雨、25度、86%
45年近く会わない人がいます。息子が幼稚園に上がる前の数年、とても仲良くしていた友人です。今で言う「ママ友」です。出会いは家の近くの公園でした。同じ歳の男の子が数人いました。子供同士より母同士の方が仲良くなりました。彼女は私と同じ歳だったからかもしれません。しっかりした人でした。同じ歳だけどいつもお姉さんみたいに私に接してくれました。主人の休み以外はほとんど毎日会いました。子供を連れて遠くの公園まで行ったりもしました。
私は学生から母親になったばかり、しかも母が生活のことをしない人でしたから。主婦として知らないことばかりでした。テキパキ家事をこなす彼女の後ろ姿にたくさんのことを教えてもらいました。編み物もミシンがけも手を取って教えてくれました。幼稚園に入る少し前でした。「お金を貸してくれない?」と電話がありました。主人に相談すると「貸すならあげるつもりで貸しなさい。」と言われました。考えた挙句断りました。その後すぐ電車で2時間近くの街に越して行きました。お互いの子供が幼稚園に上がると疎遠にはなりましたが、たまに会うこともありました。私が香港に渡った後もしばらくは賀状のやり取りがありました。ぷっつり付き合いが途絶えたのはいつ頃からだったか?
この彼女に会いたいとこの数年切に思います。編み棒を手にする時、ミシンの前に座った時。彼女がいなければ今の私はなかったと懐かしみます。ソーシャルネットワークの登録も調べましたが見つかりません。昔の住所は手元にあります。どうにかして探し出して会いたいと思っています。
彼女が越した街に息子と訪ねて会ったのが最後でした。駅近くの「ガチャガチャ」に、我が家の近くにはない「ウルトラマン」のマグネットがありました。今も4つだけ残っています。この「ガチャガチャ」を持って改札口を抜ける私と息子を最後まで見送ってくれた彼女と息子さんたちの姿が記憶の奥底にあります。いつかきっと会いに行きます。