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【cinema】『テイク・ディス・ワルツ』

2012-09-18 01:00:50 | cinema
'12.09.05 『テイク・ディス・ワルツ』@ヒューマントラストシネマ有楽町

コレ見たくて試写会応募したけどハズレ 評判良かったので、見たくてジリジリしてた! レディースデイに見てきたー♪

*ネタバレありです!

「料理研究家の夫と結婚5年目になるフリーライターのマーゴは、取材先でダニエルと知り合い楽しい時間を過ごす。彼に惹かれるものを感じつつも、その日別れて終わりだと思っていた。でも、偶然にもダニエルは向かいに住んでおり・・・」という話。これは良かった。結構、残酷というか真理かもしれないけれど、身近な題材だけに見ていて辛くなっちゃう部分を、とってもポップな画で見せる。だけど、ポップ過ぎてもいない。だからふざけてる感じはしない。そのさじ加減が絶妙。監督は女優のサラ・ポーリーで、長編作品はこれで2本目。スゴイ才能だと思う。

見たいと思った理由は、サラ・ポーリーが監督していたから。前作『アウェイ・フロム・ハー』は未見だけど、女優としてのサラは好きだったので・・・ といっても『死ぬ前にしたい10のこと』と『あなたになら言える10のこと』しか見ていないけど(笑) 特に『あなたになら・・・』は、ほとんどセリフもないのに上手いなぁと思った覚えがある。2作ともイザベル・コイシェ監督だけど、今作もどことなく似ているような・・・ とはいえ、『死ぬまでに・・・』はガン、『あなたになら・・・』は内戦時の暴力によるPTSDと、かなり重いテーマを扱ってる。今作のテーマはそこまでじゃないけど、普通の人の普通の悩みとしては、こっちの方が厄介かも・・・ どちらも重いテーマをサラリと描く感じは好き。どこかポップな感じもイイ。

ダニエルとの出会いは観光パンフレットを書くための取材旅行。観光客向けの寸劇で、姦通罪の男を鞭打つ役に選ばれたマーゴ。目立つことはしたくないと断るけど聞き入れられず、しかたなくペシペシすると、真面目にやれという野次が飛ぶ。迷惑だと感じながらも気になるマーゴ。空港で何故か車椅子に座り搭乗手続きをしてもらうマーゴを発見するダニエル。しかも、機内の席は隣・・・ 脚悪くないよね?と絡んでくるダニエル。最初は時々脚が痛くなると言い訳していたけど、乗換えでどこかへ行ってしまうのではないかと不安だと告白するマーゴ。オレの寝顔見てたよね?とか、結構自信満々で上からな発言が多いダニエル。ムカッとしつつもつい笑ってしまうマーゴ。見る前からマーゴがこのダニエルと浮気してしまうことは知っていたので、2人が急速に惹かれて行く感じは分かるのだけど、正直ダニエルのキャラが好きになれない この自信満々で上からな感じも、彼のアプローチの仕方であって、半分冗談であることも分かってはいるのだけど・・・ 実際、自分が言われたらマーゴみたいに笑っちゃうとは思うけど、好きにはならないなぁ。なっちゃったりして(笑)←どうでもいいか・・・(o´ェ`o)ゞエヘヘ

マーゴには料理研究家の夫ルーがいる。チキン料理の本を出版するため、毎日家でチキン料理を作っている。朝、目覚めると「目玉をくりぬいちゃいたいくらい好き」とか言い合う2人。朝食の用意をしつつもイチャイチャ(笑) イヤ、結婚5年目でも仲がよくていいじゃないかと思うわけですが、ちょっと子供っぽい印象・・・ この子供っぽいってところが、この作品の鍵になってくるのかなと思う。実はこのイチャつき2回印象的なシーンがある。新しいチキン料理開発中のルーにからみ始めるマーゴ。最初は笑いながら仕事中だからと言っていたルーも、あまりにマーゴがしつこいためキレてしまう。するとマーゴは夫から相手にされないのは辛いというようなことを言い泣き出してしまう。この相手にされないというのは、要するに性生活のことらしい。言葉遊びに付き合ってくれたり、窓越しのキスなどにも応えてくれるけれど、セックスには積極的ではないということなのかと。もちろん、そこも含めて結婚生活だと思うし、自分は求めているのに応じてもらえないのは、ものすごく傷づくことだとは思うけれど、こればかりは気持ちが一致しないとねぇ・・・ なかなか難しい問題ではある。

で、2回目がルーが仕事の電話をしているシーン。仕事をもらっている相手からの電話らしいので、明らかにルーより相手方が立場的に上、そんな電話の最中にちょっかいを出すマーゴ。少しのいたずらならいいけれど、電話中のルーの口の中に手を入れたりと、いくらなんでもやり過ぎ! ルーはなんとかつくろって会話を続行。ここはルー役のセス・ローゲンの腕の見せ所ではあるけれど、夫が仕事の話をしている時にじゃましちゃダメでしょう! これは絶対ダメ! 自分がされたらホントに怒る(*`д´) でも、ルーは怒らない。不思議に思いながら見ていたけれど、多分これは上記の1回目のシーンでのことがあるから、強く言うことができなくなってしまったのかなと思った。マーゴを甘やかしているというよりも、そういう愛し方なんだと思う。上手く言えないけど・・・ 単純に気が弱いとか、子供っぽいマーゴが好きという部分もあると思うけれど、そういうことよりも自分が飲み込んでしまうというか・・・ 自分さえ我慢すればいいと思っているわけではないし、何か問題があったら自分が変わっていこうと思っているのとも違う。ただ、飲み込んじゃう・・・ 本人は別にそれでストレスを感じてるわけでも、優越感を感じてるわけでもない。もしかしたら不安だったのかも。最初の方でアル中の姉と口ゲンカしているシーンがあったけど、マーゴとはケンカっぽいのは上記のシーンくらい。あえてケンカする必要はないけど、よく考えたら会話らしい会話もあまりないかも・・・

ルーとは対照的にズバズバと言いたいことを言ってくるダニエル。ダニエルが家の前にいるのを確認しタイミングを見計らって家を出るマーゴ。マーゴの意図なんてお見通しのダニエル。彼はいちいち見抜いてるってことを言ってくる。決して自分からマーゴの領域に入ってきたりしないけど、マーゴの策略にまんまと乗ってきて、でも君が誘ってきたからって言う。ちょっとズルイ(笑) マーゴが人妻である以上、簡単に手を出さないってことに関しては、当然のこととはいえ立派だとは思うけど、彼の場合そういうのとも違う気がした。上記の発言や態度についても、彼の作戦というか話術なのは分かっていたけど、正直ダニエルが好きになれなかった。確かにマーゴが聞いたとはいえ、昼間のカフェでセックス描写を嬉々としてする男なんて信用できない(笑) だから、マーゴの選択がちょっと意外でもあったのだけど、これはダニエルだからという選択でもないのかも・・・ 人力車で生計を立てているダニエル。誘われてルーと2人彼の人力車に乗るシーン、彼の腕や背中の筋肉、首筋を流れる汗に"男"を感じているシーンがあるけれど、結局そういう部分を求めているのかなと思う。結局、その後ダニエルとしたことってセックスばっかりだし・・・

マーゴが仕事しているシーンって、冒頭の取材シーンと、ダニエルを気にしつつPCいじってるシーンが1回あるくらいなので、彼女の仕事の比重がよく分からないのだけど、基本的に特に何もしてない。そういうシーンを描いてないってこともあるけど、パーティー開いてるか、ルーとイチャイチャしてるか、ダニエルと遊んでるか。義姉と行った水中エクササイズの途中でプールでおしっこしちゃったり・・・ ちょっと、子供っぽいというか、どうなんだろうと思ってしまう。深く考えたりすることをしたくない人なのかな?とか思うけど、子供のままの自分から抜け出せないってことだと思う。どんなに子供っぽい行動をしても、周囲が笑って許してしまうから・・・ 普通に考えて28歳の女性がプールの中でおしっこしちゃったら、恥ずかしくていられないと思うけど、彼女は子供のように笑うだけ。周囲もしょうがないわねって感じ。そうかー?! 彼女が大人になりたいと思っていたとも思わないけど、子供のままでいたいと思っていたわけでもないと思う。でも、大人になれないんだと思う。子供のように仕事のじゃまをしてもルーも怒ってくれなくなったし・・・ いつも泣きそうな顔しているのが印象的で、いつも満たされないってことなんだと思う。

どっちつかずの関係にケリをつけようと、ダニエルは引っ越して行ってしまう。40年後に灯台で再会しようと約束する際、それくらい夫に尽くしたら赦されると思うのって言っていた時点で、マーゴの気持ちのある部分で夫に対して"尽くしている"と思っている部分があるということ。それは普通のことだと思うけど、その部分が"子供でいること"なのかなとも思った。そんな自分を"女"として扱ってくれてる気がしてダニエルに惹かれたのかも。でもねぇ・・・ 結局、ルーと分かれてダニエルを選ぶけれど、時が経てば最初のドキドキは失われてしまうわけで、誰が相手でもそれは同じ。ルーとダニエルそれぞれと暮らしている時に、同じシーンが出てくる。歯磨きをしている彼らの横のトイレで、マーゴは用を足し始める。自分では絶対にあり得ないシーンだけど、2人は何事もなかったように歯磨きを続ける。でも、ルーはそのままその場に残るけど、ダニエルは少し経つと出て行ってしまう。この後、アル中の義姉が騒ぎを起こし、電話で呼び出されたマーゴはルーと再会する。そして、再びルーに惹かれる。でも、ルーにキッパリ拒絶される。何でも受け入れて、子供のように愛してくれたルーに物足りなさを感じて、セクシャルな部分を刺激して女として見てくれるダニエルに惹かれたけれど、ほとぼりが冷めてしまえば、大きく包んでくれたルーが懐かしい。気持ちはとっても分かるけれど、それじゃ子供のまま。この辺りのことを3回のおしっこで表現してるのかなとは思う。でも、マーゴ人前でおしっこし過ぎ(笑)

そして印象的なのが、遊園地のアトラクション。室内で2人乗りのカートに乗る。天井から棒で繋がったそのカートは、自身もクルクル回転しつつ、他のカートにぶつかりそうになりながら動く。マーゴはこのアトラクションが大好きで、ダニエルを誘って乗りに行く。乗っている間は楽しそうにキャーキャー騒いでいるけど、終わってしまった瞬間泣きそうな顔になる。彼女にとって人生もこうであって欲しいのかも。でも、自分では意識していないから、そう出来ていない。いつも刺激的で楽しい人生を送りたいから、彼女は無意識にそれをルーやダニエルに与えてもらおうとしていた。でも、本当にそういう人生を送りたいなら、自分が動かなきゃダメ。自分が動くから人から刺激をもらえるんだと思うし・・・ このシーンはそういうことを表しているんだと思うけど、選曲(テレビにより仕事を奪われたラジオ・スターを歌ったバグルスの「ラジオ・スターの悲劇」!)も含めて見事! このコースターが好きってことは、マーゴも無意識には問題の本質に気づいているんじゃないかってことなんだと思う。なので、ラストもこのコースターのシーンとなっている。1人ぼっちで乗っているこのラストは、ダニエルとの別れを示唆しているのだと思うけれど、個人的には彼女がやっと"自分"で生きなきゃダメなんだと気づいたのかなとも思った。相変わらず泣きそうで、つまらなそうだったけど(笑)

キャストはみんな良かった! 義姉役のサラ・シルヴァーマンはコメディ女優さんらしいけど、アル中でどうしようもない役を見事に演じていた。彼女がマーゴに言うセリフが全てという気がするので、このシーンはお前が言うなと思いつつも納得(笑) ダニエルのルーク・カービーはちょっと濃いめのイケメン。あんまり好みじゃなかったし、この役やっぱり好きになれない。でも、ギリギリ彼の切なさを拾えたのはルーク・カービーのおかげ! ミッシェル・ウィリアムズはこういう役をやらせたらハマるねぇ・・・ いつも悲しげで、危なげでほっとけない感じ。個人的には好きなタイプではないマーゴに、自分を見つけてしまい、共感できる部分を感じさせたのは、ミッシェル・ウィリアムズのおかげ。やっぱり演技上手い。いつも泣きそうな顔が見事! そして、セス・ローゲン!! 主役のミッシェル・ウィリアムズを差し置いて、最後に残していたのは本当に素晴らしい演技だったから。ルーは本当に普通の人。確かに彼は夫としては物足りなかったかもしれないけれど、でも彼は彼なりに刺激を与えたりしていたんだよね。もう、シャワーのエピソードが切なくて。゚(゚´ω`゚)゚。ピー 80歳になるまでやるつもりだったんだよね 実はルーはどのシーンもちゃんとマーゴのこと見てるし、マーゴのこと気に掛けてる。マーゴもそれは分かってるんだけど・・・ ホントにこのルー役のセス大好き! 全然物足りなくない(笑) いろいろ切なかったけど、やっぱりキッパリ拒絶するシーンが、一番切なくて良かったかな。このセス・ローゲンは素晴らしい!!

アル中問題とか、大人になりきれない感じとか、夫婦間や男女間の幸福感や満足感のズレとか・・・ とにかく、よく考えると普遍的で重いテーマを扱っている。軽いタッチとも思わないけれど、ポップな画とポップな曲で見せるので、重くなり過ぎずに見ることが出来る。どこかレトロな感じのマーゴの家のインテリアとか好き。ダニエルがエッチ描写する時のカフェの内装が素敵 マーゴが青、ダニエルが紺の服で、その後ろにエメラルドグリーンのレトロなウォーターサーバー、その左上に真っ赤な飲み物のボトルを配した画がポップでカワイイ! マーゴが着る服はあまり好みじゃないし、意外に露出度多いから絶対着れないけど、見ている分にはポップな色使いがカワイイ! 意外に露出度多い感じもマーゴの危うさを表しているのかも?

書くのとっても遅くなっちゃったから、もう上映終わっちゃったかな? 好きか嫌いか分かれる作品とは思わないけど、女性なら好きじゃなくても感じるところがあるんじゃないかと思う。オススメ!

『テイク・ディス・ワルツ』Official site


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【cinema / DVD】『灼熱の魂』

2012-09-18 00:00:00 | cinema / DVD
・・・『灼熱の魂』鑑賞・・・
昨日は3時間超のマサラムービーを堪能したにもかかわらず、求めていたスーパースターラジニ・カーント正統派バカ映画の反動か『灼熱の魂』を見てしまい、その重さにグッタリ… サスペンス・タッチでおもしろかったんだけど、水丸さんのネタバレうっかり聞いちゃってたからなぁ… #eiga Posted at 01:50 PM



ザックリした感想はtweetどおり。WOWOWで放送されたのを録画して見た。WOWOWシネマには、映画放送時にいくつか枠がある。これはW座という枠内で放送された。W座という映画館から招待状が届くという趣向。招待状は小山薫堂氏の文章に、安西水丸氏のイラスト入り。本編放送前後に、お2人のトークがある。本編終了後は、視聴者も鑑賞後という設定なのだから、当然といえば当然なのだけど、ネタバレがある。偶然、この部分のみ見てしまって、水丸氏の第一声がこの映画の核心中の核心だった・・・

突然亡くなった母親の遺言で、存在も知らなかった父親と兄を探すことになった双子の姉弟。どこかハッキリ語られないけれど中東の国。次々、明らかになる母の壮絶な人生。そして、驚愕の真実に辿り着く・・・ 中東といえば宗教的な対立。キリスト教徒の母が、ムスリムの若者と恋に落ち、双子の兄に当たる人物を身ごもったのが全ての始まり。人を愛する思いは誰にも止められない、たとえ"神"の力をもってしても。でも、それは宗教や政治に縛られていない人間の考え方なんだよね・・・

宗教的な対立による内戦、囚人虐待、母と子、父と子・・・ それらを通して人間の愚かさや、業、罪、そしてそれを超えた"赦し"を描いているのだけど、ストーリー自体は双子の"父"と"兄"探しで進む。なので見ている側も謎解きをしているような感覚で引き込まれて、その重さをあまり感じずに見ることができる。

ただ、これ前述したように私がオチを知ってしまってから見たからかも・・・ 弟が驚愕の真実を知らされるシーンもさることながら、何故母が死に至ったかっていうシーンが衝撃的なので、知らずに見てたらたぶんズシーンと来たと思う・・・ イヤ、そりゃ死んでしまうわ・・・ なんという運命・・・

オチを知って見ていたので、真実を双子に知らせることの是非をずっと考えてた。これを知らせるべきなのか・・・ でも、母親の手紙を読んでみると、やっぱりこれは伝えなきゃならなかったんだなと思った。母親に愛された記憶がない2人、そしてもう1人。母は自らの罪ゆえに彼らを上手く愛せなかった。でも"彼"を赦すことによって、自分も赦されたと思ったのでしょう。だからこそ"彼"にも双子にも「愛している」と言えたのだと思う。

とっても重いし、重いままなので、もう1度見る勇気はないけれど、これはやっぱり見てよかったと思う!


http://twitter.com/maru_a_gogo


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