雨、15度、93%
香港の雲呑は蝦が丸のまま入った美味しいものです。その蝦の雲呑麺、一般には「鮮蝦雲呑麺」と呼ばれます。この「鮮蝦雲呑麺」を売り物にしている店は香港中いたるところにあります。小さなお椀に入ってくる「鮮蝦雲呑麺」、日本のラーメンやおうどんの感覚ではいたってごく少量です。「小食」と書いてスナックの意味ですが、ちょっと小腹を満たすための食べ物です。お店によってお値段も安いところから、こんな小さなお椀にこの値段?と思うような店まであります。このひと碗の「鮮蝦雲呑麺」でミッシュランをとった店まであるほどです。
「鮮蝦雲呑麺」は、蝦の雲呑、スープ、麺から成り立っています。雲呑の美味しさはもちろん、麺がまた独特です。細く腰があり硬めに茹であげた麺です。麺ばかりを売る店に行けばこの雲呑麺用の麺を買うことができます。幾度も幾度も家で雲呑麺を作ろうとしましたが、まず麺の茹で加減で躓きます。お店のようにコシっとした歯ごたえが残りません。スープは蝦からとったスープで透き通っています。このスープが蝦臭くてもいただけません。「鮮蝦雲呑麺」がテーブルに運ばれてきたら、まず、蓮華をとってこのスープを飲んでみてください。一口、二口、だいたいここでこの「鮮蝦雲呑麺」の美味しさがわかります。「鮮蝦雲呑麺」の雲呑は麺の下に隠れています。決して、「雲呑がない。」などと慌てないでください。
美味しいものが数ある香港です。さて、香港を離れる前に何を食べようか?数えればきりがありません。思いつくのは様々な中華料理、ローカルのへしゃがった様な安い甘いパン。日本で間違いなく美味しいものに有り付けないとも思われるのは、やはり「鮮蝦雲呑麺」です。運良く、旧正月だというのに二日続けて「鮮蝦雲呑麺」を食べる機会に恵まれました。
初日は初めて行くお店です。いつも初めての店での「鮮蝦雲呑麺」には期待をしません。見出し写真が出てきた「鮮蝦雲呑麺」です。麺の上に細かい「蟹の卵」を乾燥したものが振られています。「蟹の卵」は風味をよくしてくれます。「蟹の卵」が振ってあるだけでお値段もお高くなります。雲呑は麺の下です。慌てずに、スープをすすります。臭みもなく化学調味料の味もありません。そして何といっても熱々のスープです。麺をひっくり返して、雲呑を数えます。小さい雲呑が5つ、ほんの少し豚肉がつなぎで入っています。美味しい。そこで麺を頬ばります。腰があり噛み締めると甘みもあります。初めてのお店の「鮮蝦雲呑麺」私には合格点でした。
2日目は、例のミッシュランをとったお店の「鮮蝦雲呑麺」です。 黄色いにらもワンタンと一緒に麺の下です。ここの雲呑は蝦2匹のみ包まれています。麺のコシ、スープ共にさすがミッシュランをとったお店です。このミッシュランのお店では、私は例のごとく「鮮蝦雲呑」のみを頂きました。 麺がないだけです。「鮮蝦雲呑麺」には雲呑が5つ、私のは8個入りです。スープは癖もなく、臭みもなくで最後まで飲み干します。強いて言えば、もっと熱いスープの方が好ましい。蒸し物、麺類は熱さが美味しさの一つです。
香港島のセントラル界隈、たくさんの「鮮蝦雲呑麺」屋があります。ウィークデーの昼間はどの店の人が並びます。どの店が美味しいかは好みです。それにお値段だって高い安いがあります。観光客の多い九龍サイドのチムサッチョイの「鮮蝦雲呑麺」屋さん、私は当たりが悪いのか、美味しい店を見つけられません。スープの匂い、麺の茹で加減、ぬるいスープ。地元セントラルで十分です。
今日は旧正月最後のお休み、今日のお昼も「鮮蝦雲呑」が食べたいなあと思いますが、それにお付き合いくださる主人には申し訳ありません。