曇、2度、60%
Facebookが以前ポストした記事や写真を送ってくれることがあります。先日は13年前の香港の写真でした。目に飛び込んだのは「蒸し卵」、日付が一月十二日ですから香港でも寒い季節です。寒くなると「焼き栗」や「蒸し卵」のリヤカーが出ます。これは「元朗」という中国深圳との境に近い田舎町です。まだベットタウンになる前の寂しい田舎町の頃の写真です。
香港の田舎、昔は本当に田舎でした。高層ビルはなく昼間は年寄りばかりが住む街になります。「元朗」「粉嶺」「大哺」今はどこも香港島なみの高層ビルが立ち市場よりも大型商業施設での買い物が主流です。田舎の市場には大きな犬が歩いていたり、この写真のように猫の姿を見るのは当たり前でした。私はキャプションに「暖かい場所をよくご存知です。」と書いています。「蒸し卵」の下はコンロでその横には猫が昼寝中です。猫の頭の方に「大根餅」が売られています。おそらく旧正月前の時期だったのでしょう。写真から「蒸し卵」の匂いが伝わります。写真からこの市場のざわざわが伝わります。2012年ですから「iPhone」で撮った写真です。香港に渡った当初40年ほど前は一眼レフを持って出掛けていました。香港の田舎町、香港島からバスで行きました。今は電車がくまなく走っています。香港中心地は一時的居住者、仕事で赴任してきている人の多い街です。田舎はその土地に足をつけて生きている人を見ることができました。そしてその両方が香港です。
主人がつい二日前、香港セントラルの写真を送ってくれました。市場ではありませんが足繁く通った「プリンスビルディング」の「オリバース」や「パンハンドラー」「ベットアンドバス」の写真です。市場とは違い香港でもハイエンドな店の写真です。懐かしさで胸いっぱいになりました。市場の片隅、屋台の食べ物ばかりか高級食材店に並ぶ各国のチーズにも香港らしさを感じます。混沌と入り混じる、その全てが香港です。30年住んだ土地はしっかりと私の中に今も生きてます。「昔の私の地元!」と主人にメッセージを送りました。主人の返事は「今も僕がいるから、真奈さんの地元だよ。」一枚の写真が仄かな温かさを運んで来てくれました。