'14.10.18 『馬々と人間たち』(試写会)@京橋テアトル試写室
cocoで当選! いつもありがとうございます! 全くノーチェックだったのだけど、このタイトルとチラシのビックリ映像に惹かれて応募。見事当選! よろこんで行ってきたー
あ、ちなみに「うまうまとにんげんたち」と読むそうです!( ・Θ・)ゞピヨッ
ネタバレありです!
「アイスランドの田舎、独身中年男性コルベインは、愛馬グラウーナにまたがり、未亡人ソルヴェーイグの家へ向かう。その様子を双眼鏡で覗き見る村人たち。ソルヴェーイグの幼い息子、母親と共にお茶を楽しむ間、ソルヴェーイグの飼い馬ブラウンとグラウーナが恋に落ちてしまう。動揺したコルベインは・・・」という感じで始まる。まるでドキュメンタリーのような不思議な映画。馬と人間のエピソードをオムニバス形式で見せる。そのどれもが、あまりにも自分の日常とかけ離れていて興味深い。これは面白かった!
2014年アカデミー賞外国語映画賞アイスランド代表。2014年アイスランド・アカデミー賞(エッダ賞)主要6部門を受賞。昨年開催された第26回東京国際映画祭上映作品。アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品『春にして君を思う』や、永瀬正敏出演の『コールド・フィーバー』のフリズリク・ソール・フリズリクソンの製作で、監督はベネディクト・エルリングソン。エルリングソン監督は、劇作家としてアイルランドでは有名で、ラース・フォン・トリアー監督の『Direktøren for det hele(The Boss of It All)』に出演するなど、俳優としても活躍しているのだそう。今作が長編デビュー作で、脚本も担当している。
アイスランド映画は初めてかも? アイスランドはもちろん知ってたけど、寒い国だということと、ビョークくらいしか知らなかった。火山を有する島国で、首都はレイキャビック。監督ご自身はレイキャビック出身だけど、子供の頃に映画の舞台となったような田舎で過ごしたことがあったらしい。アイスランドはファミリーネームがなく、父親か母親の名前にson(息子)もしくは、dóttir(娘)を付けるのだそう。例えば、ベネディクト・エルリングソン監督の名前は"エルリングの息子のベネディクト"ということになるらしい!( ゚д゚)ホゥ そうそう! アイスランドは"世界平和度ランキング(Gobal Peace Index)"と"世界男女平等ランキング(The Global Gender Gap Index)"で1位なのだそう! それは誰がどう調べたんだろう?(笑) でも、平和なのは素晴らしいことだし、確か世界初の女性大統領はアイスランドで誕生したんじゃなかったっけ?
この映画の主役の馬々はアイスランド馬という種類だそうで、1100年以上交雑せずに純血種を守っているのだそう。馬の輸入は禁止されているため、アイスランドにいる馬はすべてアイスランド馬ということになるらしい。体重330~380kg、体高132~142cmと小型で、安定した歩きが特徴。9世紀末にノルウェーから渡来したと言われているそうで、現在アイスランド国内で約8万頭、全世界で25万頭が飼育されているとのこと。アイスランドの人々にとって家畜というより、家族のような存在なのだとか。公式サイトにあった監督インタビューでは、アイスランドで馬に乗ること、馬を所有することは普通のことで、いわば文化であると語っていた。俳優たちは皆馬好きで、馬に乗れ、馬を飼っている人もいるとか。ちなみに、役者さんたちは監督の友人で、女優さんの1人は奥様だそうだけれど、どなたなのかは不明(笑) ちょっと、話が反れたけれど、確かにこの映画で描かれている人間と馬の関係は、家畜の部分もあり、家族の部分もあり、それ以上の存在のようでもあり・・・ なるほどと納得!
馬の毛並みのアップから始まる。そのまま馬の背をなめるようにカメラが移動し、瞳のアップになる。いくつかのエピソードを描きつつ、それらが繋がってこの地方で暮らす人間たちと馬の関係を描いていくという感じ。一応の流れはあるけれど、明確なストーリーがあるわけではなく、ドキュメンタリー作品のような感じ。中心となるのはコルベインという独身中年男性と、ソルヴェーイグという未亡人。公式サイトにはキャスト紹介としてこの役を演じた2人しか載っていなくてビックリ! 大きなエピソードとしては4つ。冒頭で描かれるコルベインとソルヴェーイグの恋の顛末を大きな流れとして、そこに3つのエピソードが入って来る感じ。それぞれが、絡み合っているわけではないけれど、2人の心境の変化などが合わせて描かれる。淡々とした語り口のそれらは、時に残酷だったりするのに、何故かちょっと不思議で面白い。でも、コミカルなわけではない。
前述通り、コルベインの愛馬グラウーナ(♀)のアップから始まる。コルベインはなんとか彼女に手綱と鞍を着けようとする。なかなか着けさせないグラウーナ。それがまるで恋の駆け引きのように描かれる。そんな様子を、双眼鏡で覗く人々。乗馬服に身を包むコルベイン。ボタンが取れていることに気づき、自ら針を持ってボタンつけをする。実際そのシーンは描かれないけれど、彼にはボタンをつけてくれる妻がいないことが分かる。という感じで、特にセリフなどの説明はなく、映像で登場人物たちの状況を見せる感じ。ただ、この時点では単純に妻が不在なのか、独身なのかはまで分からない。その辺りは徐々に分かって来るけど、明確な説明はないので、コルベインが離婚したのか、死別したのか、結婚歴がないのかは謎のまま。まぁ、別に必要ないと言えばないのだけど(笑) でも、この感じで話が進むので、自分でいろいろ脳内補完しないといけない。まぁ、いけないってこともないけど、しないと分からないというか・・・ そういうのが苦手な人には合わないかも?
オシャレしたコルベインはグラウーナを走らせ、ソルヴェーイグの家に向かう。ここも特に説明もなく、彼が田舎道とはいえ車も走る道路を馬の背に乗り走っている姿を延々と見せる。彼女の家に着いて初めて、ここに向かっていたのかと思う感じ(笑) ソルヴェーイグの家では彼女と幼い息子、そして母親が待っており、コルベインを出迎える。それを向いの家から双眼鏡で覗く人々。向かいの家といっても徒歩で20分くらいかかりそうなほど離れている。そちらの方へ目を向けると、キラッと光ものがあるので、覗かれているんだなとコルベインたちも、観客も気づく感じ。要するにこの2人は半ば公認であり、関心の的でもあるということ。でも、4人でお茶するだけで、特に恋人同士の会話になるわけでもない。コルベインが彼女たちの招待を受けてやって来たのか、日常化しているのか分からないけど、オシャレしたのは彼女に会うためなのは間違いない。でも、もう一つグラウーナに乗るための儀式でもあるのかなと思う。
4人がお茶している間に、愛馬グラウーナの運命を変える出来事が! ソルヴェーイグの愛馬ブラウン(♂)が彼女に恋をしたのだった! 急激に発情してしまうブラウン。それに応えるグラウーナ。ヤバイ!と見ている側も思うわけです。遅々として進まない飼い主同士の恋よりも先に、愛馬同士の恋が盛り上がってしまったことに、見ている側も苦笑い(笑) 異変に気付いたコルベインが慌ててグラウーナを走らせようとするけれど、時すでに遅し! 柵を壊して愛しいグラウーナの元にやって来たブラウンが・・・ ということで、上に貼ったチラシのようなシュールな図となる。これは・・・(笑) 何とも気まずい状態になったコルベインが、向かいの家に目を向けると、先ほどキラリと光っていた双眼鏡が見えない・・・ そう、彼らは目撃したのだった。
後に、ソルヴェーイグが掟だからと言ってブラウンを去勢するシーンがあるし、映画の最後はホースマン&ホースウーマンが馬を追い込むシーンだったりするので、おそらく交配の時期とか相手とかルール的なものはあるのでしょう。少なくともこんな感じで交配してしまうのはダメなのかも。コルベインのショックは、愛馬がそんな形で交尾してしまったこと、よりにもよって相手が恋人の愛馬であったこと、それらを見られてしまったこともあるけれど、なんとなくグラウーナを奪われてしまったということもあるのかと・・・ ソルヴェーイグの家に向かう彼女との走りは、まるで恋人どうしのような楽しさだった。それは変な意味ではなく、家畜ということではなくて家族とか恋人とかかけがえのない存在ということ。彼にとってはグラウーナと共に走るという行為が、素晴らしい時間であったということ。その時間を共有できる相手というのは、それが人間ではなくてもかけがえのない存在だと思うので。その相手を、こんな形で汚されてしまったというのはあるのかなと・・・ 嫉妬とも違うけれど、神聖なものを汚されてしまったというような・・・ 2人が家に戻る間、全力疾走する姿はなんだかとっても切なかった。それは、その後に起きるであろう悲劇を予感したこともある。これが最後だというような・・・ 案の定、家に着いたコルベインはグラウーナを射殺してしまう。それも掟なのか、コルベインの気持ちの問題なのかは不明。個人的には後者かなと思った。
場面変わって中年男性ヴェルンハルズルが双眼鏡で海を見つめている。どうやらお目当ての船が出港してしまったらしい。慌てて愛馬ヤルブル(♂)に手綱をつけ、鞍もつけずに走り出す。海岸にやって来たヤルブルとヴェルンハルズル。なんとそのまま冷たい海の中へ!一体何?!と思うけれど、どうやら彼らは前述の船に向かっているらしい。でも、彼らが何故ここまで必死なのか分からない。かなり長くヤルブルが泳ぎ、必死にヴェルンハルズルがしがみついている様子が映し出される。正気?!(笑) 船員が気づいてリフトのようなものを下してくれる。そこに乗るヤルブル。船員の1人は馬が大好きらしく、ヤルブルを優しくいたわってくれるのがうれしい。船内に乗り込んだヴェルンハルズルが言った一言は「ウォッカを売ってくれ!」 工エエェェ(´゚д゚`)ェェエエ工ー こんな大変な思いをしてウォッカを買いに来たの?! しかも、ウォッカを仕入れて売るわけでもなく、あくまで自分が飲むためらしい・・・ イヤ、これは・・・(笑)
どうやらロシアの船だったらしく、船員たちがロシア語で強い酒だからそのまま飲むなと言われるけれど、ヴェルンハルズルは理解できないらしく。強いということは分かったものの、後半部分が分かっていないらしい。これはもしや?と思っていると・・・ 再び泳いで陸に戻り、家に帰る道すがらラッパ飲みし始めてしまう。そして、落馬して嘔吐、そのまま死亡してしまう。えー
もう、ホントにウォッカを飲みたいというだけのために、自分だけじゃなくて馬まで命がけで海を泳いだの?! イヤもう死んでしまったのは自業自得だけど、ヤルブルにとってこれは虐待じゃないか?とか思うけど、見渡す限り店どころか隣家も遠く、娯楽などなさそうなこの村では、ウォッカを飲むというのは楽しみの1つなのだろうし、後に馬追いシーンでウィスキーもしくはウォッカの回し飲みをするシーンがあるので、寒さ対策とか何かあるのかもしれない。そして、バスなど交通機関もなさそうな土地柄、馬との結びつきは、日本の首都圏在住OLちゃんの想像以上に強いのだと思うものの、やっぱりちょっと呆然としてしまう。これは悲劇なのか喜劇なのか?
続いて、グリームルとエーギットールのエピソード。これちょっとよく分からなかったのだけど、グリームルはいつも彼の馬スキヨーナ(♀)とスキヨーニ(♂)を連れて、エーギットールの敷地を横切っていたってこと? で、それを嫌ったエーギットールが柵を設けて、それに反発したグリームルが柵を壊して通ったってことでいいのかな? 柵を張った部分がエーギットールの所有している敷地なのか、誰の敷地というわけではないけれど、自分の家の裏を通るなってことなのか? それによって全然違ってくると思うのだけど・・・ その辺りの説明がないので、一応後者で考えることにする。まぁ別にいいんだけど、前者だとグリームルは裁判で負けるよね?全然法律詳しくないけど(o´ェ`o)ゞ で、後者で考えた場合、勝手に柵を設置してしまうのもどうかと思うけれど、勝手に壊してしまうのもスゴイよね(笑) で、柵を壊されたことに腹を立てたエーギットールは、愛馬ならぬ愛車のトラクターに乗ってグリームルを追いかける。グリームルは呑気に一休みしつつ移動中。新たな柵が現れて再び切断。すると有刺鉄線が跳ね上がり、彼の顔面を直撃! 出血により視界を失ってしまう。馬に導いてもらい家に帰ろうとする道すがら、エーギットールのトラクターと衝突しそうになり、よけそこなったエーギットールのトラクターは横転、彼は亡くなってしまう・・・ えー?! なんということ・・・
実はあえて後回しにしたけれど、ヴェルンハルズルが亡くなった後、彼の葬儀が村の教会と思われる場所でとり行われた。そして、当然エーギットールの葬儀も同じ場所で行われる。何故あえて後回しにしたかというと、この2つの葬儀の間に、コルベインとソルヴェーイグの関係に変化があったから。グラウーナをあのような形で失ってしまい、コルベインはソルヴェーイグを避けていた様子。教会(?)は本当に狭い場所で、どちらの葬儀も参列者でギッシリ。コルベインは有力者なのか、単純に若者カウントなのか不明だけど、どちらの葬儀でも柩を担ぐ係りになっているため、参列者たちとは別に前方に座っている。参列者に横顔を向けて座るような形になっているため、後方に座っているソルヴェーイグからコルベインの顔がよく見える。ヴェルンハルズルの葬儀の際には、彼女の視線を感じているであろうに、彼女に目もくれない。柩を担ぎ彼女の近くを通る時ですら、あえて視線を送ることを避けている様子。もちろん、あからさまに態度に出してはいないけれど・・・ その後、遺族に挨拶をするため外で列を作っている時も、彼は彼女に視線を向けることはなかった。そして、そんな2人の様子を見てコルベインに接近する女性が現れる。この女性のことがイマヒトツ分からなかったのだけど、まぁライバルということで(笑)
そこでソルヴェーイグは意を決して、2人の関係がギクシャクすることになった原因、愛馬ブラウンを去勢する。その際、掟だからと愛馬にというよりも自分に言い聞かせるようにつぶやいていたけれど、この辺りのルール的なことがどうなっているのかは不明。重要なのは彼女が実施したということ。ブラウンにはかわいそうだけれど・・・
エーギットールの葬儀でも、ソルヴェーイグは同じ席に座り、同じようにコルベインを見つめる。それに気づきあからさまではないけれど、彼女の方に視線を動かすコルベイン。柩を担ぎ彼女の横を通る時も、こちらも大げさではないけれど彼女の存在を意識しているという意思表示。そして、遺族への挨拶を待っている時、間違いなく2人の視線が合う。コルベインは彼女の謝罪を受け入れたということなのでしょう。こういうセリフの説明は一切なく、映像の対比で2人の変化を見せるような作品が好きなので、とっても良かったと思う! 過不足なしという感じ。もちろん人によって過不足は違うと思うので、あくまで自分の好みとして、この過不足なし感はピッタリ!
長くなってきたけど、もう少し衝撃エピソードを語りたい。前述3つのエピソード全てに通行人として登場していたバックバッカーのファン・カミーリョ。彼はホーストレーナーを目指すヨハンナが、愛馬ロイズカ(♀)と共に、脱走した馬たちを見事な手際でまとめ上げ、さらに目を負傷して動けなくなっていたグリームル(お酒飲んでたけど・・・)も救出して、颯爽と走る姿に一目ボレ。イヤ、実際かっこよかった!それに引きかえ男たちときたら、お酒ばかり飲んで・・・ヤレヤレ┐(´д`)┌ 彼女に憧れたファン・カミーリョは、グリームルの息子オリが主催する乗馬観光ツアーに参加。でも、彼に割り当てられたのは老馬オールドレッド(♂)。彼らはツアーメンバーから遅れてしまい、道に迷ってしまう。夜になっても助けは来ず、雪が降り始めてしまう。このままでは死んでしまうと覚悟を決めて、アーミーナイフを取り出してオールドレッドに突き立てる。息絶えるのを待ってオールドレッドの腹を裂き、内臓を取り出して腹の中に潜り込む・・・ 壮絶!これはスゴイ・・・ でも、なんだかとって淡々としている。もちろん映画なのだから当然演出していると思うのだけど、ホントに記録映画のようで、まるでファン・カミーリョという人物の行動を、そのまま撮っているかのような・・・ 翌朝、ようやくオリたちに発見され号泣する彼の姿ですら、記録として映し出している感じというか・・・ でも、だからこそ見ている側も衝撃を受けつつも、淡々と受け止められた気がする。命の重さとかクドクド考えなくても、スッと入って来るというか・・・ 上手く言えないなぁ(´ェ`)ン-・・
さて、映画はホースマン&ホースウーマンたちが馬を追うシークエンスで終わる。ここも特に説明がないので、想像するしかないのだけど、村の代表たちが放牧していた馬を、品評会的な場所へ誘導するってことでいいのかな? 選抜なのか自由参加なのか不明だけど、少なくともブラウンに乗ったソルヴェーイグの参加は、他のメンバーは知らなったっぽい。ソルヴェーイグとの仲がギクシャクしていた間に、コルベインに接近していた女性は、当然おもしろくないわけで・・・ コルベインと並んで歩こうと2人で取り合い。もちろん、張り合っているのはコルベインにも他のメンバーにも分かっているのだけど、2人もメンバーもそれには気づいていない態なのがおかしい(笑) ウィスキー回し飲みの取り合いとかニヤニヤしちゃう(。・w・。) ププッ いくつかに分かれて馬を追うことになり、まんまとコルベインと2人きりになることに成功したソルヴェーイグ。なんと馬そっちのけで、コルベインに迫り始める。そして、馬の前で激しくセックスしてしまう2人。その姿を双眼鏡で覗くライバルの女性。シュール(笑)
映画は、何事もなかったように全員で馬を柵の中に追い込んで、そこに人々が集まって来て、馬と人間が入り乱れた風景で終わる。明確なストーリーがあるわけでなないけど、淡々と見せられてきた各エピソードから、エゴとか、欲望とか、生や性への渇望などが見えて来た。そしてそれは自然なことで、別に悪いことじゃない。監督がインタビューで"動物の中から見た人間、人間の中の動物を描きたかった"と語っていたことを後から知り納得! まさに、そういう映画だったと思う。少なくとも自分にとっては。
キャストは公式サイトにはコルベイン役イングヴァル・E・シグルズソンと、ソルヴェーイグ役シャーロテ・ボーヴィングの紹介しかなかった。映画サイトなどではヘルギ・ビョルソン、ステイン・アルマン・マグノソンの名前があったけど、何役なのか不明。前述した法則によると、どちらも男性のようではあるけれど・・・ソルヴェーイグ役シャーロテ・ボーヴィングはデンマークの女優さんだそうで、コルベイン役イングヴァル・E・シグルズソンは、アイスランドを代表する俳優とのこと。彼は今作で2014年エッダ賞で主演男優賞を受賞したのだそう。2人とも素晴らしい演技だったと思う。だって演技って思えなかったもの! もちろん、初めて見るからということもあったと思うけれど、他の俳優さんたちを含めて、ドキュメンタリー映画を見ているかのようなリアリティ。でも、そこにどこかコメディとまでは言わないけれど、可笑しさを感じさせる。全員良かったと思う!
アイスランドの自然がスゴイ! もの言わぬ馬たちの演技(?)もスゴイ! 前述の監督インタビューの中で、監督が強調していたのは、エンドクレジットでも書かれていた通り「動物たちは全く傷つけられていません」ということ。ご自身も撮影監督、そして俳優たちも馬好きなホースマンたちだったそうで、馬たちの表情の変化は、カメラの後ろに友達やライバルの馬を配置して引き出したのだそう。各エピソードの冒頭の馬の瞳のアップは、馬を静止させるため、脚を1本持ち上げて3本脚で立たせたのだそう! チラシにもなっている交尾シーンや、海を泳ぐシーンも実際に馬が演じていて、ワンテイクで撮影。撮り直しがきかないため交尾のシーンはカメラ5台で撮影したとか。90%が実写ということだけど、馬のお腹の中に入るシーンはどうやって撮影したんだろう? もちろん作り物だよね(笑)
とにかく不思議な映画。見る人を選ぶ作品とは思わないけど、セリフも少なく背景説明とか一切ないので、自分でいろいろ想像しながら見る作品。なので、映画を見慣れていないと辛いかも? でも、そもそもこの作品を見たいと思う人は映画好きな人な気がする。このタイトルとチラシだし(笑) ダメな人もいると思うけど、個人的には好き! いつもはオススメするタイプの人を書いているのだけど・・・ どんな人にオススメするべきか・・・?(´ェ`)ン-・・
アイスランドの自然に興味がある方、日常と離れた世界を見たい方オススメ! 馬好きな方是非!!
『馬々と人間たち』Official site
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2014年アカデミー賞外国語映画賞アイスランド代表。2014年アイスランド・アカデミー賞(エッダ賞)主要6部門を受賞。昨年開催された第26回東京国際映画祭上映作品。アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品『春にして君を思う』や、永瀬正敏出演の『コールド・フィーバー』のフリズリク・ソール・フリズリクソンの製作で、監督はベネディクト・エルリングソン。エルリングソン監督は、劇作家としてアイルランドでは有名で、ラース・フォン・トリアー監督の『Direktøren for det hele(The Boss of It All)』に出演するなど、俳優としても活躍しているのだそう。今作が長編デビュー作で、脚本も担当している。
アイスランド映画は初めてかも? アイスランドはもちろん知ってたけど、寒い国だということと、ビョークくらいしか知らなかった。火山を有する島国で、首都はレイキャビック。監督ご自身はレイキャビック出身だけど、子供の頃に映画の舞台となったような田舎で過ごしたことがあったらしい。アイスランドはファミリーネームがなく、父親か母親の名前にson(息子)もしくは、dóttir(娘)を付けるのだそう。例えば、ベネディクト・エルリングソン監督の名前は"エルリングの息子のベネディクト"ということになるらしい!( ゚д゚)ホゥ そうそう! アイスランドは"世界平和度ランキング(Gobal Peace Index)"と"世界男女平等ランキング(The Global Gender Gap Index)"で1位なのだそう! それは誰がどう調べたんだろう?(笑) でも、平和なのは素晴らしいことだし、確か世界初の女性大統領はアイスランドで誕生したんじゃなかったっけ?
この映画の主役の馬々はアイスランド馬という種類だそうで、1100年以上交雑せずに純血種を守っているのだそう。馬の輸入は禁止されているため、アイスランドにいる馬はすべてアイスランド馬ということになるらしい。体重330~380kg、体高132~142cmと小型で、安定した歩きが特徴。9世紀末にノルウェーから渡来したと言われているそうで、現在アイスランド国内で約8万頭、全世界で25万頭が飼育されているとのこと。アイスランドの人々にとって家畜というより、家族のような存在なのだとか。公式サイトにあった監督インタビューでは、アイスランドで馬に乗ること、馬を所有することは普通のことで、いわば文化であると語っていた。俳優たちは皆馬好きで、馬に乗れ、馬を飼っている人もいるとか。ちなみに、役者さんたちは監督の友人で、女優さんの1人は奥様だそうだけれど、どなたなのかは不明(笑) ちょっと、話が反れたけれど、確かにこの映画で描かれている人間と馬の関係は、家畜の部分もあり、家族の部分もあり、それ以上の存在のようでもあり・・・ なるほどと納得!
馬の毛並みのアップから始まる。そのまま馬の背をなめるようにカメラが移動し、瞳のアップになる。いくつかのエピソードを描きつつ、それらが繋がってこの地方で暮らす人間たちと馬の関係を描いていくという感じ。一応の流れはあるけれど、明確なストーリーがあるわけではなく、ドキュメンタリー作品のような感じ。中心となるのはコルベインという独身中年男性と、ソルヴェーイグという未亡人。公式サイトにはキャスト紹介としてこの役を演じた2人しか載っていなくてビックリ! 大きなエピソードとしては4つ。冒頭で描かれるコルベインとソルヴェーイグの恋の顛末を大きな流れとして、そこに3つのエピソードが入って来る感じ。それぞれが、絡み合っているわけではないけれど、2人の心境の変化などが合わせて描かれる。淡々とした語り口のそれらは、時に残酷だったりするのに、何故かちょっと不思議で面白い。でも、コミカルなわけではない。
前述通り、コルベインの愛馬グラウーナ(♀)のアップから始まる。コルベインはなんとか彼女に手綱と鞍を着けようとする。なかなか着けさせないグラウーナ。それがまるで恋の駆け引きのように描かれる。そんな様子を、双眼鏡で覗く人々。乗馬服に身を包むコルベイン。ボタンが取れていることに気づき、自ら針を持ってボタンつけをする。実際そのシーンは描かれないけれど、彼にはボタンをつけてくれる妻がいないことが分かる。という感じで、特にセリフなどの説明はなく、映像で登場人物たちの状況を見せる感じ。ただ、この時点では単純に妻が不在なのか、独身なのかはまで分からない。その辺りは徐々に分かって来るけど、明確な説明はないので、コルベインが離婚したのか、死別したのか、結婚歴がないのかは謎のまま。まぁ、別に必要ないと言えばないのだけど(笑) でも、この感じで話が進むので、自分でいろいろ脳内補完しないといけない。まぁ、いけないってこともないけど、しないと分からないというか・・・ そういうのが苦手な人には合わないかも?
オシャレしたコルベインはグラウーナを走らせ、ソルヴェーイグの家に向かう。ここも特に説明もなく、彼が田舎道とはいえ車も走る道路を馬の背に乗り走っている姿を延々と見せる。彼女の家に着いて初めて、ここに向かっていたのかと思う感じ(笑) ソルヴェーイグの家では彼女と幼い息子、そして母親が待っており、コルベインを出迎える。それを向いの家から双眼鏡で覗く人々。向かいの家といっても徒歩で20分くらいかかりそうなほど離れている。そちらの方へ目を向けると、キラッと光ものがあるので、覗かれているんだなとコルベインたちも、観客も気づく感じ。要するにこの2人は半ば公認であり、関心の的でもあるということ。でも、4人でお茶するだけで、特に恋人同士の会話になるわけでもない。コルベインが彼女たちの招待を受けてやって来たのか、日常化しているのか分からないけど、オシャレしたのは彼女に会うためなのは間違いない。でも、もう一つグラウーナに乗るための儀式でもあるのかなと思う。
4人がお茶している間に、愛馬グラウーナの運命を変える出来事が! ソルヴェーイグの愛馬ブラウン(♂)が彼女に恋をしたのだった! 急激に発情してしまうブラウン。それに応えるグラウーナ。ヤバイ!と見ている側も思うわけです。遅々として進まない飼い主同士の恋よりも先に、愛馬同士の恋が盛り上がってしまったことに、見ている側も苦笑い(笑) 異変に気付いたコルベインが慌ててグラウーナを走らせようとするけれど、時すでに遅し! 柵を壊して愛しいグラウーナの元にやって来たブラウンが・・・ ということで、上に貼ったチラシのようなシュールな図となる。これは・・・(笑) 何とも気まずい状態になったコルベインが、向かいの家に目を向けると、先ほどキラリと光っていた双眼鏡が見えない・・・ そう、彼らは目撃したのだった。
後に、ソルヴェーイグが掟だからと言ってブラウンを去勢するシーンがあるし、映画の最後はホースマン&ホースウーマンが馬を追い込むシーンだったりするので、おそらく交配の時期とか相手とかルール的なものはあるのでしょう。少なくともこんな感じで交配してしまうのはダメなのかも。コルベインのショックは、愛馬がそんな形で交尾してしまったこと、よりにもよって相手が恋人の愛馬であったこと、それらを見られてしまったこともあるけれど、なんとなくグラウーナを奪われてしまったということもあるのかと・・・ ソルヴェーイグの家に向かう彼女との走りは、まるで恋人どうしのような楽しさだった。それは変な意味ではなく、家畜ということではなくて家族とか恋人とかかけがえのない存在ということ。彼にとってはグラウーナと共に走るという行為が、素晴らしい時間であったということ。その時間を共有できる相手というのは、それが人間ではなくてもかけがえのない存在だと思うので。その相手を、こんな形で汚されてしまったというのはあるのかなと・・・ 嫉妬とも違うけれど、神聖なものを汚されてしまったというような・・・ 2人が家に戻る間、全力疾走する姿はなんだかとっても切なかった。それは、その後に起きるであろう悲劇を予感したこともある。これが最後だというような・・・ 案の定、家に着いたコルベインはグラウーナを射殺してしまう。それも掟なのか、コルベインの気持ちの問題なのかは不明。個人的には後者かなと思った。
場面変わって中年男性ヴェルンハルズルが双眼鏡で海を見つめている。どうやらお目当ての船が出港してしまったらしい。慌てて愛馬ヤルブル(♂)に手綱をつけ、鞍もつけずに走り出す。海岸にやって来たヤルブルとヴェルンハルズル。なんとそのまま冷たい海の中へ!一体何?!と思うけれど、どうやら彼らは前述の船に向かっているらしい。でも、彼らが何故ここまで必死なのか分からない。かなり長くヤルブルが泳ぎ、必死にヴェルンハルズルがしがみついている様子が映し出される。正気?!(笑) 船員が気づいてリフトのようなものを下してくれる。そこに乗るヤルブル。船員の1人は馬が大好きらしく、ヤルブルを優しくいたわってくれるのがうれしい。船内に乗り込んだヴェルンハルズルが言った一言は「ウォッカを売ってくれ!」 工エエェェ(´゚д゚`)ェェエエ工ー こんな大変な思いをしてウォッカを買いに来たの?! しかも、ウォッカを仕入れて売るわけでもなく、あくまで自分が飲むためらしい・・・ イヤ、これは・・・(笑)
どうやらロシアの船だったらしく、船員たちがロシア語で強い酒だからそのまま飲むなと言われるけれど、ヴェルンハルズルは理解できないらしく。強いということは分かったものの、後半部分が分かっていないらしい。これはもしや?と思っていると・・・ 再び泳いで陸に戻り、家に帰る道すがらラッパ飲みし始めてしまう。そして、落馬して嘔吐、そのまま死亡してしまう。えー
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続いて、グリームルとエーギットールのエピソード。これちょっとよく分からなかったのだけど、グリームルはいつも彼の馬スキヨーナ(♀)とスキヨーニ(♂)を連れて、エーギットールの敷地を横切っていたってこと? で、それを嫌ったエーギットールが柵を設けて、それに反発したグリームルが柵を壊して通ったってことでいいのかな? 柵を張った部分がエーギットールの所有している敷地なのか、誰の敷地というわけではないけれど、自分の家の裏を通るなってことなのか? それによって全然違ってくると思うのだけど・・・ その辺りの説明がないので、一応後者で考えることにする。まぁ別にいいんだけど、前者だとグリームルは裁判で負けるよね?全然法律詳しくないけど(o´ェ`o)ゞ で、後者で考えた場合、勝手に柵を設置してしまうのもどうかと思うけれど、勝手に壊してしまうのもスゴイよね(笑) で、柵を壊されたことに腹を立てたエーギットールは、愛馬ならぬ愛車のトラクターに乗ってグリームルを追いかける。グリームルは呑気に一休みしつつ移動中。新たな柵が現れて再び切断。すると有刺鉄線が跳ね上がり、彼の顔面を直撃! 出血により視界を失ってしまう。馬に導いてもらい家に帰ろうとする道すがら、エーギットールのトラクターと衝突しそうになり、よけそこなったエーギットールのトラクターは横転、彼は亡くなってしまう・・・ えー?! なんということ・・・
実はあえて後回しにしたけれど、ヴェルンハルズルが亡くなった後、彼の葬儀が村の教会と思われる場所でとり行われた。そして、当然エーギットールの葬儀も同じ場所で行われる。何故あえて後回しにしたかというと、この2つの葬儀の間に、コルベインとソルヴェーイグの関係に変化があったから。グラウーナをあのような形で失ってしまい、コルベインはソルヴェーイグを避けていた様子。教会(?)は本当に狭い場所で、どちらの葬儀も参列者でギッシリ。コルベインは有力者なのか、単純に若者カウントなのか不明だけど、どちらの葬儀でも柩を担ぐ係りになっているため、参列者たちとは別に前方に座っている。参列者に横顔を向けて座るような形になっているため、後方に座っているソルヴェーイグからコルベインの顔がよく見える。ヴェルンハルズルの葬儀の際には、彼女の視線を感じているであろうに、彼女に目もくれない。柩を担ぎ彼女の近くを通る時ですら、あえて視線を送ることを避けている様子。もちろん、あからさまに態度に出してはいないけれど・・・ その後、遺族に挨拶をするため外で列を作っている時も、彼は彼女に視線を向けることはなかった。そして、そんな2人の様子を見てコルベインに接近する女性が現れる。この女性のことがイマヒトツ分からなかったのだけど、まぁライバルということで(笑)
そこでソルヴェーイグは意を決して、2人の関係がギクシャクすることになった原因、愛馬ブラウンを去勢する。その際、掟だからと愛馬にというよりも自分に言い聞かせるようにつぶやいていたけれど、この辺りのルール的なことがどうなっているのかは不明。重要なのは彼女が実施したということ。ブラウンにはかわいそうだけれど・・・
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長くなってきたけど、もう少し衝撃エピソードを語りたい。前述3つのエピソード全てに通行人として登場していたバックバッカーのファン・カミーリョ。彼はホーストレーナーを目指すヨハンナが、愛馬ロイズカ(♀)と共に、脱走した馬たちを見事な手際でまとめ上げ、さらに目を負傷して動けなくなっていたグリームル(お酒飲んでたけど・・・)も救出して、颯爽と走る姿に一目ボレ。イヤ、実際かっこよかった!それに引きかえ男たちときたら、お酒ばかり飲んで・・・ヤレヤレ┐(´д`)┌ 彼女に憧れたファン・カミーリョは、グリームルの息子オリが主催する乗馬観光ツアーに参加。でも、彼に割り当てられたのは老馬オールドレッド(♂)。彼らはツアーメンバーから遅れてしまい、道に迷ってしまう。夜になっても助けは来ず、雪が降り始めてしまう。このままでは死んでしまうと覚悟を決めて、アーミーナイフを取り出してオールドレッドに突き立てる。息絶えるのを待ってオールドレッドの腹を裂き、内臓を取り出して腹の中に潜り込む・・・ 壮絶!これはスゴイ・・・ でも、なんだかとって淡々としている。もちろん映画なのだから当然演出していると思うのだけど、ホントに記録映画のようで、まるでファン・カミーリョという人物の行動を、そのまま撮っているかのような・・・ 翌朝、ようやくオリたちに発見され号泣する彼の姿ですら、記録として映し出している感じというか・・・ でも、だからこそ見ている側も衝撃を受けつつも、淡々と受け止められた気がする。命の重さとかクドクド考えなくても、スッと入って来るというか・・・ 上手く言えないなぁ(´ェ`)ン-・・
さて、映画はホースマン&ホースウーマンたちが馬を追うシークエンスで終わる。ここも特に説明がないので、想像するしかないのだけど、村の代表たちが放牧していた馬を、品評会的な場所へ誘導するってことでいいのかな? 選抜なのか自由参加なのか不明だけど、少なくともブラウンに乗ったソルヴェーイグの参加は、他のメンバーは知らなったっぽい。ソルヴェーイグとの仲がギクシャクしていた間に、コルベインに接近していた女性は、当然おもしろくないわけで・・・ コルベインと並んで歩こうと2人で取り合い。もちろん、張り合っているのはコルベインにも他のメンバーにも分かっているのだけど、2人もメンバーもそれには気づいていない態なのがおかしい(笑) ウィスキー回し飲みの取り合いとかニヤニヤしちゃう(。・w・。) ププッ いくつかに分かれて馬を追うことになり、まんまとコルベインと2人きりになることに成功したソルヴェーイグ。なんと馬そっちのけで、コルベインに迫り始める。そして、馬の前で激しくセックスしてしまう2人。その姿を双眼鏡で覗くライバルの女性。シュール(笑)
映画は、何事もなかったように全員で馬を柵の中に追い込んで、そこに人々が集まって来て、馬と人間が入り乱れた風景で終わる。明確なストーリーがあるわけでなないけど、淡々と見せられてきた各エピソードから、エゴとか、欲望とか、生や性への渇望などが見えて来た。そしてそれは自然なことで、別に悪いことじゃない。監督がインタビューで"動物の中から見た人間、人間の中の動物を描きたかった"と語っていたことを後から知り納得! まさに、そういう映画だったと思う。少なくとも自分にとっては。
キャストは公式サイトにはコルベイン役イングヴァル・E・シグルズソンと、ソルヴェーイグ役シャーロテ・ボーヴィングの紹介しかなかった。映画サイトなどではヘルギ・ビョルソン、ステイン・アルマン・マグノソンの名前があったけど、何役なのか不明。前述した法則によると、どちらも男性のようではあるけれど・・・ソルヴェーイグ役シャーロテ・ボーヴィングはデンマークの女優さんだそうで、コルベイン役イングヴァル・E・シグルズソンは、アイスランドを代表する俳優とのこと。彼は今作で2014年エッダ賞で主演男優賞を受賞したのだそう。2人とも素晴らしい演技だったと思う。だって演技って思えなかったもの! もちろん、初めて見るからということもあったと思うけれど、他の俳優さんたちを含めて、ドキュメンタリー映画を見ているかのようなリアリティ。でも、そこにどこかコメディとまでは言わないけれど、可笑しさを感じさせる。全員良かったと思う!
アイスランドの自然がスゴイ! もの言わぬ馬たちの演技(?)もスゴイ! 前述の監督インタビューの中で、監督が強調していたのは、エンドクレジットでも書かれていた通り「動物たちは全く傷つけられていません」ということ。ご自身も撮影監督、そして俳優たちも馬好きなホースマンたちだったそうで、馬たちの表情の変化は、カメラの後ろに友達やライバルの馬を配置して引き出したのだそう。各エピソードの冒頭の馬の瞳のアップは、馬を静止させるため、脚を1本持ち上げて3本脚で立たせたのだそう! チラシにもなっている交尾シーンや、海を泳ぐシーンも実際に馬が演じていて、ワンテイクで撮影。撮り直しがきかないため交尾のシーンはカメラ5台で撮影したとか。90%が実写ということだけど、馬のお腹の中に入るシーンはどうやって撮影したんだろう? もちろん作り物だよね(笑)
とにかく不思議な映画。見る人を選ぶ作品とは思わないけど、セリフも少なく背景説明とか一切ないので、自分でいろいろ想像しながら見る作品。なので、映画を見慣れていないと辛いかも? でも、そもそもこの作品を見たいと思う人は映画好きな人な気がする。このタイトルとチラシだし(笑) ダメな人もいると思うけど、個人的には好き! いつもはオススメするタイプの人を書いているのだけど・・・ どんな人にオススメするべきか・・・?(´ェ`)ン-・・
アイスランドの自然に興味がある方、日常と離れた世界を見たい方オススメ! 馬好きな方是非!!
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