになりました。この1、2年で七味の持つ意味が私の中で変わって来ました。七味唐辛子、インパクトを付ける、辛みを付けるためのものとばかり思っていましたが、最近では辛みプラスその香りまでも頂く物だと気付きました。
七味唐辛子の香りは京都の七味に代表される山椒の香りが強いタイプ、やげんぼりや善光寺の唐辛子自体が持つ香りが強いものがあります。その時の食べ物や気温に合わせて使い分けると実に七味唐辛子といえども奥が深いと感じます。唐辛子を乾燥させたものの香りは甘くすら感じるから不思議です。深みのある香りです。香りを頂く七味唐辛子。
先日、善光寺のゆず七味を頂きました。善光寺の七味唐辛子は、すっきりと冴え渡るような辛みと香りを持っています。香りが深い唐辛子を使っているのでしょう。そこにゆずを加えてゆず七味。ゆずの香りと七味の香りのバランスが大切です。どちらが勝ちすぎてもゆず七味にはなりません。この善光寺のゆず七味は絶妙なバランスで、しかもどちらも強いインパクトを持っています。確かに美味しい。この数週間、このゆず七味を楽しませた貰いました。昨日、いくら振っても出て来ません。この時の私の落胆ぶり、ゆず七味が無くなっただけで身が細るような寂しさを覚えます。
そこで、台所のストッカーをかき回して出して来ました。普通の善光寺の七味唐辛子とゆずの粉です。 ゆずの粉は栃木のもの、そうです、この二つを混ぜてゆず七味を作ろうと思います。七味の中に少しずつゆずの粉を混ぜて行きます。その度、熱湯に落として香りを確かめます。なかなか思うような香りに結びつきません。このゆずの粉、非常にデリケートな香りです。どちらかというとレモンに近い品の良さ、日本のゆずの持つ野暮ったさが無いゆずの粉です。いくら入れても善光寺の七味の香りに対抗出来る代物ではありません。気づくと七味唐辛し随分黄色に染まっています。
ゆずはjapanese citrusといわれるように、レモンやライムとは違った日本っぽいずんぐりとした香りが特徴です。高知の馬路村が村興しで作り始めたゆずポン酢、福岡には昔から柚子胡椒がありました。ゆずの香りは私には郷愁に繋がります。柑橘類の香りは土に大きく左右されると聞いたことがあります。栃木のゆずの粉、品のいい土で栽培されているゆずの木かしらと思います。マイブレンドのゆず七味、まるでレモン七味のようですがしばらくこれを愉しんでみます。