雷雨、26度、90%
正式なフランスパンのバゲットは、生地が350g、長さが約68センチ、クープの数が7本と決まっているそうです。もちろん、パリジャンやブールにも同じように決まりがあるようです。
パリジャンより細いバゲットを焼いてみようと思いました。粉と水と塩とほんとに少しだけのイースト。その代わり、作り始めて、焼き終えるまで7時間ほどかかります。発酵時間だけで、5時間ほど。昨日は、香港、仏誕節の祭日でした。しかも朝から雨です。ゆっくりと、心置きなくパンと向き合っていられます。
強力粉は、イギリスのフランスパン用の粉です。これだけシンプルな組み合わせのパンは、粉のおいしさが決め手になります。粉選びは慎重に、日本なら東京製粉のパリジャンという粉が、美味しかったように記憶しています。
一次発酵は3時間、途中一度、空気を抜きます。こんなに発酵時間が長いと、お昼寝だって可能です。
さて、形成の段階に入って、あらあら、我が家のオーブンで焼ける長さのパンではありませんでした。それで、 ご覧のように、やや三日月型、しかも、クープの入れ方がきれいではありません。
長時間の発酵のため、水からこねます。こねている間は、香りがあまりしません。
焼き時間も、20分以上と長めです。10分を過ぎたあたりから、小さな我が家は、フランスパンの香りで一杯です。バター、卵が入った柔らかいパンの焼けるにおいと違います。ケーキを焼いているときのにおいとも違います。
なんという幸せ。今晩は、チーズにスモークサーモン、カニのサラダにこの弓形バゲット。パンを焼く幸せは、香りとともに手でこねるときの感触、膨らんで行く目からの楽しみ、そして、最後は、いただきますとお腹に入る満足感。幸せ、しあわせ。
雨、21度、99%
昨年、急に思いついたように使い始めた、寝かしてあったクリオブルーの腕時計。もう一つ、クリオブルーの腕時計を持っています。
こちらも、10年以上、タンスに寝ていました。 確か、家人が何かの折に買ってくれたもの。ブレスレットタイプというのでしょうか、当時にしてはビックフェイスでした。
腕首で、クルクルと回ります。夏は気にならないのですが、長袖を着ると、袖口が擦れて傷みます。
クリオブルーのシンボルマークのような魚。私は、魚座生まれなので、自分のお守りのように思っています。クリオブルーの魚は、4月1日にこのお店が出来たことが由来です。フランスでは、4月1日は、ポワッソン、魚の日です。
この時計をしていた頃は、ほとんど、クリオブルーのアクセサリーばかりを身につけていました。さあ、手元に残っている物は、どれくらいでしょう。最近は、ほとんど時計一つしか身につけません。指、耳、首、少しでも負担の無いように。
昨年、ベルトを替えて以来、ずっと身に付けている小さなクリオブルーの腕時計。リザードが馴染んできて、色目も落ち着いてきました。ベルトがこれからの季節、汗で傷みます。この夏は、大きな方のクリオブルーを使おうと思っていました。ところが、コメントをくださった方から知ったのですが、日本も、クリオブルーのお店がなくなったそうです。香港からは、ずいぶん以前に姿を消しました。
ブレスレット部分のベルトが傷んだら、取り替えることが出来ません。使うか、使わないか迷っています。フランスの、本店はまだ健在のようです。
いつも、電池を入れ替えてもらうおじさんのところに、この時計を持って行くと、珍しそうに、フランス製だね、と云われます。シルバ−のこの2つの時計、時々、スプーンやフォークと一緒に磨いてやっています。
曇り、22度、90%
結び湯葉が、ぽっと浮いているお吸い物、お外で求めたお弁当に添えられた少しの湯葉炊き。日本料理の湯葉は、なぜか高級感が強いように思われます。
香港、当然主流は広東料理です。この広東料理にも、湯葉は多く使われています。飲茶のメニュー一つとっても、蒸す、揚げる、煮る、挙げ句は、ほんのりと甘いスープにまで使われています。
その上、なんといっても、とっても安く手に入るのです。生湯葉だって、市場に行けば必ず売っています。日本のように、デパ地下まで出向かなくとも、すぐ手に入る便利さ。つまりは庶民の食べ物に違いありません。
元々お豆腐が好きな私です。お豆腐よりも、ぐっと大豆の味が濃い湯葉はもちろん大好き。
腐竹、と書いてあるのが湯葉です。これは、生湯葉です。鮮腐竹。
お醤油をつけなくても十分美味しい、湯葉です。もちろん付けるお醤油は、日本製。香港のお醤油は、安いのですが、味に奥行きが足らないように思います。まろやかでないのです。
干湯葉は、戻して薄口醤油とみりんで炊きます。青い豆類、絹さやでもインゲンでも炊き合わせると、しみじみ美味しいおかずです。
お豆腐は、日本が値段も安く、美味しさも断然上回っています。それなのに、なぜ、味の薄い湯葉が出来るのでしょう。洗練された味を好む、日本人だからかもしれません。
曇り、23度、90%
お水を一切加えない、ミルクだけでこねたパンを焼いてみました。小さい頃食べた、コッペパン。ミルクコッペというのがあって、食感は、普通のコッペパンと変わらないのに、ふわっと、口の中にミルクの香りが広がりました。袋には牛の絵が付いていました。まだ、日本が高度成長期に入ったばかりの頃のことです。
コッペパンのようなパンを焼きたいのですが、思うように焼けません。きっと、若干、薄力粉を使うと、あの軽い感じが出てくるのかもしれません。 見た目がスイートポテトのようになってしまいました。
ミルクだけでこねると、水だけのときより生地自体は、扱い易くなります。きめのこまやかなパンです。
残念なことに、ミルクの香りがしません。食べながら考えました。ミルクの香料というのがあります。もしかしたら、お店で売っているミルクパンは、あのフレーバーを入れて焼いているのでしょかね。
曇り、26度、85%
パグ犬モモの朝ご飯のサツマイモを探して、香港島の北側の市場を回ることがあります。地元の大きなオレンジの身のサツマイモでなく、日本種と呼ばれる細身のサツマイモです。そして、この日本種のサツマイモは、八百屋でなく、果物屋で売られています。
そんな折見つけたのが、青梅でした。25年香港に住んで、青梅を見たのは2度目。さて、香港人はこの梅をどう使うのかしら?様子を見ていると、誰一人、青梅に注意を払う人がいません。そこで、果物屋のおばさんにどうやって食べるのか、尋ねると、炒めるというのです。
そういわれてみると、確かに梅の料理は、中華にあまりありません。鴨に付ける甘い梅のたれ、見るからに塩っぱい梅干し。梅の塩水漬け。梅を炒めた料理なんて、お店のメニューにはなさそうです。
それでも、安いので買って帰って来ました。実は、私、梅仕事をしたことがありません。梅酒、梅干し一度も作ったことが無いので、梅とPCを前に考え込みました。梅干しは、この多湿度な香港では、無理そうです。梅シロップが一番簡単なようなので、早速準備。
検索で一番はじめにでていた、和歌山県のほりぐち農園の梅シロップの作り方を参考にしました。漬け込む前に、一晩梅を冷凍庫に入れます。そうすることで、梅の繊維が壊れ、よりエキスが出るとのこと。ふむふむ。
冷凍庫から出して、氷砂糖とびんに入れたところです。一週間から10日で、シロップの出来上がり。
毎日揺すってください、よりいいシロップが出来ます、との言葉に従って、毎晩、揺すっています。
3日目、 この梅、買ってきたときは、梅の香りがしませんでした。昨晩、揺すってあげたあと、蓋を取ってみました。ほりぐち農園の作り方に蓋を取ってはいけません、とは書かれてません。ワー、梅の甘酸っぱい香りです。あと一週間、楽しみな梅シロップです。
曇り、25度、87%
パグのモモさん、朝の散歩は、大きく分けて、ショートコースとロングコース。夕方の散歩は、山向きか町歩きか。それぞれ、毎日交互に選びます。前の日にどっちに行ったかを、記憶しているようです。つまり、私と二人での散歩は、モモさん任せ。
何分にも頑固なモモさんです。自分の行きたい方に行けないときは、頑として動きません。そして、 このようにあくびをします。昨夕のことです。山向きに向かったモモさん、急に2年以上も行っていない細い道を上り始めました。空模様が思わしくありません。戻ろうよ、と言うと、ご覧の通りあくびです。
この道は、夏は、蚊がぶんぶん。蛇だってでてきそうです。それに、ずいぶん階段を上がります。行き止まりかな?と、思われるようなところを細くて薄暗い道は続きます。上りきると、何でこんなところに?と、サッカーのピッチが高いフェンスに囲われて、広がっています。
あれあれ、雲がこっちに向かってきています。
モモさん、急いでよ!
このピッチの横に小さな公園があります。1分もかからず、横切れるほど小さな公園です。香港の公園は、犬は立ち入り禁止です。でも、この公園、管理人も遊んでいる人もいません。それで、モモさんちょっと失礼して、入れてもらいます。
この公園を好きなのは、実は私です。珍しくブランコがあります。ブランコは危険と、香港も日本も、遊具の中から姿を消しています。
ちょっと、ひとこぎ。 さあ、ここから100段近い階段を一直線に下りれば、もうすぐ我が家です。
小雨、24度、91%
ローズマリーがたくさんかかったラムチョップ。生のタイムの一枝が添えられたお魚のグリル。山椒や紫蘇と同じで、なくても良さそうですが、あると皿の中の様子が俄然生き生きとしてきます。見た目のグリーン、香りが料理と相まって、下手な料理を美味しくしてくれます。
ローズマリーやタイム、香港で切り売り物でもすぐ手に入るようになったのは、ごく最近のことです。20年ほど前は、種もありませんでした。オーストラリアからの種が手に入るようになって、毎年春になると、バジル、パセリ、タイムにローズマリーを蒔きました。
ところが、タイムとローズマリーは、私と相性が悪いのでしょう、いつも大きくならないまま枯らしてしまいます。苗で手に入るようになっても、懲りずに買っては枯らします。原産地の地中海沿岸のような気候ではありません。高温多湿、おまけにコンクリートの照り返しと、悪条件。毎年今年こそ、と思うのですが。
昨日久しぶりに、九龍サイドの花市に行きました。ローズマリーは、ラベンダーとも似ている上に、虫除け効果があるといい、あちらこちらのお店で安く売られています。
タイムは、生食と書かれて、たった一軒のお店しかありません。しかも、ローズマリーの3倍のお値段です。
南仏やギリシャの家の庭にある 背の高いローズマリーの木。あの風景に憧れています。風にそよぐだけで、ふわっと匂い立つローズマリーです。日本でも、横ばいのローズマリーが、大きく育っている庭を見ます。元気に育ってくださいね。
晴れ、21度、89%
香港、強い雨と雷まじりの天気が2,3日続きました。昨日の朝は、雨も上がり気温も低めでした。パグ犬モモの散歩から帰ると、普段ならそのまま走りに出かけます。ところが昨日は、朝早くに家人が、出張に出かけます。起こして、見送らなくてはなりません。
雨上がりの早朝の空気の美味しいこと。水を含んだ土の匂いも大好きです。家人を送り出し、散歩に出かけました。
雨上がりには、 当然、でんでん虫。悠々と道を横切っています。踏まれてしまいますからね。横の草むらに戻しました。でんでん虫のその先に、緑の物が動いています。
春から夏にかけて、雨、風が強い翌朝は、まだ羽も生えない鳥のひなが、巣から落ちて死んでいるのを見かけます。上を見上げても、鳥の巣は見当たりません。このまま置いておくのは忍びないし、草むらによけてやるのも哀れです。
まだ、飛べないのでしょうか? それとも、羽を落ちた拍子に傷めたのかもしれません。野生の小さな生き物は、よほどのことが無い限り、人間の元では生きられないことは解っています。
しばらくすると、 横向きになり、目を閉じていました。気温が下がっていますから、私の手の温もりで眠っているようです。家に帰ったら、モモのお芋を食べさせてみようと思いました。ピンセットもあるし、巣箱には小さなかごを使ってみよう、などと思いは一杯です。
体を起こしたかと思ったら、私の手のひらに、温かな糞をしていました。がんばれ!小さな頭をなでてやりました。手の中で、足を伸ばしたり、羽を広げたり。うまく行けば、助けてやれるかなと希望が胸を過ります。
あと一息で我が家です。 私の目をしっかりと見ていました。ところが、このすぐあと、手のひらに僅かに重みを感じました。それっきり、目を閉じたままです。
家に帰って、手を広げると、きれいな緑の羽根は、すっかり黒ずんでます。一瞬感じた重さも、どんどん軽くなっていくようです。
小さな命が、私の手の中でなくなりました。きれいな緑の羽根をしたひな鳥に出会って、たった一時間の間の出来事でした。