こんばんわ。もう3週間にもなるだろうか、円応寺の金木犀を見に行ったとき、巨福呂坂洞門をくぐってすぐの神奈川近代美術館・鎌倉別館に立ち寄った。ちょうど荘司 福展/旅と写生/ドローイングが開催されていた。
荘司福の作品は、この美術館のコレクション展でよく見かけたが、今回のような規模の個展は、ぼくにとっては、2019年の平塚市美術館での”荘司福・荘司貴和子展”以来である。今回ははじめて写真撮影OKだったので、お礼の印に、なるべくたくさんの作品を紹介したい(笑)。
荘司福(1910-2002)は、”旅と思索の画家”といわれるほど、日本各地のみならず、中国、インド、カンボジア、アフガニスタン、エジプトなどへ旅している。そこで取材した多くの作品が約60点も展示されている。本画だけではなく、スケッチやドローイングも。
では、それぞれのテーマごとに。
遺跡への旅
”次なる作品は次なる取材から” この言葉をモットーに世界中の様々な土地を訪れた。最初の渡航地は文化大革命下の中国へ。そしてインド、ネパール、カンボジア、アフガニスタンなどへ。
虚(1969)カンボジアのアンコールワットに取材
聖河渇仰 (1970)インドの世界遺産マハーパリブラムに取材
旅の途中
若い群(1963)
東北聚集図(1966)
舞台裏にて(旅一座の二人)(1963)
万物の変化
アジアや中東の旅で、壮大な時間の流れを感得した荘司は、それをいかに描くかに心を砕いた。また、東北旅行で廃仏毀釈により破損された仏像を見て、心を痛めた。破損仏をテーマにした作品では樹木から作られた仏像が再び木材に戻り、風化していく長い時間を描こうとする。
樹象(1980)手前の作品
《物化》1976年 東北やカンボジアで目にした風化してゆく仏像と樹根を描く。
石と時間
こちらは石の時間がテーマ。樹木よりさらに長い時間を描く。
刻(とき)(1985)福井県一乗谷の朝倉氏遺跡に取材
風景とは何か
1980年、70歳を迎えた荘司は時の流れの無常観から自由になり、自然と向き合い写生することを通して移りゆく時間を受け容れ、達観した境地で絵を描くようになった。
到春譜(1987)
到春譜/季節の一瞬を描きとめる。
映(1994)多数のスケッチを組み合わせ構図を決めた。
山響(1990)宮城県、秋保大滝に取材。
万里の長城を取材する荘司福(1967)
すばらしい展覧会でした。
では、おやすみなさい。
いい夢を。
今朝は月も金星も見られませんでしたが、朝焼けが魅せてくれました。