晴、28度、86%
小さな小さな「香炉」を見つけました。 5センチほどの小さな「香炉」です。火屋(香炉の蓋)がついていなければ「香炉」だとは気付かなかったと思います。上から見たぐるりの絵付け、側面の二種類の絵柄はまるでリモージュ焼きのような繊細さです。幾度も手に取りました。幾度も眺めました。
「香炉」はいくつか家にあります。仏具の香炉、単に「香」を焚くためだけの香炉、仏具のものはお決まりの品ですが、「香」用の「香炉」は好きで買った品です。「香炉」は足が付いていますが、この香炉は足がありません。もしかしたら小さな蓋物の蓋が割れて、どなたかが「火屋」を乗せ「香炉」にしたものかもしれません。さほど古い品ではないけれど年季が入っています。絵付けの色から「九谷」かもしれないと思いました。小さいのでそんなに高い「香炉」ではありません。
こんな小さなものに目を留める人もいないだろうと、翌日も見に行きました。まだ店の片隅にちんまりといました。また長いこと眺めて、家に連れて帰りました。
側面の絵柄、抽象紋と葉っぱです。 飽かず眺めて、「姫香」を炊きました。「火屋」をすると空気が入らず消えると思い「火屋」は外したまま焚きました。暑くて、気が滅入っていた胸の中が「香」の香りと微かな煙で平らになりました。
こんな小さなものを作り、細かい絵付けを施して、量産品ではないと思います。どんな方が作ったのか?どんな人がこの「香炉」を家に持ち帰り使っていたのか?眺めては想像しています。