曇り、28度、88%
我が家から香港島のセントラルに下りるには、いったい何本の道があるのかしら?と時折思う程たくさんの細い坂道があります。しかも、下に行けば行くほどその数は増えます。組み合わせを作ればその数100以上は間違いなしです。
ハリウッドロードからクイーンズロードに通じる坂道にひとつが、石板街。正式な名前もあって、ポティンガーストリートといいます。でも、見出しの写真を見ての通り、石板が敷き詰められた坂道です。いつごろ作られたか知りませんが、随分古い物に違いありません。石の表面はツルツルテカテカです。道の真ん中の手すりはごく最近作られました。私は、この坂で何回転んだか解りません。私みたいな経験を持った人がたくさんいるはずです。
右手すぐに、公園があります。 ビルとビルの間の昼間でも陽の注さない公園です。最近きれいに整えられたこの公園ですが、20年前は、野良犬がのんびりと昼寝をしていました。もちろん、野良猫はもっといました。私が、この道を下りるのは、そんな野良犬たちに会うためでした。もうすっかり、犬たちの姿はみえません。
坂に沿った公園です。中の細い道をずるずると下りると、思いもかけないところに出ます。 下から見上げた、ビルの狭間の公園の様子です。 珍しいピンクの縁取りのフランジパニが咲いていました。
下り切ったところは、蘭桂坊といわれる夜遅くまでの繁華街の西のはずれ、和安里です。坊や里の字が付く地名は行き止まり、袋小路を意味しています。
和安里は以前は人通りも少なく、隠れ家のように今は手広くパンを作っているブッラクローズが、フランス料理の店をやっていました。その頃ホテルではないのに、最後にチーズプレートが出てくるような店でした。今はもうありません。
香港の坊や里の字の付くところには、行き止まりによくこんなお廟があります。 不思議に、香港人は心神深く、いつも線香の煙が上がっています。
この道沿いも新しく出来る店の工事ばかり、ブラックローズのことを懐かしく思っていると、あれ! 高山民芸が昔のまま、まだお店をやっています。入ってみました。お店の黴臭いにおいも変わりません。私年配の女性が、4人お店にいます。主に中国の民具や布を扱っていますが、東南アジアのタイやインドネシアのものもあります。場所柄、以前からお値段は高めでした。中国の印花の生地を計り売りで買ったのはこの店でした。長くお店が続いていますね、の一言で、またしても長居するはめになりました。
お店を出ると、すぐ昼下がりのセントラルの雑踏の中です。いくら滑ろうが石板街は残って欲しい。高山民芸もあの4人の女性がしっかり支えているようです。久しぶりに晴れ上がった、高いビルの上の青空を見ました。