気ままに

大船での気ままな生活日誌

パリ・マルモッタン美術館の”日の出・印象”

2012-04-28 18:48:48 | Weblog
ブーローニュの森に近い、高級住宅街として知られるパリ16区に、その美術館は佇んでいる。歴史家ポール・マルモッタン(父親は実業家)の邸宅だったところで、蒐集した美術品と共に、フランス美術アカデミーに譲与され、今日のマルモッタン美術館に至っている。その間、モネの息子、ミシェルの父親の作品群の遺贈などもあり、モネなど印象派フアンには見逃せない美術館になっている。

とりわけ、”印象派”という言葉を生んだ、モネの名作”日の出・印象”が所蔵されているので有名だ。ぼくも、この作品が大好きで、この美術館で”日の出”を観るのを楽しみにしていた。この美術館では、この絵を観るだけでいいとさえ思った。地下のモネの展示室に、その絵は、美術館の代表作であるのに、ほとんど”ひそやかに”といった感じで、その姿をみせてくれた。大物なのに大物ぶらない絵だった。そういえば、この絵がはじめて展示されたとき、子供が描いた絵のようだ、とまで酷評された。人の評価なんてあてにならないと、この絵はささやいているのだろう。だからこんなに慎ましくみえるのだ。

モネの一連の睡蓮の作もあるが、晩年、白内障に罹り、ほとんど見えない目で、描いた”睡蓮”が印象的であった。赤く塗られたキャンパスの中に、ぼんやりと太鼓橋らしい橋や池の睡蓮らしき物が浮かんでいる。まるで、モダンアートのようだ(笑)。ほかに、ルーアン大聖堂、サンラザール駅などもある。一階には、シスレー、ルノワール、ピサロなどの作品も。ちょうど、ベルト・モリゾ特別展も開催されていた。ベルト・モリゾは、マネのモデルもしていたから、その肖像画はよく知られている。オルセー美術館にある。写真をみると、肖像画そっくりな美人で、身体も、モデルさんのようにすらりとしている。展覧会では、たくさんの作品が展示され、穏やかな気持ちになるようなものばかりだった。可愛い娘さんをモデルにしている絵も多く、身近な、家庭的な作品ばかりだった。いくつか気に入った絵ハガキを買ってきたので、載せておく。ぼくはあまり知らない画家だったが、ここでフアンになった。”日の出”がお近づきの縁となった(笑)。

元邸宅なので、建物の内装や家具や装飾品なども、見ごたえがあったが、撮影禁止なのが残念であった。 地下に降り、もう一度、”日の出”をみて、ぼくはマルモッタン美術館を離れた。

・・・・・

日の出・印象



白内障のモネが描いた”太鼓橋”



ベルト・モリゾ展から





マネが描いたベルト・モリゾの肖像画


マルモッタン美術館


ベルト・モリゾ展
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サウンド・オブ・サイレンスから連想する映画といえば?

2012-04-28 07:06:58 | Weblog
サイモン&ガーファンクルの”サウンド・オブ・サイレンス”が流れてくる映画というと、なんでしょうか?・・・(サイレンス)・・では、第二ヒント、加えて、”スカボロー・フェア”も流れます。・・・(サイレンス・・・では、第三ヒント。”ミセス・ロビンソン”も。・・・ここまでヒントを出してわからない人は、ダスティン・ホフマン主演といっても、はあ?と首をかしげるアラフォー以下の若い人かもしれない。答えは”卒業、The Graduate”です。

鎌倉市川喜多映画記念館で”映画の都ハリウッド/華やかなるスターの世界”展が開催されている。三か月の開催期間中、”風と共に去りぬ”など14本の映画が上映される。今日の上映が”卒業”だった。1968年上映だから、ぼくは劇場でみている。その後もテレビでみたりしているが、スクリーンで観るのは、うん十年振りになる。

いきなり、サウンド・オブ・サイレンスが流れ、主人公のベン(ダスティン・ホフマン)が東部の名門大学を卒業して故郷に戻るところから、この物語は始まる。まさにぼくと同年代の若者が主人公だ。大学卒業後の進路が決まらない、まじめな性格のベンに欲求不満の(笑)、両親の友人であるミセス・ロビンソン(アン・バンクロフト)が誘惑する。ところが、ベンの両親は、バークレーの大学を卒業するミセス・ロビンソンの娘さん、エレイン(キャサリン・ロス)を気に入っていて、息子と結婚させたいと思っている。

幼馴染のベンとエレインは故郷で再会、互いに好意をもつが、ミセス・ロビンソンの邪魔が入り、ぶち壊される。母とベンの不倫を知ったエレインは、ベンとの結婚をあきらめ、バークレーに戻り、医学生とつきあいはじめる。ベンは、あきらめきれず、バークレーの安アパートを借り、エレインを追い掛け回す。エレインも心の奥ではベンに好意を持ち続けている。物語の節目、節目に”スカボロー・フェア”が流れる。そして、アクセントとに、”ミセス・ロビンソン”も。

そして、有名なラストシーン。内緒でサントバーバラの教会で結婚式を挙げている、エレインのところに駆けつけるベン。教会のガラス窓を叩きながら、”エレイン”と叫ぶベン。一瞬、戸惑うエレインも、”ベン”と大声を上げ、花嫁姿のまま、ベンのところへ駆け寄る。そして、鬼の形相のロビンソン夫妻の引き止めを振り切って二人は逃げる。助け舟のように、ちょうどやって来た長距離バスに乗り込む。怪訝な顔の乗客の中で、後部座席に座り、微笑む二人。そこへ、サイモン&ガーファンクルの”サウンド・オブ・サイレンス”が小気味よく流れてくる。青春の一途さに、うらやましくもあり、思わず目頭があつくなってしまう。

映画の中で流れ続けた、サウンド・オブ・サイレンス、スカボロー・フェアそしてミセス・ロビンソンの三曲は、まさにぼくの青春時代、楽しいとき、苦しいとき、いつもどこかで耳にしていた曲だ。約2時間、ぼくの心の中は昭和40年代の空気ですっぽり埋まっていた。

外に出ると、雨が上がっていた。八幡さまの段蔓のツツジは大分、花をつけていた。








the sound of silence

Hello darkness, my old friend
I've come to talk with you again
Because a vision softly creeping
Left its seeds while I was sleeping
And the vision that was planted in my brain
Still remains
Within the sound of silence







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