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昨日、「ペンギンクラシック」の布装丁本のことをこのブログで取り上げました。すると「日本では布装丁の本はありませんね。」とコメントをいただきました。古い本になりますが、日本の「布装丁本」を数冊持っているなと本棚を開けました。
香港からの帰国に伴う本の整理、この家の親達の本の整理、年齢による身辺整理での本の処理、本の数を減らしています。最近は日本の本はすぐにでも手放せる「文庫本」もしくは「古本」を求めます。ある程度溜まると古本の業者に引き取ってもらっています。
日本の「布装丁の本」、どの本だったかすぐにわかります。「布の装丁」が忘れられないからでしょう。数たくさんあるのは「幸田文」の単行本です。見出し写真は全て「幸田文」の「布装丁本」です。 どの本も巻末に一文添えられています。「装丁に使われた布は幸田文の好みの着物地です。」本の内容に合わせて編集者達が選んだ生地でしょうか。
どの本も手に取ると感触の良さが伝わってきます。紙の装丁より若干重みがあるかもしれません。
「井伏鱒二」のこの2冊も「布装丁本」です。 どの本を「布装丁」にするかは本の内容、出版者たちの意向を反映していると思います。
もしかして?と取りだしたのは、「北大路魯山人」と「永井龍男」の2冊でした。 とりわけ「永井龍男」の「東京の路地」の布は「しぼ」のあるいい生地です。
本を読むと同時に布を肌で感じます。
出版社は「新潮社」「岩波書店」さまざまです。本屋で「布装丁本」と気づかないのはカバーがかかっているからでしょう。紙のカバーです。中には本に薄紙をかけ、箱入りの物もあります。古典でなくとも文芸作品と呼ばれる内容のものが多いと感じます。
この家の本を整理した折、「夏目漱石」の全集を捨てました。「岩波書店」から出ており30巻近くありました。大型本で「布装丁」でした。父の本です。その朱赤の「布装丁本」がおそらく私が手にした初めての「布装丁本」だと記憶しています。明治の作家を映し出すかのようなあの布が目に浮かびます。
本屋で本を求めるとき、紙カバーを外してみてください。箱入りなら箱から出してみてください。きっと、「あっ!」と「布装丁本」が見つかりますよ。