チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

Jazz in Paris

2022年10月22日 | 音楽

曇、20度、74%

 朝晩は寒く感じますが、日中は半袖で過ごします。真っ青な空に終わりがけの金木犀の香りをかすかに感じます。一歩一歩、秋は深まります。

 予定の家事を放り出して、床に座り込みました。床には11枚の古いジャズのCDが並んでいます。探し物で開けた引き出しに見つけました。「Jazz in Paris 」シリーズで出されたCDです。ジャケットは白黒の古いパリの写真、中のジャズはレコードの雑音まで入ったものもあります。

  CDも整理して帰国したのですが、手元に残した11枚です。 しなくてはならないことがあるのに、プレイヤーに入れてしまいました。

 寒い時、暑い時、ぼーっとすることはありません。秋の心地良い日には同じ気温でも春と違って昔を思い出します。パラパラとページをめくるように、とりとめもないことを思い出してCDを聞きました。気づくともう夕方の散歩の時間です。

 今日はやりかけのことを片付けなくては。私の人生もちょうど秋、季節もちょうど秋。贅沢な時間の流れです。

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ケルト音楽

2020年11月13日 | 音楽

晴、10度、92%

 長い手仕事の間、YouTubeの長時間向けにアレンジされた曲を流していることがあります。スピーカーに接続しているので音量もスマホやPCよりはるかに良く、手を止めなくても3時間次々に曲がかかります。

 ボサノバやジャズを聴いていることが多いのですが、気温が下がり始め、袖の付いたものを着る頃になると聴きたくなるのが「ケルト音楽」です。気温の変化と聴きたい音楽の変化、なぜでしょう?

 「バグパイプ 」の透き通っているのに何処かくぐもったような音の広がりが寒さに向かう頃の気持ちにそぐうのかもしれません。曲の題名を知っているわけではなく、歌詞もなく「バグパイプ」 の緩やかな曲、時にはダンス用の楽曲も聴き取れます。「ケルト音楽」はケルト民族の音楽ですがその規定ははっきりしていません。ブリテン島を中心にスコットランドなどに伝わる音楽です。

 石造りの家に寒さが来る頃の様子を思い浮かべます。私の木造の家とは音の反響が全く違う空間です。そんな中に自分がいるのを想像しながら、手を動かします。ケルト民族が暮らした地域は寒さも厳しく、昔は生活も豊かではなかったそうです。彼らの心には「バグパイプ 」の響きが子守唄でもあり、お祭りの音でもあり、人を送る時の曲でもあったのでしょう。

 秋は一番好きな季節です。少し物悲しさを伴い、寒さに向かう気持ちを奮い立たせてくれます。やっと街の木々も色づき始めました。葉が落ちてしまうまでのあと少しの時間を「ケルト音楽」と共に過ごします。

 

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Saudade

2015年11月02日 | 音楽

曇り,20度、73%

 昨日はついたち、香港島東のマウントパーカーに上ります。毎月一日に上るのですが先月は,福岡で迎えるはずのついたちを,図らずも台北で目を覚ました私です。まあ,いろんなことがあります。

 お天気はやや曇りがち、それでも一昨日の雨で涼しくなりました。山といってもそんなに高くありません。おじいさんおばあさんですら健康のために上れるくらいの山です。この山の稜線で香港島の南と北が見渡せる頂上は,流石に600段以上の階段の上ですので、人もまばらになります。何より嬉しいのが頂上に立つと,空がぐっと近くに思える事です。

 滅多に音楽を聞きながら歩いたりはしませんが,ふっと聞きたくなってiPhoneのスイッチを入れました。イヤーフォンも持っていませんが,そのまま音を流して歩きます。聞いているのはアルバムの名前が、「Saudade」。ややボサノバ的なミックスの曲です。そういえば、Saudade,サザンの「真冬の蜃気楼」のほんとのタイトルでもあります。サザンのこの曲も大好きなひとつです。Saudadeがポルトガル語だと知ったのは,この春ポルトガルに行った後の事です。ポルトガルの演歌ともいわれるファドについて調べていました。「Saudade」という感情がファドの源流だと知りました。ところがそれを言葉にするのは難しい。ノスタルジーや郷愁や切なさ,それが憧れにまで高まる感情を意味するそうです。一言では言えない,受け取る人によって様々な思いが湧き上がる、それでいて何処かアンニュイな感覚だと私は思います。

 一日の早朝から,アンニュイな感情を抱えていたわけではありませんが、 薄曇りで見えない南シナ海の霞の向こうに想像しながら聞くこのアルバムは,海の遠く向こう向こうまで気持ちを運んでくれるようです。

 こうして毎月この山に登り始めて20年は経ったでしょうか。ここから見える香港市街はどんどん変化しました。ビクトリア湾も随分狭くなりました。それでも変わらないのは,南シナ海に向かうこの眺めです。

 この山道の長さを今まで知りませんでした。山の下から頂上,そしておりて来るまで8キロ少し。 月一回、この一時間半の山との会話の時間は,生活のけじめを付けてくれているように思います。

 

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お香

2015年08月28日 | 音楽

小雨,26度、85%

 昼間は30度を超す香港です。そして,相変わらずムシムシと湿度も高いのですが,ふとした時に秋を感じます。晴れた昼間の空と海の色、外に出た途端に出会った風の匂い。蝉はとっくに鳴きません。早朝は下草の虫たちの合唱が始まりました。夏が終わらないのかと心配するほど暑い日が続いていたのに、間違いなく秋がやって来ています。

 そんな気配を感じてか,主人がお香を炊いて欲しいと言います。この香港で,たとえ空調が効いた部屋でも夏の盛りにはお香が苦しく感じます。私など夏の間はアロマを瓶からクンクンと嗅ぐだけでした。

 お香はいつも用意しています。香炉をどこにやったかしらと探していると,主人が、 こんな物を持って来ます。香炉じゃないの?私は大笑い。我が家の蚊取り線香を炊く器です。中国の物で、本来は冬に手を温める為の物です。まあ,香炉には違いありません。 お香を炊く物も様々。コーンを乗せる,一本立てる。私の実家の古いトイレには小さな床の間があって,一本線香が灯っていました。父も母も香のかおりが好きな人だったなあと,思い出します。

  お香も色々、頂き物もたくさんです。主人など,銀座の裏通りを歩いていて,香港にまで電話して来ます。何かと思えば,初めてのお香屋さんを見つけたと,どれにしようかね?と電話先。まだ,あるわよといっても買って来てくれるのは目に見えています。昔と違って,お香のかおりも色もバラエティーに飛んでいます。選ぶのも楽しみの一つです。 この「姫の香」というお香,火をつけるお香ではありません。灰の中に炭を入れその熱で温めて香りを立たせます。空薫「そらだき」です。四季にちなんで4色,それぞれの形も可愛い京都のお香屋さんの「姫の香」です。

 先日,実家の仏壇に亡くなった父が買って置いた中国のお香がありました。50年以上前のお香ですが、まだ香ります。お香は中国、インドからやって来た物でしょうが、その香りといったら,全くと言っていいほど違います。インドのオイリーな香り,むせるような匂いです。中国のは乾いたほこりのようなお香のかおりです。もし,お香の道がインド、中国、日本と通っているとしたら,徐徐にその香りも風土に合わせて変わって来たのだと思わせます。日本のお香の灰はきれいですが,インド、中国のお香の灰はボソボソ。作り方にも違いがあるのでしょう。

 部屋の片隅にお香のかおりが溜まっています。身が引き締まるような冬の空気の中では,お香のかおりはもっと研ぎ澄まされます。ゆるゆると立ち上るお香の煙、時間がゆっくり流れます。

 

 

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「JAZZ in PARIS」

2015年06月03日 | 音楽

晴れ、28度、83%

 私が生まれる前、1950年代の初めに作られた「パリの空の下セーヌは流れる」というフランス映画があります。その映画を見たのは小学生の4、5年の頃。テレビで見ました。当然白黒映画です。話のストーリーはいざ知らず、その映画で見たパリの様子と主題曲の「パリの空の下」はずっと心の何処かに残っていました。もちろん曲の題名もその時は知りませんでした。「パリの空の下」と題名をはっきりと心に留めたのは、中学校に入ってからの事です。白黒映画の画面とその曲は何かの拍子にはっきりと記憶に浮かび上がってきます。華やかなパリではありません。庶民のパリを描いた話です。

 10年ほど前、香港のHMVでは、クラシックとジャヤズは小さな別の部屋が作られていました。なぜか冬場でもクーラーがしっかりと効いた部屋でした。そこで、見つけたのが「JAZZ in PARIS」。ジャヤズは好きですがジャズの中でも軽いものが聞き易く思います。見つけたというより、そのジャケットに目が留ったという方が正解です。写真は白黒、しかもパリの風景です。よく見ると、最近の写真ではなく古い写真を使っています。映っている人、車がそれを物語っています。ジャケットの善し悪しがこうも人の心を掴むとは。

 HMVに行く度に、このジャズの小部屋を覗いては新しく出たものを買っていました。「パリの空の下」はシャンソンですが、ジャズピアノにアレンジされたものも入っています。そのうち、店頭から姿を消してしまった「JAZZ inPARIS」です。私の手元には11枚あります。いい時代のパリの景色です。

    この小雨に煙る様子などぐっと胸に来る風景。

      

   セーヌ河畔もまだ静かな佇まいです。

  大好きな「ラビアンローズ」が題名の一枚。

 この「JAZZ in PARIS」は、ユニバーサルフランスの一大企画だったとかで、最近新たに復刻版が出始めています。セット売りもあるそうですが、ジャケット見ながら一枚一枚買うのが楽しみです。

 「パリの空の下セーヌは流れる」この映画から始まった私の白黒のパリへの憧れはまだまだ続きそうです。

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