2019.03.22 『THE GUILTY / ギルティ』鑑賞@HTC渋谷
伊集院光とらじおとで紹介さてて、すごく気になってた! 上映館が少なくてどうしようかと思っていたけど、HTC渋谷で「くまのプーさん展」(感想はコチラ)とハシゴできそうだったので定時上がりして見て来た~
ネタバレありです! 結末にも触れています!
「元刑事で現在は緊急ダイヤルのオペレーターをしているアスガーは、女性からの緊急電話を受ける。どうやら女性は誘拐されたようで、犯人が同乗する車の中から電話を掛けている様子。必要な手続きはしたものの、事件が気になるアスガーは・・・」と、あらすじとしてはこんな感じかな。これはおもしろかった! そんなに広くないオペレーター室と、後に1人になりたいとアスガーがこもる会議室のみの、いわゆるワンシチュエーションもの。同僚は登場するものの、事件の被害者も捜査に当たる刑事たちも電話越しで音声のみしか登場しない。それでも、その状況が映像として浮かんでくる。スピード感があるわけでないのだけど、緊張感が続くし、いろいろと飽きさせない展開が考えられている。音が重要であるため音楽も一切なし。
デンマーク映画。デンマーク映画って見たことあったかな? ただWOWOWで北欧サスペンスドラマを結構見るので、主演のヤコブ・ゼーダーグレンは知っていた。他の出演者は全く知らない。監督のグスタフ・モーラーが脚本も担当している。どうやら今作が長編デビュー作らしい。毎度のWikipediaも情報量が少ない💦 とりあえず引用しておく。
『THE GUILTY/ギルティ』(Den skyldige)は、グスタフ・モーラー監督・脚本による2018年のデンマークのスリラー映画である。2018年のサンダンス映画祭のワールド・シネマ・ドラマティック・コンペティション部門で上映された。第91回アカデミー賞外国語映画賞にはデンマーク代表作として出品され、最終選考9作品に残った。ジェイク・ジレンホール主演によるアメリカでのリメイクが報じられている。
と、これ以外はキャストの名前が書いてあるのみ。ハリウッドでリメイクするのか🤔 ジェイク・ギレンホールは役に合ってると思うけど、別にリメイクしなくてもいいんじゃ? そしてこれスリラー映画なの? サスペンスなのかと思ってた。まぁあまり違いが分かってないけ😅
さて、感想を書いていきたいと思うのだけど、見てから1ヶ月以上経ってしまったため詳細は覚えていない💦 また、電話での会話がメインで"事件"の場面自体は動いているのだけど、それが一切映像では見えないので、見ている側がその場面を想像するしかない。なので、それは見た人それぞれのイメージがあると思うし、それこそがこの作品のおもしろいところでもあると思う。どういうイメージであっても間違いではないと思うのだけど、では自分が描いたイメージが正しいかというと違う気も🤔 長々書いているのは、要するに詳細な場面説明はできないですよという言い訳😅 覚えている部分だけをザックリと書こうと思う。
舞台となるのは緊急コールセンター。交代制で24時間緊急コールの対応に当たる。一度受けた電話は何度かけても同じオペレーターにつながる仕組みとなっていて、オペレーターは内容に応じてアドバイスをしたり、場合によっては所轄の警察署に連絡し警官を派遣したりするシステムらしい。このコールセンターでどのくらいの範囲を担当しているのか不明だけど、いわゆるオペレーター室を想像すると拍子抜けするくらい狭く、担当者の数も少ない。交代制とはいえ10人もいないくらい。ヘッドセットをつけてパソコン的なものを操作しながら対応するわけだけど、部屋の雰囲気などもハリウッド映画などで見る最先端の機械的な感じではなく、どこかの事務所のような感じ。本来はこんな感じなのかしら? それとも映画の予算的なこと?
主人公のアスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)については、映画が進むうちにいろいろ分かって来る感じではあるのだけど、会話から推測するような感じで詳しい説明はない。どうやら元は刑事だけれど、何か問題を起こし現在はオペレーターをしているらしい。翌日に裁判を控えており、この裁判で元同僚と口裏を合わせた供述をすれば、罪に問われることはなく刑事に復帰できるという状況なのだと思われる。
誘拐被害者からの電話を受けるということは知っていたので、直ぐに始まるのかと思っていたら、2本ほど別の電話を取る。1本目はトラブルに巻き込まれた男性からの電話。男性の車の位置から彼が買春しようとしていたことを突き止めるなど、さすが元刑事という能力を発揮。でも、どこかやる気がないというか、相手のことをバカにしているような感じ。それは2本目の電話でさらに強まる。自転車でケガした女性から。もう全然助けてあげる気もないという態度。これは酷い😅
要するにアスガーとしてはこの仕事は自分の仕事ではなく、ただただ時間が過ぎるまでやり過ごしているという印象。前述したとおりアスガーが元刑事で明日の裁判の結果次第で復職できるということは、だんだん分かってくることなので、この時点ではずいぶん感じの悪い主人公だなと思ってしまう。
とはいえ、全くやる気がないわけではないっぽく、電話が鳴れば一応ちゃんと取る。3番目の電話が本題の誘拐事件ということになる。電話の相手は女性。子供と話しているつもりらしいけど、どこか切羽詰まった様子。見ている側としても、おそらく今度こそ誘拐事件だろうと思っているので、集中して会話に耳を傾けている。アスガーは刑事の勘で、女性が子供と会話している演技をしていることを見抜く。ならば、彼女自身が危険な状況にあるということ。誘拐されたのかどうかイエスかノーかで答えろと言う。答えはイエス。いよいよキタ!
アスガーは巧みに女性を誘導し、女性が誘拐されて犯人と一緒に車で走行中であることを突き止める。アスガーに出来ることは車の場所や持ち主を特定して警察を向かわせること。そのためには一度電話を切らなくてはならないけれど、女性は取り乱している。この辺りはとっても緊迫感がある。
えーと。ホントはいろいろやり取りがあったり、アスガーがいろいろ調べたりという描写があったりするのだけど、順番もよく分からなくなっちゃったし、細かいやり取りなども覚えていないので、ここからはザックリと書きます🙇
誘拐されているのはイーベン(イェシカ・デゥナウエ)という女性で、彼女を誘拐したのは夫のミケル(ヨハン・オルセン)であることが分かる。2人の間には幼い子供が2人おり、現在家で子供たちだけでいるらしい。アスガーは管轄の警察に連絡を入れつつ、イーベンの自宅に電話を掛ける。すると、マチルデという女の子が電話に出る。まだ幼い子供が1人でいるため、彼女を保護するよう管轄の警察に再度依頼する。
本来アスガーの仕事はここで終了。上司らしき女性からも、管轄の警察からも注意されるのに、アスガーはこの事件にのめり込んでいく。交代の時間が来ても帰らず、挙句の果てには会議室にパソコンを持ち込み、ブラインドを閉めて閉じこもってしまう。途中、思う通りに捜査が進まないことにイラ立ちパソコンを叩き割ったりしてしまうなど奇行が目立つけれど、それに対して周りも腫れ物に触る的な対応なので、アスガーがここに来た経緯には特異なものがあるのかもしれない。
イーベンの誘拐事件前からアスガーは元相棒と私用電話をしたりしているのだけど、この相棒も事件に巻き込んだりしている。イーベンと見ミケルは離婚しており、この元夫の家を調べるように相棒に向かわせている。同時に、この相棒は明日の裁判でアスガーに対して有利な証言をするため、偽証するという主旨のことを話している。アスガーは一体何をしたのか?
マチルデから電話が入り誰かが家に来たと言う。警官だから家に入れて電話を替わって欲しいと告げる。本当に警官なのか?と疑ったりもしたけど、本当に警官だった😅 警官が弟がいる寝室へ向かう。すると警官は悲鳴を上げる。弟は腹をズタズタに裂かれて死んでいたのだった! なんと!😲
これまでは誘拐事件だったけれど、殺人事件も加わった形になる。ミケルが自分の息子を殺したのだとしたら、イーベンの命も危ない! アスガーはイーベンにシートベルトをしっかり閉めて、サイドブレーキを引き脱出するように指示するけれど、これは失敗に終わる。アチャー😣
どのタイミングだったか忘れたけれどミケルとも連絡を取っている。ミケルも取り乱しており、もうおしまいだからある場所に向かうということをつぶやき電話を切ってしまう。緊迫した様子が伝わって来る。アスガーのパソコン内には現在ミケルとイーベンがいると思われる場所の地図が映し出されたりしているので、脚本としては特定の場所を想定しているのかもしれないけれど、見ている側としてはその場所に行ったことがないわけで、映像で見せられない以上想像するしかない。でも、見たこともない場所やミケルやイーベンを想像してしまう。それが実際の設定と合っているかどうかは問題ではなくて、その想像してしまうくらいの生々しさが怖い😱
イーベンから電話。イーベンはトラックの荷台に閉じ込められていると言う。アスガーは荷台の中に何か棒のようなものはないかと聞く。レンガがあることが分かる。扉が開いたらそのレンガでミケルを殴って逃げろと指示。ミケルが来るまで電話を切らずに話をする。すると、イーベンがおかしなことを言い出す。息子のお腹の中に蛇がいるから取り除いたと言うのだった! そして扉の開く音とレンガが振り下ろされた音!
呆然とするアスガー。そこに相棒からの連絡。ミケルには犯罪歴があるため親権を失っていること、イーベンは精神病院に入院していた過去があることが報告される。改めてアスガーが車の位置を調べると、近くに精神病院があることが分かる。ミケルはイーベンが精神的に混乱して息子を殺してしまったため、彼女を精神病院に連れて行こうとしていたのだった。イヤ、ミケルそこは警察に通報なのでは?というツッコミはしちゃダメなのでしょうね😅
そこにイーベンから電話。自分が息子を殺したのかとの問い。正気に戻る瞬間があるのかしらね? 状況からイーベンは現在どこかの橋の上におり、自殺を図ろうとしている様子。アスガーは同僚に緊急手配を頼み、イーベンの説得にかかる。ここで何故この話をしようとしたのかは謎だけれど、アスガーは明日の裁判の内容について話し出す。
ハッキリとことの顛末が語られたわけではなかったと思うけれど、要するにアスガーは罪を犯した少年を射殺してしまったもよう。明日の裁判では元相棒と口裏を合わせて正当防衛を主張し、それが認められれば復職できるということだったらしい。でも、アスガーはミケルの家の調査を終えた相棒に、明日は偽証しなくてもいいと伝えているので、自分の罪にきちんと向き合ったということなのでしょうかね。
少年の罪自体も語られないし、アスガーが何故意図的に少年を射殺したのかも語られないので分からない。快楽的に殺したというような悪徳警官ではないと思うので、おそらく少年を許すことができなかったということなのだとは思う。イーベンの件についても、自ら事件にのめり込むところがあるので、正義感が強いというか刑事としての仕事は好きなのだと思うけれど、思い込みが激しく、罪を犯した人間に容赦ないという面が見られる。その辺りは最初の電話の相手が買春しようとしていたため、対応が酷かったことでも分かる。まぁ、これは誰でもそうなる気もするけれど。
アスガーはイーベンにはマチルデがいること、彼女がイーベンから愛されるのを待っていると告げる。この言葉がアスガーから聞けた初めての温かい言葉だったように思う。もちろんマチルデには優しく接していたけれど、そういうのとも違う。心が通った言葉というか。でも、イーベンは電話を切ってしまう。
しばらくして、管轄の警官からイーベンの身柄を確保したとの連絡が入る。アスガーはホッとした表情を浮かべ、同僚たちが見守る中部屋を出ていく。朝日が差し込む廊下で、アスガーが電話を掛ける姿で映画は終わる。どこに掛けたのかは謎。個人的には家を出たという妻に電話したのかなとも思ったけれど、もしかしたら元同僚かもしれないし、度々電話していた元上司かもしれない。でも、この終わりは良かったんじゃないかな。おそらく、アスガーは明日(もう今日か)の裁判で本当のことを話すつもりなのでしょう。
同僚は出て来るけど、画面上はほぼ1人芝居。電話の相手イーベンのイェシカ・デゥナウエが良かった。声に特徴がある人を選んだ的な記事を読んだ気がするのだけど、ハスキーな声が切羽詰まった感じを増していたし、被害者として登場して実は加害者であるというオチまでミスリードする役なので、その辺りも良かったと思う。
そして何といっても1人で映画を引っ張ったアスガーのヤコブ・セーダーグレンが良かった。アスガーは魅力的な人ではない。適当にやっているわけではないけれど、仕事もやる気がない感じだし、いざ自分の興味のある事件になると、のめり込んで単独行動し始めるし、同僚だったらホント迷惑な人。さらに、実は思い込みで犯人を見誤っていた上に、彼の説得が功を奏したのかも分からない。しかも、真意は不明だけれど意図的に人を殺している。全くいい人ではないのに目が離せない。まぁ離しようもないけど😅 とにかく話を引っ張ったことは確か。WOWOWで出演ドラマは何本か見ているけれど、基本吹替で見ていたのできちんと演技を見たのは初めて。新鮮だった。
一応、主人公の事件も絡んでくるけれど、彼の人間ドラマ的な部分は薄い。そういう意味ではいろいろ掘り下げが少ない気もするし、事件の顛末についても粗い部分や強引なところもある。でも、アスガーの思い込みに巻き込まれて、すっかりミスリードさせられて、オチでビックリしてしまったので全部OKという気持ちになった。88分という時間もちょうどいい感じ
これは映画館で見たいところだけど、まだ上映しているところあるかしら? とはいえ、とても集中して見たいところなので、周りでガサガザする人がいると逆にイライラしてしまう。自分は通路はさんだ後ろの席の3人組の男子がポテトチップばりばり食べ始めたので席移ってしまった😅
サスペンス映画好きな方オススメ! 北欧映画に興味ある方もオススメかな? ヤコブ・セーダーグレン好きな方是非!
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