雨、18度、96%
香港の花市、本当にいつ行っても同じ花ばかりです。ほとんど季節感がありません。季節感があるとすれば、クリスマス前のリースや春節前の水仙に桃。世界中から運ばれて来る花たち、果物同様に香りが薄い気がします。それでも花を見ると、心が和みます。そんな気持ちは、ここ香港の人だって同じです。おじいさんが、菊を数本、ゴミを集めてくれるおばさんが百合の花束を抱えていたり。コンクリートの建物ばかりのなか、せめても自分の周りに花をと思うからでしょう。花市に来ると花を見る楽しさもありますが、こうした花を抱えて帰る人の顔の明るさを見るのも嬉しいものです。
花はそれぞれに好きなのですが、つい手に取ってしまうのは、大柄な花でなく、どちらかというとひっそりした花が多いようです。今回は、 ノコギリソウ。実は、この花の名前が思い出せなくて、ここ4,5日、うんうん唸っていました。花の名前でなく、のこぎりという日本語が思い出せなかったのです。ノコギリソウは、葉の形がのこぎりに似ているので、そう呼ばれます。小さなギザギザの葉を見ながら、のこぎりという言葉が出てきません。頭の病気に罹ったかと思ったほどです。
20本近くある一束に、いろんな色のノコギリソウが入っていました。小さな花の寄せ集め。しかも、日々が経つと、花粉が散って掃除に難儀するのも構わず、威勢のいいおばさんに、これ、っと手渡しました。
ノコギリソウを、アレンジのときメインの花にすえる人はいないでしょう。いつも脇役。でも、こうした脇の花をぐっとブーケのように寄せると、なんとまあ、なかなか大輪の花にも負けない華やかさが出ます。
ノコギリソウは、痛み止めにも効くといいます。確かに、薬草のような匂いがします。