『キンキーブーツ』をDVDにて鑑賞。
これは公開時もちょっと気になってた。キンキー(変態)ブーツっていうのは、膝上まであるロングブーツ。派手な色やデザインとピンヒールで、よくドラッグクィーンや夜のお仕事の女性がはいているアレ。そして、これは実話。テレビのドキュメンタリー番組を見た関係者が映画化したもの。実際の工場は縮小されたものの今もキンキーブーツを作っているそう。
「婚約者に引きずられるようにしてロンドンで暮らし始めたチャーリーは、父の急死により傾きかけた靴工場を継ぐことになるが・・・」という話。日本でもそうだけどイギリスでも昔ながらの工場などは経営が苦しくて次々閉鎖されているらしい。『フルモンティ』や『リトルダンサー』でも、いわゆる労働者階級の生活の厳しさが描かれていた。この映画の主人公チャーリーは経営者の立場なので労働者ではないけれど、倒産しかけた靴工場の経営者では苦しさは同じ。むしろ彼らをリストラしなくてはならないという辛い立場。みんながみな非情になれるわけではない。
会社存続のため奔走する中、ドラッグ・クィーンのローラと出会う。ローラは体格のいい黒人男性。彼女はきつい女性用の靴をムリして履いていた。リストラ候補だった女性社員ローレンとの会話で一念発起したチャーリーは、ローラの靴を思い出し、紳士用の靴から一転キンキーブーツを作ることになる。この辺りはコメディータッチで描かれていて、つまらなそうな硬い表情のチャーリーが空回りしつつも頑張る姿がおかしい。チャーリー役のジョエル・エドガートンが上手く演じている。
チャーリーは父親と婚約者に頭が上がらない。特に何かしたいことがあるわけでもなく、流されるように生きてきた。そんな彼が社長になり、部下や工場の事を考えて夢中になっていく。そんな感じはこの手の映画にはありがちな気はするけど、やっぱり引き込まれる。主人公のモデルになった人物が実際はどんな人なのかは知らないけど、普通に呑気に暮らしていても、何かしら責任や守るべきものを持った時、人は空回りするくらい頑張るハズだ。普通の人であれば・・・。そして、そういう事から逃げていては自分も大きくなれない。
ローラ役のキウェテル・イジョフォーが良かった。K1の選手なんじゃというくらいの体格なのに、派手なメイクと衣装に身を包み、しなを作りながら野太い声で歌う姿はおかしい。でも、実はとっても繊細で傷つきやすい感じも良かった。人は見たいことしか見ないので、がたいの良い黒人のドラッグ・クィーンには何を言っても平気だろうと思っているけど、実は誰よりも繊細で傷つきやすい場合だってあるのだ。チャーリーにもそんな部分があるので共感するところがあったのだろう。決して工場のためだけではなかったはず。
プライス社の工場はトリッカーズ社の実際の工場を使っている。これが古くて機械的過ぎずとっても良い。昔ながらの職人達が良く似合って、少し古臭いけどきちんとした紳士靴が出来上がっていく感じはすごく良い。その同じ工場でド派手なキンキーブーツが作られる。映画化したいと思ったのは、昔ながらの渋い職人が生真面目にキンキーブーツを作っている姿がとても良かったからだったそう。靴に対して彼はどこまでも真摯な態度だったと。そういう職人さんがたくさん出てくる。
かっこはいいけど心のこもらない使い捨ての靴と、古臭いけど一生モノのプライス社の靴。何でもある大都会ロンドンと何もないノーザンプトンの街。垢抜けていて都会的な婚約者と少し野暮ったいけど温かいローレル。いろんな対比がある。でも、良くある古き良きもや、田舎万歳な感じでもないのが良かった。
感動! って感じではないけれど、ほのぼのとしたいい感じの映画だった。
⇒『キンキーブーツ』Official site
これは公開時もちょっと気になってた。キンキー(変態)ブーツっていうのは、膝上まであるロングブーツ。派手な色やデザインとピンヒールで、よくドラッグクィーンや夜のお仕事の女性がはいているアレ。そして、これは実話。テレビのドキュメンタリー番組を見た関係者が映画化したもの。実際の工場は縮小されたものの今もキンキーブーツを作っているそう。
「婚約者に引きずられるようにしてロンドンで暮らし始めたチャーリーは、父の急死により傾きかけた靴工場を継ぐことになるが・・・」という話。日本でもそうだけどイギリスでも昔ながらの工場などは経営が苦しくて次々閉鎖されているらしい。『フルモンティ』や『リトルダンサー』でも、いわゆる労働者階級の生活の厳しさが描かれていた。この映画の主人公チャーリーは経営者の立場なので労働者ではないけれど、倒産しかけた靴工場の経営者では苦しさは同じ。むしろ彼らをリストラしなくてはならないという辛い立場。みんながみな非情になれるわけではない。
会社存続のため奔走する中、ドラッグ・クィーンのローラと出会う。ローラは体格のいい黒人男性。彼女はきつい女性用の靴をムリして履いていた。リストラ候補だった女性社員ローレンとの会話で一念発起したチャーリーは、ローラの靴を思い出し、紳士用の靴から一転キンキーブーツを作ることになる。この辺りはコメディータッチで描かれていて、つまらなそうな硬い表情のチャーリーが空回りしつつも頑張る姿がおかしい。チャーリー役のジョエル・エドガートンが上手く演じている。
チャーリーは父親と婚約者に頭が上がらない。特に何かしたいことがあるわけでもなく、流されるように生きてきた。そんな彼が社長になり、部下や工場の事を考えて夢中になっていく。そんな感じはこの手の映画にはありがちな気はするけど、やっぱり引き込まれる。主人公のモデルになった人物が実際はどんな人なのかは知らないけど、普通に呑気に暮らしていても、何かしら責任や守るべきものを持った時、人は空回りするくらい頑張るハズだ。普通の人であれば・・・。そして、そういう事から逃げていては自分も大きくなれない。
ローラ役のキウェテル・イジョフォーが良かった。K1の選手なんじゃというくらいの体格なのに、派手なメイクと衣装に身を包み、しなを作りながら野太い声で歌う姿はおかしい。でも、実はとっても繊細で傷つきやすい感じも良かった。人は見たいことしか見ないので、がたいの良い黒人のドラッグ・クィーンには何を言っても平気だろうと思っているけど、実は誰よりも繊細で傷つきやすい場合だってあるのだ。チャーリーにもそんな部分があるので共感するところがあったのだろう。決して工場のためだけではなかったはず。
プライス社の工場はトリッカーズ社の実際の工場を使っている。これが古くて機械的過ぎずとっても良い。昔ながらの職人達が良く似合って、少し古臭いけどきちんとした紳士靴が出来上がっていく感じはすごく良い。その同じ工場でド派手なキンキーブーツが作られる。映画化したいと思ったのは、昔ながらの渋い職人が生真面目にキンキーブーツを作っている姿がとても良かったからだったそう。靴に対して彼はどこまでも真摯な態度だったと。そういう職人さんがたくさん出てくる。
かっこはいいけど心のこもらない使い捨ての靴と、古臭いけど一生モノのプライス社の靴。何でもある大都会ロンドンと何もないノーザンプトンの街。垢抜けていて都会的な婚約者と少し野暮ったいけど温かいローレル。いろんな対比がある。でも、良くある古き良きもや、田舎万歳な感じでもないのが良かった。
感動! って感じではないけれど、ほのぼのとしたいい感じの映画だった。
⇒『キンキーブーツ』Official site