気ままに

大船での気ままな生活日誌

徒然なるままに初冬の高砂百合

2018-12-04 22:05:23 | Weblog

こんばんわ。

今日は、午後の中途半端な時間にはじまる竹内整一先生の”徒然草を読む”の受講日。始まるまでの時間の出来事を綴る恒例の”徒然なるままにシリーズ”です(笑)。

お昼を食べて、大船フラワーセンターで遊んだあと、始業時間前に大学のメインゲートからの菩提樹の並木道に入ってびっくり。なんと、真夏の花、高砂百合が一本、凛として咲いていた。今日はたしかに夏の陽気だったけど、まさかね。

初冬の高砂百合。ようこそ!

近くは、こんな紅葉なのに。

でも、実は、それほどびっくりはしていない(笑)。何故なら、この近くのさくら道で今年の1月、なんと、”真冬の高砂百合”をみているからね。この調子なら、今年も、真冬の高砂百合も期待できそう。

さて、今日の徒然草。とうとう出て来ました。第229段。小林秀雄の”徒然草”で有名になった段。

よき細工は、少し鈍き刀を使ふと言ふ。妙観が刀はいたく立たず。
(すぐれた細工師は、少し鈍い刀を使って細工するといわれる。妙観の刀はそれほどの切れ味はない)

では、小林秀雄の”徒然草”から。

兼好は誰にも似ていない。よく引合いに出される長明なぞには一番似ていない。彼は、モンテエニュがやった事をやったのである。モンテエニュが生まれる二百年も前に。モンテエニュより遥かに鋭敏に簡明に正確に。文章も比類のない名文であって、よく言われる枕草子との類似なぞもほんの見掛けだけの事で、あの正確な鋭利な文体は稀有のものだ。一見そうは見えないのは、彼が名工だからである。”よき細工は、少し鈍き刀を使ふといふ。妙観が刀は、いたく立たず”、彼は利き過ぎる腕と鈍い刀の必要とを痛感している自分の事を言っているのである。物が見え過ぎる眼を如何に御したらいいか、これが「徒然草」の文体の精髄である。 

鈍刀を使って彫られた名作のほんの一例を引いて置こう。これは全文である。「因幡の国に、何の入道とかやいふ者の娘容美しと聞きて、人数多言ひわたりけれども、この娘、唯栗をのみ食ひて、更に米の類を食はざりければ、斯る異様の者、人に見ゆべきにあらずとて、親、許さざりけり」(第四十段)これは珍談ではない。徒然なる心がどんなに沢山な事を感じ、どんなに沢山な事を言わずに我慢したか

これはきっと小林秀雄が自分自身のことを言っているのかもね。

フラワーセンターで見た名工に使ってもらえそうな鈍い刀雲。

今朝のお月さまは名工には使ってもらえそうもない鋭い刃物月。でも、素人が使うと怪我しそう。

では、おやすみなさい。

いい夢を。

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ルーベンス展/バロックの誕生(3)

2018-12-04 10:43:17 | Weblog

おはようございます。ルーベンス展の第3報です。第4章以下、これぞバロックという作品が目白押しです。

第4章 神話の力1)ヘラクレスと男性ヌード

この章は男性ヌード、とくにヘラクレスに焦点を当てている。《ファルネーゼ家のヘラクレス》などの古代彫刻に理想の男性像を見出したようだ。ここでは、ルーベンスの”ヘラクレス”のほか、レーニの”ヒュドラ殺害後休息するヘラクレス”、コルトーナの”懲罰を受けるヘラクレス”など同時期の画家の作品、2世紀のヘラクレスの頭部も参考に展示されている。 

ヘスペリデスの園のヘラクレス(1638)トリノ・サバウダ美術館


章 神話の力2/ヴィーナスと女性ヌード

ここでは、ヴィーナスやスザンナら女性ヌード作品が並ぶ。

スザンナと長老たち(1606-07年)ボルゲーゼ美術館 旧約聖書のダニエル書スザンナと長老の物語を題材にしている。ヘブライ人の美しい女性スザンナは庭で水浴していた。二人の好色な長老がのぞき見していて、さらに関係をもとうと嘘をつき、脅す。

バラの棘に傷つくヴィーナス(1608-10)南カリフォルニア大学フィッシャー美術館  身体をひねりながら、足裏に刺さったバラのトゲを抜くヴィーナス。


6章 鉛筆の熱狂
絵筆の熱狂”
とは?この言葉はルーベンスの伝記作者たちによってつくられたもので、ルーベンスの作品がかもしだす生き生きとして濃密な動きを表現しているとのこと。

パエトンの墜落(1604/05)ワシントン、ナショナル・ギャラリー 馬車を暴走させた太陽神アポロンの息子パエトンが、最高神ユピテルに雷で撃たれ墜落する瞬間。

ほかにルーベンスの数点、ベルニーニがここでもみられる。

7章 寓意と寓意的説話

そして、この美術展の最終盤、これぞルーベンスの作品が並ぶ。うっとり(笑)。関連の古代彫刻が共に並ぶ。一部、朝日新聞の美術記事の写真を引用している。

マルスとレア・シルウィア (1616-17)リヒテンシュタイン侯爵家

イタリアの燭台(2世紀半)を参考にしたようだ。


ヴィーナス、マルスとキューピッド (1630年代)ロンドン、 ダリッチ絵画館

右の彫刻は”かがむアフロディアナとエロス”

ローマの慈愛(キモンとペロ)(1610-12)エルミタージュ美術館 餓死の刑に処されている父親キモンは死の寸前にある。そこへ娘ペロが現れ、死にかけている父に自らの母乳を与えるシーン。


エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち》1615-16 年 ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家 ギリシャ神話のワンシーン。籠の中の蛇と人間の姿をしている赤ちゃんがエリクトニオス。赤ん坊に手を差し伸べているのがアテナ。そして、周囲のケクロプスの娘たち。

とても、すばらしい展覧会でした。できれば、もう一度、行けたらと思っている。

これで、ルーベンス展の完といたしまするが、今晩、ぶら美で本展の紹介があるので、補完編を投稿するかも。

では、みなさん、風邪にも負けず(ぼくは数日前からひいてます)、今日も一日、お元気で!

 

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