マドリードから75キロ、西に向かうと、トレドの旧市街が見えてくる。北側の城壁と三方をタホ川に囲まれた自然の要塞となっていて、スペイン史の中で2度、都として繁栄した。フィレンツェの市街を見下ろせるミケランジェロ広場のような、トレドの街の展望ポイントがあり、そこで、バスを降りる。
トレド全景。 ここも17年前、仕事の合間に観させてもらっている。タホ川に囲まれているトレドの街は何度みても素晴らしい。感激新たに。左側の塔が、今日、紹介する大聖堂。
中央に大聖堂。
さて、街の中に入り、旧市街を散策したあと、最初に見学する場所は大聖堂。ここは、スペイン・カトリックの本山ともいうべき地位にあり、1226年、建立が始まり、それから250年たった1493年に完成した。最初の設計者はフランスゴジックに精通したマルティンで、あとを継いだペトリはムデハル様式を多用し、結果として、建物はゴジック、内部はスペイン郷土色の強いものとなった。さらに、19世紀に至るまで、無数の増改築が繰り返され、その時代の様式が取り入れられた。そのため、この教会を一回りするだけで、ゴジックからルネッサンス、バロック、ネオクラシック、ムデハルとあらゆる様式を観るこができるとのことだ。
大聖堂内部:建物はゴジック最盛期の5廊式だが、堂の中央に大礼拝堂と聖歌隊席を、それぞれ箱のように独立させている。堂全体は、8~12本で構成された88本の角柱によって支えられ、四方の壁に沿って、いくつもの礼拝堂が置かれている。
頑丈な角柱
総数750に及ぶステンドグラスがうつくしい。
大礼拝堂はプラテレスコ様式の鉄柵内にある。
柵の隙間から覗くと素晴らしい祭壇が。枢機卿シスネロスの命により、1497~1504年に当時一流の彫刻家らにより制作された、木彫彩色に金をほどこした”キリストの一生”が飾られている。
礼拝堂に向かい合って、聖歌隊席がある。
パイプオルガン
入口近くの小祭壇にみられる白い聖母。 雪花石膏を彫って彩色した、14世紀フランス・ゴジック。
大聖具室は美術館のようなもの。天井画は17世紀のナポリ生まれのルッカ・ショルダーノ作。
奥の正面は、エルグレコの傑作”略奪”
エルグレコの十二使徒を描いた作品の一部、そのほか、ティツィアーノ、ラファエロ、ゴヤらの作品も。
宝物庫も素晴らしい。
さすが、スペイン・カトリックの”総本山”。ぼくらは大満足して、次のエルグレコの名作”オルガス侯の埋葬”のあるサント・トメ教会に向かったのだった。
(つづく)