こんばんわ。
八幡さまで夏越の茅の輪くぐりをしたあと、近くの鏑木清方記念美術館に立ち寄った。お目当ては、”築地明石町”。長年、行方不明だったが44年振りに見つかり、最近、東近美の所蔵となったあの清方の名作だ。
その本画がもう鎌倉へ?・・というわけではありません。美術館のロビーに清方のいくつかの名作の複製画が代わる代わる飾ってあるのだが、今回は”築地明石町”のはずと思ったわけです。ぼくが館長ならば、絶対そうする!
さて、どうだったか。やっぱり思った通り!今の時期なら、清方の娘さんを描いた”朝涼”だろうが、急遽、変えたのでは。解説文に、このニュースのこと、そして、10月26日からの展覧会には築地明石町の下絵が展示されることも記されていた。たしか、同じ頃、東近美で本画が展示されると聞いている。まず、下絵を鎌倉で見て、本画を竹橋で。今からとても楽しみ。わくわく。
築地明石町
美術館で絵葉書を買おうと思ったが、館蔵品でないので、売ってない。この名作は15円切手にもなったのだが、それは展示されていた。ただし非売品。今、相当、値が出ているのでは(笑)。
今回の展覧会は”清方と江戸の粋/三遊亭圓朝とのかかわり”というテーマだが、東近美が約5億円で一括購入した三美人のうち、”新富町”(下絵)も展示されていた。下のニュース画像の右側の美人である。
三遊亭圓朝像は、本画がやはり東近美にあるが、ここでは、下絵。
圓朝は新作落語をつくり、”怪談牡丹燈籠”という名作もある。幽霊画コレクターとしても有名で、ぼくも谷中の全生庵に見に行ったことがある。本展には清方の”牡丹燈籠”が展示されている。清方は父の関係で13歳からの知り合いで、目をかけてもらい、生涯、圓朝を敬愛していた。
歌舞伎座所蔵の”さじき”も来ています。七月大歌舞伎には是非行かねば。
そして、何よりうれしかったのは、ぼくの好きな”朝夕安居”が見られたこと。明治20年頃の築地界隈の夏の朝、昼、夕の風景を描いたもので、但書きに、この絵は誰かに見せるために描いたのではなく、自分自身のためと記している。ぼくはもちろんこの時代にはいないけど、なんだかとても懐かしい風景でじーんときてしまう。
久し振りに、築地明石町発見記念に(笑)全部、紹介しましょう。美術館で以前、買った絵葉書セットからです。
朝夕安居
朝、その1。新聞配達をする少年。道を掃き清める奉公の娘さん。煮豆屋の車を呼び止めるおかみさん。
朝、その2。家の裏では井戸端会議の真っ最中。水桶を運ぶお姉さん。朝顔、物干し。
昼。百日紅の木陰で一服する風鈴屋さん。ちりんちりんと涼やかな音が聞こえてきそう。
夕方、その1。娘さんが行水で汗を流している。手前の女性はランプの掃除をしているのだろうか。
夕方、その2。むぎゆ(麦茶のこと)、さくらゆを楽しむ人々。夏の夕方、涼み台を並べ、むぎゆやさくらゆを売るお店がかってあったようだ。
築地明石町発見記念の鏑木清方記念美術館訪問の記でした。
それでは、おやすみなさい。
いい夢を。