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日本でも数冊翻訳が出ているが出ている「エリザベス・ストラウト」の九月十日刊行の最新刊を読みました。「Tell Me Everything 」誰が誰に全てを話すのかしら?と手に取りました。
舞台はアメリカ北部の州の街、「オリーブ・キタリッジ」に始まったこの街の人々の話です。もちろん「ルーシー・バートン」も出て来ます。オリーブとルーシーの出会いの橋渡しをしたボブが今回のメイン人物です。オリーブはすでに90歳近く、ルーシーは65歳を過ぎています。ボブはルーシーより数歳年上。私には馴染み深い年齢です。
話の筋は街に起こった殺人事件の弁護人をボブが引き受けることから始まります。推理小説ではありません。街に起こった殺人事件、オリーブ、ルーシーはそれをどう受け止めたのか。ルーシーの夫ウィリアム、ボブの妻のマーガレットとの夫婦関係も交えての展開です。アメリカの離婚率の高さは広く知られています。離婚再婚を繰り返すと家族関係はより複雑になります。小さな街、大きな街関係なく人が住むところに起きうる事件,人の営み、知られざる人ひとりひとりの人生があることをルーシーは思いを巡らせます。もちろんオリーブは年齢からもそのことを体で知っています。
「Life is Life」という言葉が随所に出て来ました。人は語らないけれど人生があり、そこには夢や愛があり、落胆や失望や困難が待ち受けている、それを乗り越えるために愛や友情が彩りを添えてくれる、そんなことをこの本は改めて教えてくれます。
「Tell Me Everything 」はアメリカのブッククラブの推奨を受けています。68歳エリザベス・ストラウトの若い時の作品から一貫して流れる人間愛、間違いも欠点も含めてその人なんだと言っているようです。自分を顧みて励まされます。家族の愛があり、生きて来た思い出があり、これから病に患うことがあっても、老いを迎えても私は私の語らない人生を持っています。エリザベス・ストラウトの本は4冊目です。アメリカの作家の持つ直裁的な表現がスッと入って来ます。この本は和訳が出てくれると思います。