・*・ etoile ・*・

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【cinema】『スパイダーマン3』

2007-05-06 02:02:56 | cinema
'07.05.04 『スパイダーマン3』@TOHOシネマズ olinas

待望のスパイダーマンシリーズ最新作! スパイダーマン大好き。サム・ライミの自分が撮りたければ多少の無理も押し通す感じが最高。『スパイダーマン2』ではNYのど真ん中で核融合実験とか、スパイディーが体を張って止めた電車の終着点部分とか。やりたい放題(笑) でも、そのバカさ加減が大好き。そもそもスパイダーマンはNYの犯罪しか解決しないし、最終的にはMJを助けることのみだし(笑)

「今やNYのヒーローになったスパイダーマン。恋人MJとの仲も順調かに見えたが・・・」という話。とにかく楽しかった。タイトルバックが毎回凝ってて大好き。ダニー・エルフマンの曲もすごくいいし、スパイディーのコスチュームカラーの赤地にクモの巣をデザインした画もすごくいい。そこに時にアメコミタッチの絵を交えて前2作のシーンをカット割りで見せる。本編では人物相関図的な説明はほとんどないので、前2作を未見だと厳しいけど、見たことがあるならほぼ思い出せる。そもそも、そんなに複雑な話じゃないし(笑) 大ファンの私としてはこのタイトルバックからニヤニヤ。そのこだわりがホント好き。

もう大好きだから逆に書くべきこともまとまらないし、書こうとするとネタバレばかりになってしまう気がする・・・。とにかくこのシリーズの良さは、主人公が普通よりむしろややダサめな青年なこと。優等生でいい子だけどオタク。好きな女の子には何も言えず見つめるだけ。いわゆるヒーローとはかけ離れた人物なのがいい。スーパーヒーローとしてなら簡単にできることが、自分自身としては上手くできないみたいな感じは、きっと誰もが共感できるんじゃないかと思う。誰もが自分に自信があるわけでもないし、人生は誰にとっても大変なものだ・・・。そしてきっと多少なりとも大変でない人生はつまらないのだとも思う。何スパイダーマンを見て熱くなってるんだと思うけど(笑) でも、まさしく映画だけでなく『スパイダーマン』の魅力は苦悩する主人公や登場人物達にあると思う。ヒーローをヒーローとしてやっているのではなくて迷いながらやっている感じ。実生活では冴えないって設定はよくあるけど、ピーター・パーカーほど冴えないのは珍しい。他の冴えないヒーローはあえて冴えなくしてたりして、正体を知らずにバカにしている他の出演者に対して、見てる側がバカにする視点を持たせて笑いを取る場合が多い。例えば『水戸●門』とか『浅見●彦シリーズ』とか。それも面白いけど、この作品はそうしないのが持ち味。スパイディーとピーターの間にそんなに違和感がない。それがいい。

MJも、ハリーも、メイおばさんも登場人物たちは常に悩んだり、寂しかったり、迷ったりしている。その等身大の感じがいい。おばさん世代にも悩みはある。もちろんヒーローモノなのだから悪役と戦ったり、人々を危機から救ったりするシーンが見せ場に決まっているけど、本当に描きたいのはピーターや登場人物達の成長なのではないかと思う。前2作ではそこがしっかり描けていた。前作まではスパイダーマンである自分を受け入れるところまでだったけど、本作はその後が描かれる。少々うかれ気味のところから始まる。スパイディーは今ではNYの人気者で、私生活ではMJと順調。そのうかれ具合も分かりやすい(笑) ネタバレになるので詳しく書けないけど今回ピーターは復讐にとらわれ自分を見失う。それは今回の敵であるベノムによるところもあるのだけど、その見失いっぷりが笑える。JAZZ BARのシーンなんて完全にやり過ぎだから! あれでMJがピーターを嫌いにならないんだからMJは本当にピーターを愛しているんだな・・・。まぁ映画ですけど(笑)

そして、何といっても悪役がいい。今回はベノムとサンドマンとニューゴブリン(ハリー)(←反転)。まずデザインがいい。今回はサンドマンがよかったけど、デザインのバカさではドック・オクを抜けないかな。あれは見事なくらいバカだった。ドック・オクは大好き。アルフレッド・モリーナも含めて大好き。そして何より、悪役がいいのは哀しい人であること。ベノムにはあんまり同情できなかったけど、サンドマンとニューゴブリンは哀しい。もちろん悪役なので悪に堕ちた理由も身勝手だったりするのだけど・・・。サンドマンのラストの表情がいい。そしてニューゴブリン(涙) となりの席の初老の紳士は泣いておりました。伏線となるセリフがあったのもまた哀しい。

CGの質はますます上がりスピード感がスゴイ! お得意の車飛ばし、空中戦などが目白押し。ただ、狙いだと思うけど画面が揺れる。混んでて前の方の席しか取れなかったので画面が近いし、揺れるしかなり酔った。キャラデザインとかもろもろバカでホントいい。サンドマンはデカすぎだろう(笑) あと、ピーターの部屋とか、MJの部屋のデザインとか街並みとかもどこかレトロな感じがするのもいい。

トビー・マグワイアは当たり役。頑張れば頑張るほど不細工になるのもツボ。もちろん褒めている。MJが不細工なのもよし。今回かなり老けている。でも、よし。MJは隣りのかわい子ちゃんだから。今回ハリーが良かった。繊細で。サンドマンのトーマス・ヘイデン・チャーチもいい。そしてメイおばさんのローズマリー・ハリスがいい。品が良くて優しくて、そして正しい。

サム・ライミのオタクぶりが満載。JAZZ BARのシーンとかもミュージカルを撮りたかったんだろうし。そういう遊びがたくさんある。悪役が複数だったのでスピード感はあったけど、登場人物達の内面の掘り下げは前作の方が良かったかなとは思う。ただ、今回のテーマ「許し」はとっても心に響いた。許すということは相手だけでなく自分も許すということなのだと納得。


『スパイダーマン3』Official site
『スパイダーマン3』公式blog

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【cinema / DVD】『エトワール』

2007-05-06 00:50:21 | cinema / DVD
『エトワール』をDVDにて鑑賞。

300年の歴史を誇るパリ・オペラ座バレエ団に3ヶ月密着したドキュメンタリー。世界最高峰といわれるこのバレエ団は5つの階級に分けられている。タイトルのエトワール(etoile)は星を意味し、最高位の踊り手たちを言う。ちなみに、このblogのタイトルetoileはバレリーナを描いたドガの有名な絵画「エトワール」から取っている。ちと横道にそれましたが・・・。下からカドリーユ、コリフェ、スジェ、プルミエ・ダンスーズそしてエトワール。エトワールのみ任命制で、月収は35,000フラン('99年当時) カドリーユの基本給は13,000フランとのこと。

趣味で週1回美容バレエを習っている。オペラ座のダンサー達とは比べようもないけれど、レッスンの大変さや踊る楽しさは少しは分かる。こんな私でさえ2~3週間が開くと体がきつい。元エトワールで現在はバレエ団講師の女性は、引退してからレッスンを全て止めてしまった。その結果、筋肉は緩み2年間で2cm身長が縮んだそう。体調も悪くなったらしい。もちろん体を酷使する職業なのでケガはつきもの。腰痛などをかかえるダンサーは多い。でも、鍛え上げられた肉体は毎日の鍛錬を止めると、それはそれで拒否反応を示すらしい。ビックリ。

小学生くらいの頃から付属のバレエ学校で学んだ人が多い。その年齢から周りの団員は仲間でありながらライバル。エトワールであるということの重圧と孤独は計り知れない。中には団員と親友同士だというダンサーもいるけど、大方はやはり孤独な職業だと答える。夜遊びなどはありえないストイックな生活。肉体的にも精神的にも強くなくてはやっていけない。ある人は孤独の中で自分を見つめ、ある人は家庭を築き子供を持つことで成長したと語る。それもまた興味深い。いずれにしても何かに全人生をかけて生きている人は美しい。

バレエ団の定年は女性が40歳で男性が45歳。年金が出るみたいだけどなかなか厳しい。エトワールのエリザベット・プラテルはバレエ学校を含めると在籍25年。定年退職を迎える。まだ若く美しい彼女が定年で引退するなんて信じられないけど、26歳でエトワールのオーレリー・デュポンはケガをしても15歳の時とは違うと言う。ケガの直りも遅いし、腰もこわばってくると語る。26歳で・・・。でも、50歳を超えて現役の森下洋子や70を過ぎても踊っていた(もちろん全幕ではないけど)マイヤ・プリセツカヤもいるけど・・・。オペラ座のエトワールとしては限界ということだろう。

ダンサー達はまるで友人に語るかのように時に楽しげに、時に悩みを打ち明けるかのように包み隠さず語る。カメラもエトワールだけでなくカドリーユにも向けられる。バレエシーンも美しい。バレエを習っている身としては練習風景がたくさん見れたのはうれしい。ダンサー達の姿をモノクロ写真のように静止画にするのもドガの絵画のように美しい。

ドキュメンタリーとしてすばらしいので、特にバレエが好きでなくても見ごたえがあると思う。バレエ好きなら必見!


『エトワール』official site

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