チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

でんでん虫

2023年08月31日 | 庭の生き物

晴れ、27度、88%

 兄弟がいず、学校も遠くの学校に通っていた私は近所に友達もいませんでした。小さい頃の遊び友達は家にいた犬や猫、そして夏は庭にいた「でんでん虫」でした。「でんでん虫」は夏限定の遊び友達です。この夏「でんでん虫」を見たのは数えるほどでした。セミも普通なら「ひぐらし」がなく時期なのに、この数日、我が家だけでなく近所の緑地でも声を聞きません。不安な気持ちになります。

 「でんでん虫」が好きなのをよくご存知の主人からはたくさんの「でんでん虫」をもらいました。 大きな「でんでん虫」は小さな8匹の「でんでん虫」を連れています。 シルバーのピックです。庭の塀にポルトガルの「アズレージョ」というタイルが嵌められています。主人がが手配したタイルが送られて来て、荷物を開けた私はびっくりしました。10枚ほどの「でんでん虫」のタイルがあったのです。この7年で蔦に覆われて「でんでん虫」が見えないものもありますが。家を取り巻く塀にも「でんでん虫」の姿があります。

  私をよく知る友人からの贈り物。

 「でんでん虫」が好きだということ自体おかしいかもしれません。でも私の子供時代を一緒に過ごしてくれました。

 30年日本から離れていて、「でんでん虫」の変化に驚きました。おそらく外来種だと思われる殻の模様の違う「でんでん虫」が庭にいました。香港は「アフリカンマイマイア」という大きな種類が主流でしたが、中国から入ってくる護岸用の土などに混ざって、それまでにない「でんでん虫」が増えていました。

 この夏は「カエル」にも絶滅品種があることを知りました。自然の生態系が変わっていっているのを感じます。昨夕、夕立の後庭を回りました。夕立の後はどこかに姿を現す「でんでん虫」です。でも1匹も見えません。「でんでん虫」「セミ」、どうしたのかしら?大きな災害が来る前触れかもと不安が胸をよぎります。

 

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霊芝

2023年08月30日 | 庭の生き物

晴れ、28度、82%

 「霊芝」、「猿の腰掛」とも言われる大きなキノコ、漢方では強壮薬として使われるそうです。その「霊芝」が我が家には自然に生えています。キノコですから「菌」が我が家にあると思いま。毎年違う場所にできます。木の切り株にできることが多いのですが、板壁にできることもしばしば。確かに猿がちょいとお尻を突き出せば座れるような形をしています。「霊芝」は雨には関係なく発生します。他のキノコはほとんど雨上がりに芽生えて、晴れると萎みます。ところが「霊芝」はかんかん照りでも太さを増していきます。2年目に入ると、成長が止まります。ある日、ポロリととれた「霊芝」です。

 この家は山や田舎にあるわけではありません。2軒のコンビニ、24時間営業のスーパー、地方銀行2行、各種クリニックが徒歩5分圏内です。蝉の発生もご近所より多いと感じます。4車線の国道から入ってすぐの家です。普通の住宅街にあります。

 「霊芝」は山に生えるものだとばかり思っていました。今年は「楠」の切り株に付きました。初めは白く、次第に茶色に変わり成熟すると黒く艶光します。これを煎じようなどとは思わないのですが、庭に芽生えるものは面白いと観察します。庭の楽しさは、木々や花、やってくる鳥たち、小さな虫、そしてこんな奇妙なものまであります。

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リッツカルートンでお昼を

2023年08月29日 | 昨日のお昼ご飯

曇り、28度、80%

 福岡の中心地に「リッツカルートンホテル」がオープンしたのは数ヶ月前のことでした。少子化で生徒数が減った市立の小学校の跡地に建ちました。学校だった頃は運動場の広い空間がのんびりとした空気を漂わせていたのに、黒いガラス張りのホテルの建物は昔を知る者には重たく映ります。 この写真は裏側、昔の運動場の方から撮りました。インタランスは最近流行りのコリドー風、 ここを通ると異次元に入った気分になります。 ロビーは18階、このフロアーに4軒ほどのレストランが入っています。一体どんな景色なのかと興味津々で出向きました。

 博多湾をぐるっと見渡すことができます。私が案内された窓辺の席は、東側、志賀の島が見渡せました。 西側が見られれるのは「バー」の席からです。西側は、「ペイペイドーム」「福岡タワー」「大濠公園」「能古島」が見えます。日頃私が見慣れない東側の席、 博多港には韓国からの船が停泊しています。ほぼ3分おきで飛行機が着陸体勢で入って来ます。福岡にも観光客が戻ってきました。土日の大濠公園の駐車場は長蛇の列です。2階建てのオープンカーの観光バスもミストを流しながら市内を回っています。ホテルの方に伺うと、来館されるのはまだ日本人が多いとのことでした。ラウンジにいる人もレストランにいる人もほとんど日本人、日本語ばかりが流れていました。

 高い場所で海を見ながらの食事は久しぶりです。 香港の頃はホテルは日常にありました。海を見るのも日常でした。セントラルにある「マンダリンホテル」は私にとって暑い季節に海側へ向かう通り抜けのコースでした。遠来のお客様をお迎えしたり、お食事を共にするのもホテルが多かった日々でした。

 メニューを見ると最初に目に飛び込んできたのが、「ブッラータ」、チーズの名前です。この一皿とデザートを注文しました。「ブッラータのカプリーゼ」簡単な話、モッツァレラチーズに似た「ブッラータチーズ」とトマトのサラダです。出てきた皿を見てびっくり仰天、「ブッラータチーズ」が予想よりはるかに大きなものでした。普段私が買うものの2倍はあります。 ブッラータチーズはモッツァレラチーズの余り物に生クリームを詰めたチーズの副産物です。ナイフを入れると中からクリームが流れ出します。モッツァレラチーズと違って切って出すわけにはいかないので丸のままです。贅沢な気分です。 程よい酸味のトマトに桃が添えられています。お皿の底には松の実、添えられたソースはバジルソースです。バジルソースと松の実は「ジェノバソース」を連想させます。途中まで食べ進めて、「この一皿でお腹がいっぱいになりそうだわ。」とお給仕してくれてるお姉さんにデザートはいらないと伝えました。お姉さんも「チーズの大きさを見て私もそう思いました。」と快くキッチンに伝えてくれました。

 次回はぺこぺこにお腹を空かせて、アフタヌーンティーを楽しみたいなぁ。お姉さんお話ではかなりのボリュームだそうです。

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お醤油差しと薬味入れ

2023年08月28日 | 身の回りのもの

晴れ、27度、88%

 薄く焼かれた色絵の小さな「お醤油さし」と染め付けの「薬味入れ」はお客時のテーブル用に普段は引き出しにしまってあります。そそっかしく扱うとすぐに持ち手が壊れそうな品です。 小さくて胴幅が5センチほど「土筆」などの春の草が描かれています。 お客様が帰るとすぐにお醤油を出しますので、蓋をとっても匂いがありません。 

  染め付けで千鳥と波が描かれた「薬味入れ」はいつもは山椒を入れていましたが、最近は「藻塩」を入れて食卓に出します。 蓋裏にも波模様がが見られます。3センチほどの小さな「薬味入れ」です。

 20年以上前に買い求めたのに滅多に使わないので、共に真新しく見えます。「お醤油差し」はこれ以外にもいくつか丈夫そうなものを持っています。食卓でお醤油を使うのは専らお刺身の時だけのようです。せっかくの品、もっと使おうと小盆に乗せて出したままにしています。

 観賞用ではありません。使ってこその器です。日々使うことで壊れてもいいと諦めがつかない私です。毎日の食膳にこの「醤油差し」と「薬味入れ」を出すにはまずは私がゆっくりとした動き、落ち着いて丁寧に物を扱うようにならなくてはと思います。「毎日使うぞ。」と只今言い聞かせているところです。

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    ピスタッチオとイチジクのケーキ

2023年08月27日 | おやつ

晴れ、27度、87%

 冷凍庫の奥に「ピスタッチオ」プードルを発見、「ピスタッチオ」を細かく砕いた物です。お値段が高かった割には香りも発色も良くなかったので、すっかり忘れていました。ナッツは冷凍庫保存でも匂いが付きやすいので使ってしまおうと出してきました。結構な量あります。色付きも香りも良くなかった「ピスタッチオ」プードルに代わって「ピスタッチオ」ペーストを使っています。こちらは油脂分が豊富ですが、香り、発色共に素晴らしい。

 そこで、バターも粉も使わずに「ピスタッチオ」ペーストとプードルに卵を足しただけでケーキ生地を焼くことにしました。もちろん上に乗せるのは庭の「イチジク」です。焼き崩れしないように少し若い実を選びました。ケーキ生地は混ぜるだけ、イチジクは乗せるだけ、至って簡単なおやつの出来上がりです。

 イチジクは焼くとりんごにそっくりな香りになります。「ピスタッチオ」との相性もよし。バターも粉も使わなかったのに、しっかりした重めのケーキです。 久しぶりに熱い紅茶を淹れました。

 あと少し「ピスタッチオ」プードルが残っています。早く使わなくては。

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「野のような庭を育む」

2023年08月26日 | 庭仕事

晴れ、26度、60%

 郵便受けに入っていた一枚のチラシ、「野のような庭を育む」と書かれ上質な紙に庭の写真がいく枚か載っています。「野のような庭を育む」この言葉に惹かれて読みました。手を加え過ぎずに庭を自然の持つ力を生かして作ると言う庭師の宣伝のチラシです。

 夏の終わりから暮れにかけて、我が家の周りの家は庭師が入ります。マキの木は見事に雲型に刈られ、人工的に形が整えられ、まるで床屋さんに行ったあとのようなスッキリです。この家の庭も以前は父母が庭師を定期的に入れていました。母一人になって、庭は荒れ放題でした。その庭を受け継いだ主人と私はたくさんの木を切り、植木屋さんの力をほとんど借りずに庭を作りました。主人は海外ですからその大半は私の仕事でした。60歳で帰国、年々体力が落ちます。それでも私の出来る範囲で庭に向かってきました。

 このチラシの庭師は木の形は整えるのではなく、出来るだけ自然の姿のままを勧めています。庭草も草の持つ土への関与を考えながら抜くようにと説いています。

 チラシを読み終えて、庭におりました。 大きな「もちの木」は樋にかかる枝を落としてもらっただけで葉をを広げ木陰を作っています。「マキの木」は  近所でも一二番目に大きい木ですが、剪定されず自然の姿です。

 足元を見れば、芝生の中に紫蘇が目を出したので、 今年は一度も芝刈りをしていません。芝の縁には雑草と呼ばれる草がゆるやかに伸びています。この草をココは胃腸が不具合な時食べます。その時の為に抜き取らずおいてあります。草を食べるのは猫ばかりではありません。体の調子を整える為に教えもしないのに我が家のモモもココも草を食べます。

 夕立が上った庭に立ち、「この庭でいいんだ。」私の身体に無理のない庭との向き合い方をこの一枚のチラシは教えてくれました。チラシですから仕事の料金や連絡先も書かれています。どんな方でしょうか?木が好き、土が好き、鳥が好き、そんな方に違いありません。もっと私が歳とったらこの電話番号に連絡します。それまでは私の小さな力で父母から受け継いだ庭と向かいます。

 チラシ一枚に幸せをもらった日でした。

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新しい私のPC MacBook Air

2023年08月25日 | 身の回りのもの

曇り、28度、85%

 

 今年に入って、PCのカーソルへのアクセスが遅くなったと感じていました。12年使っています。世界の旅行にもいつも一緒でした。最近ではスマホの機能がよりよくなったので、PCの使用度が減ったように思います。スマホ一つで旅行に出かけるようになりました。いよいよ替え時です。新しいPCは軽いものを求めることにしました。Appleの実店舗で実際に持ち比べてみると軽さや画像の写りの良さに感動しました。「でも私がの使っているものとは違うな?」何が違うのか気付いたのは、注文をかける前でした。違いはキーボードでした。私の古いPCはアップグレードしてもらいシンガポールから香港に入ってきました。キーボードは英語(US)です。 日本の店舗販売の物は日本語キーボードです。使い慣れた英語のキーボードがいいと思いました。メモリーやストレージもカスタマイズして買うつもりでしたので、キーボードも英語を選びました。オンラインショップで買い求め、待つこと一週間、昨日上海から届きました。

 セットアップ、データーの移行に時間がかかるだろうと、昨日は一日家にいるように予定しました。Macは移行アシストがついていて、簡単にデーターを移行出来ます。 ところが2時間経っても移行が終わりません。痺れを切らして手動でデーターを移すことにしました。セットアップ、移行が終えたのは4時過ぎでした。

 こうした機器を立ち上げるときは、データーの消去が心配です。気の張り詰めた作業が終わりました。お疲れ様。

 まだ若干自分仕様に変えたいところがありますが、今新しいMacBook Airでこの記事を書いています。iphon、Apple Watchともすべて連携しています。これは変え難い便利さです。

 12年使ったPCはすでに下取り期間が過ぎているとのことでした。よく働いてくれました。休ませてあげましょう。

  新しい機器は、何かと刺激を貰います。これから何年使うことやら?よろしくね!

 

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カエルを見ました。

2023年08月24日 | 庭仕事

晴、29度、90%

 帰国して以来7年、カエルを見たことがありませんでした。鳴き声は雨上がりに川近くで聞きますが姿は見えません。この家は昔はカエルが沢山いました。40年経って戻って来たら、蛇、カエル、カニの姿はなくなっていました。昔東京で住んでいた頃には庭に大きな「ウシガエル」がいて、夜には飛び石と間違えてよく踏んづけました。

 この夏の思い出の一つが「カエル」に会えたことです。主人も孫娘もいました。福岡市内、山に面した主人の家の墓に向かう途中でのことです。いつも私が通る道から少し入った場所に田んぼがありました.以前はこの一帯は田んぼでした。稲の植わっている水田に「タニシ」がうごめいています。大きな「タニシ」です。外来種かもしれないねと話していると、稲の根元を小さなものがスイスイ。「カエル!」います、います沢山います.オタマジャクシから孵ったばかりでしょうか。小さなカエルです。大はしゃぎしたのは私でした。晴れて暑いので鳴きません。

 日本古来種が絶滅しかかっている動物が多くあると聞きます。「カエル」もそうなのかもしれません。でも一歩、川の綺麗な田舎に入るとこうして元気な姿に会うことができました。もう一つなかなか見れない光景に出くわしました。「トンボ」の産卵です。通常川面で飛行しながら産卵する「トンボ」ですが、小さな砂州に尾っぽを差し込んで産卵していました。いく匹も真っ黒なトンボが丸くなっての産卵風景でした。あいにく写真が上手く撮れていません。

 暑さも吹っ飛ぶほど「カエル」に会えて嬉しかった。写真を拡大してカエルを見ていると「あれ!目がココに似ている。」と一人大笑いです。

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いちじくのおかずいろいろ

2023年08月23日 | 昨日のお昼ご飯

晴、29度、90%

 庭のいちじく、毎年沢山実をつけてくれます。今年は木の刈り込みが少なかったので、小粒です。1日多いときは10個も採ります。甘いいちじくです。生のまま食べることが多いのですが、今年はおかずも作ります。

 朝ごはんの定番、 フランスパンと「いちじくのチーズ焼き」です。やや堅めないちじくを使います。チーズに焦げ目がつく程度にオーブンで焼くだけです。潰してパンにのせます。今年はチーズとの組み合わせの美味しさに目覚めました。

  この時期の和食によく出てくる「いちじくの天ぷら」です。水が出やすいので衣をつける前に粉を軽くつけます。熱々を頬張ると「焼き林檎」に似た香りとともにとろりとした食感が気に入っています。

 外出中、「酢豚」の匂いがしました。頭の中は「酢豚」でいっぱい、帰宅後すぐに作り始めました。あるのは少しの豚ヒレと赤いパプリカ、玉ねぎだけです。作ってる最中に「酢豚」にパイナップル入りがあることを思い出しました。庭に降りてよく熟れたいちじくを採りました。量も増えます。 パイナップルほどくどくない甘さです。量もぐっと増えて、お腹もいっぱいです。「甘酢あん」のケチャップは使わず、黒酢を使いました。 孫がいたらケチャップ入りですね。

 和食では「白和え」にも使われています。我が家のは「いちじくの豆腐和え」です。 「くるみ」を軽く砕いていちじくとチーズを豆腐に混ぜただけです。和風の「白和え」にすると重たくなるところが合わせるだけだとそれぞれの味がはっきりしてきます。最後に「クルミオイル」 をたらりとまわしかけます。

 昨日のお昼ご飯は「タイのグリーンカレー」でした。タイの茄子は小さくて親指大、紫も白もあります。この小さな茄子は煮崩れなく、種が多くてプチプチしています。この食感を作っている最中に思い出していました。「プチプチ?何かに似てるな?」日本の茄子だと煮崩れることもあり、少し残念な「グリーンカレー」になります。「プチプチ、そうだいちじくの種だ!」とこれまた庭に出て若いいちじくを採りました。火を止める前にさっと煮込みます。 味は茄子ではありませんが、懐かしいプチプチが蘇ってきました。

 こうして私の食卓には毎日のようにいちじく登場です。庭にあるので料理に応じて固さ、熟れ具合を選べます。私にはかけ替えのない「いちじく」です。

 

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「表装ものがたり」濱村繭衣子

2023年08月22日 | 

晴、27度、91%

 「表装」は掛け軸の絵や字の部分を囲む装いです。素敵な絵も心に響く書体も掛け軸に仕立てるときの布回し「表装」一つで印象が違ってきます。その「表装」の妙を教えてくれる本「表装ものがたり」を新聞の書評で知りました。プチンして翌日届けられました。

 掛け軸を求める時、もちろん「本紙」と呼ばれる書跡、絵画にまず目が行きます。そしてその周りの軸に仕立てるときに使われている様々な「裂」を確かめ、全体の雰囲気を自分の家の床の間に掛けた様子を想像します。「裂」の配置には一応決まりがありますが、私は色合いを一番に見ます。春に掛けようと思う掛け軸なら春らしい淡いものを選びます。「本紙」の色との調和も大事です。掛け軸選びの面白さです。

 家に床の間がない方が多いと思います。掛け軸を目にするのは今では美術館や博物館が多いのでしょうか。ライト照明、立ったままで見る掛け軸は日本家屋の床の間に置かれたときとは違って見えるかもしれません。

 「掛け軸」が好きなので「表装」を随分勉強しました。使われる布の種類、名前の分厚い本も持っています。「表装ものがたり」はそんな知識ばかりか、意外な「表装」を教えてくれました。きらびやかな「表装」は日本生まれです。中国から伝来した「表装」ですが、使われる「裂」は日本では豪奢なものが使われています。私も中国の掛け軸を持っているのでその違いはよくわかります。基本の「裂」の配置も若干違います。この本では紙を使った「表装」や決まり事を全部外したような「表装」を見せてもらいました。

 隠れキリシタンが自分たちの手で作った「表装」、傷みの修復も素人の信者たちの手になるものには心打たれます。小さな掛け軸だそうですが、その前で一心に祈る人たちの姿を思い浮かべます。「数寄者」とやばれる裕福な方達が戦前、競うようにして作った「表装」にも目を奪われました。「表装」自体が「本紙」より高額だったものもあるとか。民芸の創始者「柳宗悦」が自ら作った「表装」にも驚きました。布選びからしてまさに「民芸」です。

 ありきたりな「表装」の知識だけでなく、知らない「表装」の世界を見せてもらいました。数時間で読み終わりました。満ち足りた時間でした。

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