曇、26度、73%
香港に移り住む前から一番美味しい肉まんは、東京の維新號のものだと思っていました。先日、自分へのお土産として維新號の肉まんを買いました。やはりお値段のいい肉まんです。家で熱々に蒸して食べました。ところがなんだか思い焦がれていた味と違います。がっかりします。こんなお味だったかな?と心に引っかかっていました。
香港には日本でいう肉まんはほとんどありません。まんじゅうの生地に包まれているのはチャーシューやカスタードクリームです。ところが中国本土、しかも北に行けばどこでも一年中食べられるのが肉まんです。その種類も多く、要注意は犬の肉を使ったものまであります。こうした饅頭はお腹持ちがいいので、勤め人、労働者の朝ごはんにもなります。大きさも飲茶のチャーシュウ包などの倍もあります。冬ともなれば自分の吐く息も真っ白ですが、饅頭を売る店の真っ白な蒸気と匂いを目指します。
こうして中国人に混ざって背もたれもない椅子に座って小さな店で食べた肉まん、露店で買えば立ったまま頬ばりました。肉厚の椎茸が入ったもの、青梗菜が入ったものが私の好物です。どこの店にもあるのが「生肉包」です。豚の肉だけが入っています。豚肉に白菜などの野菜を合わせると「菜肉包」となります。お値段など庶民の食べ物ですから、お安いものです。指先がかじかんでいる冬にこの饅頭にかぶりつくのは幸せそのものです。おそらくこの30年の間に、私にとって一番美味しい肉まんはこうした饅頭になったのだと思います。
肉まんの皮は、イーストで膨らませるもの、ベーキングパウダーで膨らませるもの、両方使うもの、様々です。お砂糖が入った生地、脂が入った生地、お店それぞれの味があると思います。昨日のお昼ご飯、「生肉包」を作ってみました。
イースト、ベーキングパウダー両方を使って膨らませます。豚肉に味をつけ、生姜とネギを絞った汁を加えてよく練ります。膨らんだ生地に肉を包んで蒸します。 日本に持ち帰った蒸籠は中型です。10センチほどの「生肉包」が出来ました。熱いところを切り分けると、 こんな感じです。お肉の周りの皮はよく肉汁を吸っています。
デパートの地下の立派なお値段も高い肉まんもいいですが、何気ないこうした肉まんは私には中国の思い出につながります。
夏ですから肉まんお昼ご飯に間に合いました。冬になったら発酵に時間がかかるので早朝からの仕事になりそうです。青梗菜、椎茸の饅頭もお家で作ってみようと思います。皮の柔らかさもお肉の匂いも小さな中国の店の肉まんです。