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【tv】ぶらぶら美術博物館「特別展 小村雪岱スタイル - 江戸の粋から東京モダンへ」

2021-03-15 00:05:59 | tv

【tv】ぶらぶら美術博物館「特別展 小村雪岱スタイル - 江戸の粋から東京モダンへ」

 

 

開催中の美術展や博物展を紹介する番組。今回は、三井記念美術館で開催中の「特別展 小村雪岱スタイル ー 江戸の粋から東京モダンへ」を取り上げていた。これは見に行きたいと思っているので、メモ取りながら鑑賞。備忘録として残しておく。

 

解説は小村雪岱(Wikipedia)の熱烈なファンで、今展の企画も担当された山下裕二先生(Wikipedia)。2020年に没後80年を迎えた小村雪岱の足跡を紹介する企画展。資生堂のロゴなどを担当した、元祖グラフィックデザイナーと言える存在で、本の装丁から舞台美術まで幅広く手掛けた商業芸術家。

 

「泉鏡花『日本橋』装幀」

 

デビュー作にして代表作。山田五郎氏によると初版本であれば箱で74万8千円とのこと。裏に春夏秋冬が描かれている。和モダンだが竹久夢二(Wikipedia)とは違う。夢二はアールヌーボーだが、雪岱はアールデコを感じる。雪岱は10代後半で日本画家を志し、國華社(Wikipedia)に入り古典の模写を行い、しっかりした基礎がある。

 

小村雪岱という名前は知っていたけど、作品はあまりちゃんと知らなかった。たしかにこの『日本橋』の装丁は衝撃的だったかもしれない。グラフィックデザインでありながら、芸術的。アールデコというのも納得。

 

泉鏡花(Wikipedia)に強い憧れを持っており、20代で鏡花に会っている。雪岱という名前も鏡花が名付けたし、妻も鏡花が紹介している。鏡花自身も大変雪岱の作品を気に入り、作品の装丁をほぼ手掛けている。

 

「泉鏡花『鏡花選集』装幀」

 

袖珍本と呼ばれる着物の袖に入る大きさの本。ものすごく売れた。

 

Q:鰻屋の横にうどんの屋台があるというのはどういう状況?

A:鰻の臭いにつられて来るが、鰻は高いのでうどんを食べる。

 

泉鏡花の『日本橋』の装丁は、もともとは鏑木清方(Wikipedia)が手掛けていた。雪岱が奪った形であるが、清方は雪岱をとても評価していた。そんな経緯もあり、鏡花が亡くなった後に出された『鏡花選集』は清方にと譲った。そして雪岱は、鏡花の墓のデザインも手掛けている。

 

この時代、泉鏡花が画家に与えた影響ってとても大きかったんだなと感じる。「鏑木清方 幻の《築地明石》特別公開」(記事はコチラ)でも、「初冬の花」という作品のモデルとなった芸者さんに会ったのは、泉鏡花を囲む会だったし。

 

「 邦枝完二 『繪入草紙 おせん』装幀」

 

朝日新聞にて連載開始すると、部数が伸びたと言われている。背表紙に邦枝完二作、小村雪岱画と連名。挿絵画家が連名になっていることは異例。邦枝完二(Wikipedia)は絵に関して注文したことはなく、全て完璧だったと語っている。その後もコンビで『お傅地獄』などを手掛ける。

 

おせんは実在の人物で、笠森お仙(Wikipedia)のこと。谷中の鍵屋の看板娘で、明和三美人の一人。鈴木晴信(Wikipedia)も浮世絵に描いたことでも有名で、大人気だった。鍵屋では晴信の絵や手ぬぐいなどのグッズを販売し、とてもよく売れていた。

 

昭和8年から『おせん』連載開始、挿絵を担当。晴信の絵に似ていたことから、昭和の晴信と呼ばれていた。そのことから、こんな展示も。

 

鈴木晴信「夜更け」

 

遊女と禿を描いた作品。遊女の弓なりのポーズと、敷居の斜めのラインに注目すると・・・

 

「おせん 縁側」

 

おせんのポーズと縁側のラインに一致! 山下先生は企画展の準備中に気が付いた。おそらく雪岱は春信の作品を見ているが、そのまま写すのではなく、エッセンスとしているところがセンスがいい。

 

これは間違いなく狙ってやったよね😅 昭和の春信と呼ばれたのが先なのか、狙ってやった結果そう呼ばれたのか不明だけど、とにかく春信がモデルとなったお仙を描いたことを踏まえて真似のは間違いないと思う。

 

春信作品に比べて胸元を大きくはだけているがエロくはない。清潔感がある。性的に見ていない?

 

幼少期の体験が絵教しているのではないか? 父親を亡くすと母親は婚家から離籍されてしまったため、生き別れになってしまった。要するにマザコン。山下先生はマザコン画家が好き。岩佐又兵衛(Wikipedia)など。

 

山下先生が何故マザコン画家が好きなのかに言及はなかったように思うけれど、たしかに雪岱にしろ又兵衛にしろ、生い立ちからしたらマザコンになってしまうよね。それは仕方がないと思う。

 

雪岱は"個性に興味はない、写生と模写にも興味はない"と語っている。無機質=モダン。

 

「おせん 雨」

 

傘の角度、線の組み合わせ、余白が完璧。雪岱調と呼ばれる。カラー印刷ではない新聞連載では白黒で映える。

 

これは素敵✨ たしかに、これはグラフィックアートだわ。ちなみに右下に描かれている黒頭巾がおせんなのだそう。

 

山下先生の雪岱との出会いは約30年前の神保町の古書店。何気なく手に取った図録が1987年にリッカー美術館での雪岱をテーマにした企画展のものだった。リッカー美術館は日本初の浮世絵美術館で、企画展の1年後に購入。大変感銘を受ける。

 

当時、当代美術学科助手だったが、小村雪岱の資料は全く無かった。正統派ではないため芸術家として認知されていない? でも、グラフィック界では有名だった。

 

「青柳」

 

肉筆画もあるが今回の展示は版画。当時、雪岱が住んでいた日本橋の風景。現在の八重洲一丁目に住んでいた。弟子の山本武夫が限定300(枚か組か聞き逃した💦)を防空壕で摺ったと言われている。戦火から残すという意味合いもあった。

 

「青柳」は春。直線の組み合わせ。色味が少ない。赤の差し色。三味線と鼓があり稽古前?後? 画面に人がいないのに人の気配を描くことを留守模様という。吹抜屋台という俯瞰図の手法を使っている。

 

落葉」

 

「落葉」は秋。落葉の中に花びらが混ざっている。描いていないが木がある。最低限しか描かない。見る人にゆだねる。俳句っぽいという意見に山下先生が感心していた。

 

「雪の朝」

 

「雪の朝」は冬。大胆。鏑木清方が"素材よりデザインを考えて当てはめる"と語ったとおり。障子越しの温かさ。シンプルなのに情緒がある。

 

夏がない? 元はあったと考える。『日本橋』の装丁の裏にヒントがあるのではないかと思っている。月が描かれていたのではないか? 

 

「赤とんぼ」

 

女性の鬢の描き方が特徴的。とても長い。歌川国貞(Wikipedia)の影響ではないか? エッセイにも国貞が好きだと書いている。春信より国貞っぽい顔。

 

確かに! 柳腰の体つきやポーズなどは春信っぽいけど、顔はちょっと違うかなと思っていた。春信の方がもう少しかわいらしい。雪岱のはキリリとした印象。なるほど国貞の影響なのね!

 

肉筆画が少ないのは何故か? 忙しくて描いている時間がなかった。肉筆画を描かないと画壇で評価されないが、評価は気にしていなかったのではないか?

 

「月に美人」

 

元は団扇絵。表装した人も洒落ている。浴衣生地。粋! 月はほとんど見えない。闇の部分は水面なのか? 空なのか? オシャレだけど怖い。

 

「こぼれ松葉」

 

地面に松葉。落ちて来る一枚の松葉を見ている。余白を大きく取っていているが、大きな松があることが分かる。あえて描かないことで動きが見える。膝の辺りの右側に松葉を一つ配置することで奥行きが出る。西洋の遠近法とは違う。

 

たしかに! あの一枚があるのとないのじゃ全然違う! そういうところで違ってくるんだね。

 

「柳橋」

 

大きな作品。橋に2人、船に2人の女性。雨、湿度の高い感じ。

 

この作品もいいな~ 左の柳なんてぼかし過ぎちゃって、もはや何だか分からないし😅でも、背景を極力ぼやかしたことで、4人の女性たちが浮き立つ。

 

この他、「大菩薩峠」の舞台美術のデザイン画なども展示。

 

イヤこれは絶対見たい! 今展は日時指定制。コロナ禍なのでそれは安心なのだけど、16時までしかやってない 午後半休するかな。

 

ぶらぶら美術博物館:毎週火曜日 20:00~21:00 @BS日テレ

BS日テレ - 「ぶらぶら美術・博物館」番組サイト

 

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