'12.12.22 『レ・ミゼラブル』@TOHOシネマズ渋谷
今年一番公開を待ってた映画。公開翌日、お目当ての回はなんと満席! 次の回も前から3列目しか残ってない・・・ そんな大人気の中見てきたー!
*ネタバレありです! 長文です!
「妹の子のためにパンを1つ盗み19年間投獄されていたジャン・バルジャンは、仮釈放となったが人々は受け入れてくれない。救いの手を差し伸べてくれたミリエル司教を裏切ってしまう。彼を赦し救おうとしてくれた司教に心打たれ、生まれ変わることを誓う。だが、ジャベール警部が執拗に彼を追う・・・」という原作はあまりに有名なヴィクトル・ユゴーの同名長編小説。日本では「ああ無情」としての方が知られているのかな? これは良かったー!正直、期待値上がり過ぎ&思い入れあり過ぎで、若干の違和感がなくもないけど、それでも涙が止まらなかった・・・
前述したとおり原作は文豪ユゴーの小説だけど、本作はそれをもとに製作されたミュージカルの映画化。だから単純にセリフが歌であるというだけでなく、アレンジされている部分はある。27年前にロンドンのウェスト・エンド(WE)で初演されたミュージカルは、25周年を機に新演出版となったけれど、WEでは現在も旧演出版でロングラン公演を続けている。そもそもはフランス人作曲家のクロード=ミッシェル・シェーンベルクと、作詞家のアラン・ブーブリルが、パリで上演するために書き上げた作品。フランス版のCD持ってるけど曲はほぼ同じ。歌詞もABC caféのとこ、Red!→ Rouge!、Black!→ Noir!と歌っているので、基本はそんなに変えていないのかな? このフランス産のミュージカルを、今作でも製作に携わっているキャメロン・マッキントッシュが英語版に作り変えて、ウェスト・エンドで上演したのが1985年10月28日。そもそもオペラが盛んであるフランスでは、ミュージカルの人気は低い。この作品もロングラン公演ではなく、数回しか上演されなかったんじゃなかったかな・・・ 評判は良かったと何かで読んだ気がしたんだけど・・・ でも、ホントこの作品をよくぞWEで上演してくれました! これは本当に本当に素晴らしい作品だと思う。ユゴーの原作は厚さ2cmくらの文庫本で5~6冊ある長編。フランス版は長かったので、WE版は短くしたんだと思う。これも何かで読んだ気が・・・ いずれにしても膨大な量の原作を3時間弱にまとめたのはスゴイ! まぁ原作も1冊目の半分はミリエル司教の説明で、ジャン・バルジャン出てこないし、4冊目(だったかな)ではまたしても半分くらいクリミア戦争の説明だったりするので、ここを省けば確実に1冊減ると思うけど・・・ もちろん、どのページも大切なのでしょうが、この部分で挫折しそうになったので(笑) イヤ、読み始めて50ページ以上過ぎても主人公が出てこないって辛いでしょ・・・
ということで、つらつら書いてきたのは、膨大な量の原作を読んでみようと思うほど、このミュージカルが好きだというアピール(笑) 舞台版はWEで1回、東宝版を3回見ている。毎回号泣 主人公バルジャンもそうだけれど、学生達のシーンが大好き。なんといっても切なくて、熱い! 楽曲的にも一番盛り上がるシーンでもある。でもやっぱり、ジャン・バルジャンの一生を通して、贖罪とか、赦すこと赦されること、そういうことに感動しているんだと思う。でも、いつも大き過ぎて言葉にならない。その辺りのことがこの映画でつかめるかなと思いつつ、見に行ったということが言いたかった。相変わらず前置き長くてゴメーン
もう少し前置きを続けさせてもらうと、何故長々このミュージカルに対する思い入れを書いたかといえば、今回見に行った際の混み具合からすると、普段あまり映画を見ない人や、ミュージカルをあまり知らない人も見に来ているのかなと思ったから。イヤ、映画なんて何も肩肘張って見に行くものでもないし、気軽に見に行って感動できればそれに越したことはないんだけど、少なくとも一切セリフのない全編歌のミュージカルであるということと、いわゆるミュージカルという言葉から連想する、歌って踊って明るい映画ではないことは知っておいた方がいいと思ったので。まぁ『レ・ミゼラブル』(憐れな人々)なのだから歌って踊る楽しい作品だと思って見に行く人はいないと思うけれど・・・ ただ、そこを知らずに見に行ってミュージカルにする必要はなかったと評価を下げられるのは、そもそものミュージカルファンとしては悲しかったので・・・ あくまで、一ファンの個人的な思い。さて、本題!!
Overture ~ Work Song
最初のダッターン!と音が出た瞬間からウルッときた。やっぱりこのミュージカル大好き。なにより楽曲が美しい。新演出版は未見なので分からないけど、旧演出版ではツルハシのようなものを振り下ろしているので、開墾的な作業に従事しているっぽいけど、映画では海! オープニングの俯瞰での荒れる海と、バルジャンたちが引っ張る巨大な船の映像はまさに映画ならでわ。この俯瞰的な映像は結構出てくる。Work Songは海の中。まぁ、半年くらい前から予告編で何度も見ているシーンではあって、囚人ならもちろんこの曲だけどスゴイ迫力! 水ものすごいかけられてる! まさに歌にあるとおり地獄・・・ ヒュー・ジャックマンのアップがすさまじい。ガリガリに痩せた顔、ギラギラした眼。鬼気迫るとはまさにこのこと。絶望と怒りが感じられる。そう、この時点でバルジャンは憤っているんだよね。何故なら、飢え死にしそうな妹の子の為にパンを1つ盗んだだけで、19年も牢獄にいるから。たしか脱獄を繰り返して刑期が延びたのだし、理由はどうあれパンを盗んだことは事実。社会に対しての怒りといえばかっこいいけど、この時点でのバルジャンはやっぱり正義の人とは言い切れないものがある。原作のバルジャンはパンを盗んだ時点では、愚鈍な人として描かれていて、そのバルジャンが目覚めて慈愛に満ちた素晴らしい人となって、神に召されるってことがテーマなんだけど、舞台版でも今作でもパンを盗むところは描いていないので、ここではバルジャンが悪人ではないまでも、正しい人とは言い切れない感じを完璧に演じていて良かった。
Valjean Arrested ~ What Have I Done?
ここはもう何といっても司教様のコルム・ウィルキンソン! ロンドン初演オリジナル・ジャン・バルジャンですよ!! 全てはこの人から始まったのです! 実はコルムさん「オペラ座の怪人」のファントム役でお稽古に入っていたけど、「レ・ミゼラブル」の初演バルジャンに決定したので降板したという、ミュージカル界では神様のような方。そのコルムさんが司教様を演じるというのはこの上ない配役。清貧の暮らしをおくるミリエル司教のわりには太っているじゃないかというツッコミはしてはいけません!(笑) 仮釈放の身ゆえ誰にも相手にされず自暴自棄になったバルジャンが、食事と宿を提供してくれた司教様を裏切り銀の食器を盗んで逮捕されてしまう。でも司教様は彼を庇ってくれただけでなく、銀の燭台手渡し「これを使って良い人になりなさい、あなたの魂私が買いましょう」と言ってくださる。人はどんな人に出会うかってことで、人生が大きく変わると思うけど、バルジャンにとってミリエル司教に出会ったことで、本当に救われた。この気づき、目覚めを歌っているのがWhat Have I Done? ここのヒュー・ジャックマンは素晴らしかった! この曲と、後のBring Him Homeがバルジャン最大の見せ場だけど、個人的にはこちらの方が良かったと思う。ここで気づきに導かれたこと、目覚めることができたことが、バルジャンにとって魂の救済であり、その後彼に関わる人々が救われていくことにもつながって行く。そういう意味でも重要なシーン。ここから生まれ変わるのだと歌い上げた後、曲が転調するシーンで涙。・゚・(ノД`)・゚・。 銀の燭台が度々さりげなく、でも象徴的に画面に登場するのも好き。
At the End of the Day ~ Come to me
この映画で最も期待していたアン・ハサウェイのファンティーヌ。良かった~ 工場の女工たちの中で、ダントツで美しいファンテ。その分、他の女工たちの嫉妬を買ってしまう。女癖の悪い工場長はファンティーヌに目をつけているけど、簡単になびかないファンテにイラついている。トラブルに巻き込まれたら迷惑だと、彼女を追い出そうとするけれど、本当は嫉妬。このシーンは毎回怖い・・・ 人間の嫌な部分を見せられて辛い。こういう一見普通の人の悪意の方が、今作の悪党であるティナルディエ夫妻などよりよっぽど醜くて怖い。ここで1度ファンテが市長となったバルジャンに助けを求めるシーンが入ったのは良かった。バルジャンがファンテを助けることに使命を感じることに説得力が増した。ここからのファンティーヌの転落ぶりがもう・・・ I Dreamed a DreamとLovely Ladyの順番が逆になってるけど、この入れ替えは良かったと思う。ファンテが娼婦に落ちていく過程がより分かりやすくなった。直ぐに娼婦になるのではなく、ロケットを売り、髪を売り、歯まで売る。髪を切るシーンは予告で想像してたより短かったけれど、若い娘が丸坊主になるというのは見ていて辛い。大きな目に涙をためて震えるアン・ファンテが切な過ぎる。奥歯まで売ってもう売るものがないファンティーヌはとうとう娼婦になる。そしてI Dreamed a Dream・・・ 泣いたー!切な過ぎる 夢見てた未来はこんな地獄じゃなかった・・・。゚(/□\*)゚。わ~ん どうやらこの時代、貧しい女性の末路としては珍しいことではなかったようで、ファンティーヌの人生が特別悲惨だということでもないようだけれど、ヴィクトル・ユゴーがそういう女性たちの人生をMiserableだと思ったことは間違いないわけで、女性として何とかならないかと思いつつも、どうにもならない切なさが辛い。アン・ハサウェイのこの歌は素晴らしかった! Come to meも良かった。死にゆくファンティーヌが悲しい。死ぬことでしか救われないなんて・・・ ここはコゼットの幻想を見せるなど演出も良かったと思う。
Castle on a Cloud ~ Suddenly
市長にまで昇りつめたバルジャンだったが、ジャン・バルジャン誤認逮捕の報を聞き、無実の人に罪を被せるわけにはいかないと、自分こそが囚人24601号であるとWho Am Iで宣言し、再びジャベールに追われる身となる。ここのヒューも良かった。何としてもファンティーヌとの約束を果たしたいバルジャンは辛くも逃げ切り、幼いコゼットのもとへ。リトル・コゼットが雲の上には幸せな世界があると歌うCastle on a Cloudが切ない。この曲そんなに振り幅が広くなくて難しくはないけど、子役だとなかなかねぇ・・・ でも、この子は上手かった。お人形みたいにかわいいし。この映画の悪党でありコミカル要素でもあるティナルディエ夫妻が歌うMaster of the Houseは、夫妻のズル賢い感じが楽しい場面だけど、ちょっと暗めだったかな・・・ ヘレナ・ボナム=カーターは好きだけど、サシャ・バロン・コーエンはちょっと苦手・・・ バルジャンとの駆け引きは良かったと思うけど、コゼットの名前を毎回間違えるのもスベリ気味・・・ 無事コゼットを救い出し、これからは自分が父であり母であると語るバルジャン。今なら未成年者略取で捕まっちゃいそうだけど、あくまで美しいシーン。馬車の中でバルジャンが歌うSuddenlyは、この映画のために書き下ろされた曲。思ったほどグッとこなかったかも・・・ なんとなく後から付け足された曲って、なんとなくしっくりこない気がする。
Look Down ~ Stars
実はパリに着いたバルジャン&リトコゼをジャベールが追い詰めるシーンがあるのだけど、ここはちょっと余計だった気も・・・ リトコゼを抱いたまま高い塔に登るなど映画ならでわの映像ではあるけど、ここのシーンを入れるのであれば、薄めになってしまった学生たちのシーンを増やして欲しかった・・・ でも、ジャベールの見せ場を増やしたってことかな。Starsの位置はここになってたよね? ちょっと記憶が・・・(o´ェ`o)ゞ Look Downからのガブローシュが街を案内(?)するシーンは良かった。馬車の中に入っちゃったり映画ならでわ。ガブローシュの子がまたかわいくて上手い。旧演出場版では通りかかるだけだったアンジョルラスとマリウスが街頭演説してる! この辺りは原作にもあったのかな。もうほとんど覚えてない・・・ マリウスに恋するエポニーヌが彼の演説に心ときめかす気持ちがよく分かる。でも、マリウスは次の瞬間コゼットに恋しちゃう。この恋に落ちた瞬間のエディ・レッドメインの演技が素晴らしい。もちろん2人が恋に落ちることは知っているから、恋に落ちた瞬間が分かるのは当たり前。でも、上手く言えないけど輝いちゃってる マリウスってそもそもはお坊ちゃまで、仲間がどんどん革命にのめり込んでいく中、一人恋に落ちちゃって、自分にずっと恋しているエポニーヌの思いに気づかず、恋のキューピッド役を頼んじゃうという、なんとも空気の読めない若者なんだけど、自身もイートン校出身のお坊ちゃまであるエディ・レッドメインが演じると、とってもピュア。後のシーンでコゼットが去ってしまうと知り、自暴自棄になって危険行動を取ってしまってもイライラしない。
The ABC cafe ~ Do You Hear the People Sing?
このシーン大好き! このシーンが見たくて見に行ってる部分は大きい。WEでは学生たちのアンサンブルからマリウスやアンジョルラスを経てスターになる人が多く、いわば若手の登竜門。アンジョルラスは学生のリーダー。金髪のあの人。舞台版の成功はジャン・バルジャンはもちろんだけど、どれだけカリスマ性のあるアンジョルラスを配役できるかにかかっていると個人的には思っている。結局失敗に終わる学生たちの蜂起をどれだけ切なく感じられるかは、後半の大きなうねりに繋がる。舞台では幕間があるので、ここの学生たちのシーンからOne Day Moreで最高潮に盛り上がり前半終了となる。だからとっても重要! そしてこのシーン多くのWE俳優が出演している。自身はそんなに詳しくないので、コンブフェール役で元WEアンジョルラスのキリアン・ドネリーくらいしか名前と顔は一致しないけど、25周年コンサートで見かけた人はいた。で、つらつら書いているのは、ここがとってもアッサリしていたのがちょっと残念だと言いたかった。例えば革命に不安と疑問を感じているグランテールは、原作ではアンジョルラスを崇拝しているのに見下されているけれど、舞台版では親友。アンジョルラスとマリウスの関係も、兄と弟のような感じだったり、何より学生たちが全員アンジョルラスに心酔している。そういう描写があまりなかった。特にアンジョルラスは見せ場を減らされてしまったし・・・ They will come when we’ll call!(←合ってる?)全員で歌うことになっちゃったし 当初は地味さが懸念されたアーロン・トヴェィトが、カリスマ性を発揮できる感じがあっただけに、そこまで描かれてなくて残念。でも、Do You Hear the People Sing?は良かった! ラマルク将軍の葬儀を占拠しちゃう学生たち。このシーンは映画ならでわ。ここは盛り上がった! 映像も美しい。想像していたパリとはちがったけど・・・
Rue Plumet ~ One Day More
ここではOne Day Moreを除くと、やっぱり若い恋人たちのA Heart Full of Loveかな。正直勝手にどうそという感じもするけど(笑) 初めて見た時にはコゼットに感情移入したけど、彼女の年なんてとっくに過ぎた今では、あたたかく見守るのみ。少しはエポニーヌの気持ちに気づけよマリウス! と思うけれど、酔いしれちゃってるマリウスがエディなのでよし(笑) 独特の声。歌も上手い。ちょっとのどの奥にまくがかかっているような声だけど、不思議な魅力。コゼットのアマンダ・セイフライド(サイフリッド表記はどうなった?)は『マンマ・ミーア』で歌声は披露済み。未見なので初めて聴いた。美しい声で歌も上手い。子供っぽいコゼットにしたくなかったと語ったそうだけど、良かったと思う。清純な美しさと自分の生い立ちや人生を真剣に考える聡明さもある。マリウスが一目で恋に落ちることも納得。One Day Moreはこのミュージカルを代表する曲。この曲を聴くといつも胸が熱くなる。それぞれが明日に思いを託す大好きな曲。舞台版の全員で行進も好きだったけど、映画なのでカット割りでそれぞれを見せられる。大好きなミュージカル映画『ウェスト・サイド・ストーリー』のTonight Ensembleっぽい。ここは良かった!
Upon These Stones ~ A Little Fall of Rain
バリケードを作るために家具を窓から投げてもらうというアイデアは、撮影中に思いついたらしいけれど、これは良かったと思う。これは市民の革命で、学生のバリケードなので。On My Ownは良かった! このエポニーヌのサマンサ・バークスはWEでもエポニーヌを演じ、25周年コンサートでも同役にキャスティングされた。オーディションは大変だったらしいけれど、WE舞台のカーテンコールでキャメロン・マッキントッシュから決定の知らせを受けたまさにシンデレラ 歌の上手さは25周年コンサートで確認済み。25周年のように歌い上げてはいないけど、その分細かな感情が伝わってくる。良かったー! これは期待以上。A Little Fall of Rainも良かった。やっとエポニーヌが自分を愛していることに気づいたマリウス。彼の腕の中で、とっても安らかだと死んでいくエポニーヌ。死にたいと思っていたわけじゃないだろうし、ファンティーヌほどの地獄じゃないにしても、つらい現実を生きる彼女。死ぬことでしか安らぎを得られないなんて悲しい・・・ でも、愛するマリウスの腕の中で逝けてよかった。そうそう! エポニーヌを姫抱っこしているのは、サマンサの恋人キリアン・ドネリー
Night of Anguish ~ The Finale Battle
ガブローシュが死ぬシーン。舞台版では銃弾が不足してしまい、遺体から弾を取ってこようということになり、反対する間もなくガブが飛び出して行ってしまうんだけど、映画版では怒りにまかせてって感じだった。ガブローシュ役の子がホント上手くて泣けた・・・ ちょっと甥っ子2号に似てるチョロチョロしたガブが、目を開けたまま息絶えるのは切ない。なんで子供を撃つんだよ!(*`д´) 後のシーンで、ジャベールが自分の勲章をつけるシーンでまた涙・・・ ラッセル・クロウのアドリブだったそうだけど、これはよかった そうそう! ここで学生たちに呼びかける兵士役で、POTO25 ラウル、レミ25周年コンサート グランテールのハドリー・フレイザーが! ハドリー上手い。ほんの数フレーズなのに、彼らを殺したくない、助けたいと思っているのが伝わってくる。元WEジャベールだからこの物語のテーマをきちんと理解しているんだと思う。学生たちが最後に一緒に歌うDrink With Meが切ない。彼らの運命を知っているから・・・ ここではグランテールがこの戦いの意義に対する不安を口にするのが切ない。そして、コゼットが去るなら死んでもいいとふて寝することで、彼を救いに来たバルジャンに認識されるマリウス。この後のBring Him Homeは、マリウスを愛するコゼットのもとに帰してくれと神に祈る曲。一度はコゼットを取られてしまうと嫉妬すら感じたマリウスだけど、彼女のために助けたいと思う。それはまさに嫉妬も含めて父親の愛。このヒューも良かった。この曲は歌い出しに全てがかかってるけど、良かったと思う。翌日の総攻撃で玉砕する学生たち。すごい迫力。舞台版の見せ場、アンジョ足引っ掛け逆さ死体。ここ! 原作では薔薇を撃つみたいだと狙撃手を躊躇させるほどの美青年アンジョルラスを、崇拝するも見下され続けたグランテール。彼がアンジョと並んで逝けるという感動シーン。映画ではここが再現されていてうれしい。そして、もちろんアンジョ逆さかま死。ここはとっても美しい!
Dog Eats Dog ~ Javert’s Sucide
ティナルディエが下水道で遺体から金目の物を盗んでいるシーン。羅生門にも描かれてた。洋の東西を問わずしたたかな人はいる。うーん・・・ 彼は良い人ではないけど、どこか憎めない。それが足りない気がする。バルジャンがマリウスを背負って下水道を逃げるのは、2人とも汚水まみれの熱演はすごいけど、長い・・・ ここをこんなに撮るなら学生のシーンを増やしてくれ!(笑) 出口でのジャベールとの対決は良かった。ジャベールは絶対バリケードでバルジャンに君の職務だから恨んでいないと言われ、命を救われた時点で、バルジャン=悪だから逮捕するという自分の中の使命が崩壊してしまい、今また汚水まみれになって若者を救おうとしている彼を、逮捕する気などなかったと思うけれど、もう一度バルジャンは生かすに値する人であるのか確かめたかったのかも。罪は償うことができるのか? 悪人も正しい人になれるのか? 自分が追っていたのは何だったのか? 牢獄で産み落とされたジャベールは、法=正義だと思って生きてきた。ただ、それだけでは量れない人の徳というものに触れて、自らの信念も崩れた。自分がいつの間にか悪の側にいる・・・ 正直、ジャベールの心情については正しく理解出来ているか自信がない。ラッセル・クロウは好演していたと思うけど、彼の真意までは分からなかった。自殺シーンは圧巻。ここの映像も映画ならでわ。キリスト教では自殺は罪だと思うのだけど、ジャベールはキリスト教徒じゃないのか? それとも、神からも赦されないところに行こうとした?
Turning ~ Every Day / Heart Full of Love
Turningは学生たちの死を女性たちが悲しむシーン。子供の頃あやした子だと歌うのが・・・ こことLovely LadyのシーンはWEの女優さんたちが多く出演している。Turningの最後にアップになるのは元WE「オペラ座の怪人」クリスティーヌのジーナ・ベック。YouTubeしか見てないけど、彼女のクリスティーヌ好き! Empty Chairs Empty Tablesはマリウスのソロ。仲間と集ったABC cafeで一人生き残ってしまった苦悩を歌う。死を覚悟していたとはいえ、死にたかったわけではないだろうけれど、一人残された罪悪感や空しさは大変なものだと思う。その辺りをエディ・レッドメインが持ち味の繊細さと品の良さで好演。エディのマリウスとっても良かったと思う。まぁ、その後あっさりコゼットと幸せ噛みしめちゃうけど(笑)
Valjean’s Confession ~ Wedding Chorale
コゼットとマリウスの結婚が決まり、彼にコゼットを託し姿を消す決心をするバルジャン。自らの命の終わりを考えている。元囚人である自分は2人の幸せの妨げになるとマリウスに告白する。それでもマリウスは父として受け入れようとするけれど、この時点では自分をバリケードから救ったのがバルジャンであることを知らない彼は、バルジャンの意向を受け入れる。Wedding Choraleはわりとあっさり。さり気なくマリウス登場シーンで祖父に絶縁されるシーンがあったけど、和解したらしい映像が差し込まれている。結婚式が豪華なのことに説得力が増した。本来はティナルディエ夫妻が一暴れするコミカル・シーンでもあるけど、ここはアッサリ。マリウスがバルジャンこそ命の恩人であることを知ることに重点が置かれている。
Finale
いよいよラスト・・・ 修道院で暮らすバルジャン。死が近い。迎えにくるファンティーヌ。舞台版ではエポニーヌも来るけどファンテのみ。これは良かったと思う。バルジャンとエポあんまり関わりないし・・・(笑) ファンティーヌが迎えに来てくれたことが、バルジャンの罪が償われたのだということだと思うし。罪は犯した人に対して償うべきだと思うけれど、人生という大きな流れの中で、人から与えられたものを、別の誰かに返していくということもありなんだと思う。それこそがバルジャンの贖罪。その象徴が再び現れるミリエル司教なんだと思う。この修道院にミリエル司教が赴任したということではなくて、あくまでバルジャンを神のもとに導く者ということなんだと思う。コルムさんが司教様に配役された意味がよく分かる。そして、コルムさんに対するリスペクトも感じる。駆けつけたコゼットとマリウスに見守られ、司教とファンティーヌに導かれて神に召されるバルジャン。パンを1つ盗んで19年間牢獄にいた男の、この穏やかで尊い人生の終わり。市長になるまでや、パリでどのように暮らしていたのか不明なので、ちょっと説得力に欠ける部分がなくもないけど、ファンティーヌにSalvationと言われているからには、これは魂の救済であり、どんなMiserableな生い立ちであっても、心がけ次第で神から救済されるのだというメッセージなのかと思う。キリスト教について詳しくないので間違っているかもしれないけれど・・・ そして! ラストDo You Hear the People Sing? の大合唱。ファンティーヌ、エポニーヌ、学生たち、そして大群衆による巨大バリケード! これは映画ならでわ。無駄な命も、人生もないということ。これは素晴らしい! 涙が止まらなかった。
キャストについては、もう十分過ぎるほど長文だし、それぞれの中に書いたので割愛する。皆演技はもちろん歌も上手い。通常は先に録音した歌に合わせて、口パクで演技するそうだけれど、同録しているので自然。ちなみに大好きな『アクロス・ザ・ユニバース』も同録。これまで映画化の話は何度もあったけれど、消極的になっていたキャメロン・マッキントッシュの心を動かす決め手となったのが、同録だったそうで、ミュージカル苦手な人のダメな理由の一つは不自然な歌唱だと思うので、これは英断だったと思う。
正直、生の舞台の迫力や高揚感にはかなわないけど、その分映画ならでわのクローズアップや、細かい描写、そして迫力の映像や演出で見せたのは良かったと思う。映画にする意味ないし。街並みなどはあえてのセット感を感じる部分もあったけど、画としては美しかった。
ミュージカル苦手な人や慣れてない人はダメかも・・・ 舞台版ファンの方是非! ヒュー・ジャックマン好きな方是非!!
長文、読んでくれてありがとーヽ(・∀・)ノ♪
『レ・ミゼラブル』Official site
今年一番公開を待ってた映画。公開翌日、お目当ての回はなんと満席! 次の回も前から3列目しか残ってない・・・ そんな大人気の中見てきたー!
*ネタバレありです! 長文です!
「妹の子のためにパンを1つ盗み19年間投獄されていたジャン・バルジャンは、仮釈放となったが人々は受け入れてくれない。救いの手を差し伸べてくれたミリエル司教を裏切ってしまう。彼を赦し救おうとしてくれた司教に心打たれ、生まれ変わることを誓う。だが、ジャベール警部が執拗に彼を追う・・・」という原作はあまりに有名なヴィクトル・ユゴーの同名長編小説。日本では「ああ無情」としての方が知られているのかな? これは良かったー!正直、期待値上がり過ぎ&思い入れあり過ぎで、若干の違和感がなくもないけど、それでも涙が止まらなかった・・・
前述したとおり原作は文豪ユゴーの小説だけど、本作はそれをもとに製作されたミュージカルの映画化。だから単純にセリフが歌であるというだけでなく、アレンジされている部分はある。27年前にロンドンのウェスト・エンド(WE)で初演されたミュージカルは、25周年を機に新演出版となったけれど、WEでは現在も旧演出版でロングラン公演を続けている。そもそもはフランス人作曲家のクロード=ミッシェル・シェーンベルクと、作詞家のアラン・ブーブリルが、パリで上演するために書き上げた作品。フランス版のCD持ってるけど曲はほぼ同じ。歌詞もABC caféのとこ、Red!→ Rouge!、Black!→ Noir!と歌っているので、基本はそんなに変えていないのかな? このフランス産のミュージカルを、今作でも製作に携わっているキャメロン・マッキントッシュが英語版に作り変えて、ウェスト・エンドで上演したのが1985年10月28日。そもそもオペラが盛んであるフランスでは、ミュージカルの人気は低い。この作品もロングラン公演ではなく、数回しか上演されなかったんじゃなかったかな・・・ 評判は良かったと何かで読んだ気がしたんだけど・・・ でも、ホントこの作品をよくぞWEで上演してくれました! これは本当に本当に素晴らしい作品だと思う。ユゴーの原作は厚さ2cmくらの文庫本で5~6冊ある長編。フランス版は長かったので、WE版は短くしたんだと思う。これも何かで読んだ気が・・・ いずれにしても膨大な量の原作を3時間弱にまとめたのはスゴイ! まぁ原作も1冊目の半分はミリエル司教の説明で、ジャン・バルジャン出てこないし、4冊目(だったかな)ではまたしても半分くらいクリミア戦争の説明だったりするので、ここを省けば確実に1冊減ると思うけど・・・ もちろん、どのページも大切なのでしょうが、この部分で挫折しそうになったので(笑) イヤ、読み始めて50ページ以上過ぎても主人公が出てこないって辛いでしょ・・・
ということで、つらつら書いてきたのは、膨大な量の原作を読んでみようと思うほど、このミュージカルが好きだというアピール(笑) 舞台版はWEで1回、東宝版を3回見ている。毎回号泣 主人公バルジャンもそうだけれど、学生達のシーンが大好き。なんといっても切なくて、熱い! 楽曲的にも一番盛り上がるシーンでもある。でもやっぱり、ジャン・バルジャンの一生を通して、贖罪とか、赦すこと赦されること、そういうことに感動しているんだと思う。でも、いつも大き過ぎて言葉にならない。その辺りのことがこの映画でつかめるかなと思いつつ、見に行ったということが言いたかった。相変わらず前置き長くてゴメーン
もう少し前置きを続けさせてもらうと、何故長々このミュージカルに対する思い入れを書いたかといえば、今回見に行った際の混み具合からすると、普段あまり映画を見ない人や、ミュージカルをあまり知らない人も見に来ているのかなと思ったから。イヤ、映画なんて何も肩肘張って見に行くものでもないし、気軽に見に行って感動できればそれに越したことはないんだけど、少なくとも一切セリフのない全編歌のミュージカルであるということと、いわゆるミュージカルという言葉から連想する、歌って踊って明るい映画ではないことは知っておいた方がいいと思ったので。まぁ『レ・ミゼラブル』(憐れな人々)なのだから歌って踊る楽しい作品だと思って見に行く人はいないと思うけれど・・・ ただ、そこを知らずに見に行ってミュージカルにする必要はなかったと評価を下げられるのは、そもそものミュージカルファンとしては悲しかったので・・・ あくまで、一ファンの個人的な思い。さて、本題!!
Overture ~ Work Song
最初のダッターン!と音が出た瞬間からウルッときた。やっぱりこのミュージカル大好き。なにより楽曲が美しい。新演出版は未見なので分からないけど、旧演出版ではツルハシのようなものを振り下ろしているので、開墾的な作業に従事しているっぽいけど、映画では海! オープニングの俯瞰での荒れる海と、バルジャンたちが引っ張る巨大な船の映像はまさに映画ならでわ。この俯瞰的な映像は結構出てくる。Work Songは海の中。まぁ、半年くらい前から予告編で何度も見ているシーンではあって、囚人ならもちろんこの曲だけどスゴイ迫力! 水ものすごいかけられてる! まさに歌にあるとおり地獄・・・ ヒュー・ジャックマンのアップがすさまじい。ガリガリに痩せた顔、ギラギラした眼。鬼気迫るとはまさにこのこと。絶望と怒りが感じられる。そう、この時点でバルジャンは憤っているんだよね。何故なら、飢え死にしそうな妹の子の為にパンを1つ盗んだだけで、19年も牢獄にいるから。たしか脱獄を繰り返して刑期が延びたのだし、理由はどうあれパンを盗んだことは事実。社会に対しての怒りといえばかっこいいけど、この時点でのバルジャンはやっぱり正義の人とは言い切れないものがある。原作のバルジャンはパンを盗んだ時点では、愚鈍な人として描かれていて、そのバルジャンが目覚めて慈愛に満ちた素晴らしい人となって、神に召されるってことがテーマなんだけど、舞台版でも今作でもパンを盗むところは描いていないので、ここではバルジャンが悪人ではないまでも、正しい人とは言い切れない感じを完璧に演じていて良かった。
Valjean Arrested ~ What Have I Done?
ここはもう何といっても司教様のコルム・ウィルキンソン! ロンドン初演オリジナル・ジャン・バルジャンですよ!! 全てはこの人から始まったのです! 実はコルムさん「オペラ座の怪人」のファントム役でお稽古に入っていたけど、「レ・ミゼラブル」の初演バルジャンに決定したので降板したという、ミュージカル界では神様のような方。そのコルムさんが司教様を演じるというのはこの上ない配役。清貧の暮らしをおくるミリエル司教のわりには太っているじゃないかというツッコミはしてはいけません!(笑) 仮釈放の身ゆえ誰にも相手にされず自暴自棄になったバルジャンが、食事と宿を提供してくれた司教様を裏切り銀の食器を盗んで逮捕されてしまう。でも司教様は彼を庇ってくれただけでなく、銀の燭台手渡し「これを使って良い人になりなさい、あなたの魂私が買いましょう」と言ってくださる。人はどんな人に出会うかってことで、人生が大きく変わると思うけど、バルジャンにとってミリエル司教に出会ったことで、本当に救われた。この気づき、目覚めを歌っているのがWhat Have I Done? ここのヒュー・ジャックマンは素晴らしかった! この曲と、後のBring Him Homeがバルジャン最大の見せ場だけど、個人的にはこちらの方が良かったと思う。ここで気づきに導かれたこと、目覚めることができたことが、バルジャンにとって魂の救済であり、その後彼に関わる人々が救われていくことにもつながって行く。そういう意味でも重要なシーン。ここから生まれ変わるのだと歌い上げた後、曲が転調するシーンで涙。・゚・(ノД`)・゚・。 銀の燭台が度々さりげなく、でも象徴的に画面に登場するのも好き。
At the End of the Day ~ Come to me
この映画で最も期待していたアン・ハサウェイのファンティーヌ。良かった~ 工場の女工たちの中で、ダントツで美しいファンテ。その分、他の女工たちの嫉妬を買ってしまう。女癖の悪い工場長はファンティーヌに目をつけているけど、簡単になびかないファンテにイラついている。トラブルに巻き込まれたら迷惑だと、彼女を追い出そうとするけれど、本当は嫉妬。このシーンは毎回怖い・・・ 人間の嫌な部分を見せられて辛い。こういう一見普通の人の悪意の方が、今作の悪党であるティナルディエ夫妻などよりよっぽど醜くて怖い。ここで1度ファンテが市長となったバルジャンに助けを求めるシーンが入ったのは良かった。バルジャンがファンテを助けることに使命を感じることに説得力が増した。ここからのファンティーヌの転落ぶりがもう・・・ I Dreamed a DreamとLovely Ladyの順番が逆になってるけど、この入れ替えは良かったと思う。ファンテが娼婦に落ちていく過程がより分かりやすくなった。直ぐに娼婦になるのではなく、ロケットを売り、髪を売り、歯まで売る。髪を切るシーンは予告で想像してたより短かったけれど、若い娘が丸坊主になるというのは見ていて辛い。大きな目に涙をためて震えるアン・ファンテが切な過ぎる。奥歯まで売ってもう売るものがないファンティーヌはとうとう娼婦になる。そしてI Dreamed a Dream・・・ 泣いたー!切な過ぎる 夢見てた未来はこんな地獄じゃなかった・・・。゚(/□\*)゚。わ~ん どうやらこの時代、貧しい女性の末路としては珍しいことではなかったようで、ファンティーヌの人生が特別悲惨だということでもないようだけれど、ヴィクトル・ユゴーがそういう女性たちの人生をMiserableだと思ったことは間違いないわけで、女性として何とかならないかと思いつつも、どうにもならない切なさが辛い。アン・ハサウェイのこの歌は素晴らしかった! Come to meも良かった。死にゆくファンティーヌが悲しい。死ぬことでしか救われないなんて・・・ ここはコゼットの幻想を見せるなど演出も良かったと思う。
Castle on a Cloud ~ Suddenly
市長にまで昇りつめたバルジャンだったが、ジャン・バルジャン誤認逮捕の報を聞き、無実の人に罪を被せるわけにはいかないと、自分こそが囚人24601号であるとWho Am Iで宣言し、再びジャベールに追われる身となる。ここのヒューも良かった。何としてもファンティーヌとの約束を果たしたいバルジャンは辛くも逃げ切り、幼いコゼットのもとへ。リトル・コゼットが雲の上には幸せな世界があると歌うCastle on a Cloudが切ない。この曲そんなに振り幅が広くなくて難しくはないけど、子役だとなかなかねぇ・・・ でも、この子は上手かった。お人形みたいにかわいいし。この映画の悪党でありコミカル要素でもあるティナルディエ夫妻が歌うMaster of the Houseは、夫妻のズル賢い感じが楽しい場面だけど、ちょっと暗めだったかな・・・ ヘレナ・ボナム=カーターは好きだけど、サシャ・バロン・コーエンはちょっと苦手・・・ バルジャンとの駆け引きは良かったと思うけど、コゼットの名前を毎回間違えるのもスベリ気味・・・ 無事コゼットを救い出し、これからは自分が父であり母であると語るバルジャン。今なら未成年者略取で捕まっちゃいそうだけど、あくまで美しいシーン。馬車の中でバルジャンが歌うSuddenlyは、この映画のために書き下ろされた曲。思ったほどグッとこなかったかも・・・ なんとなく後から付け足された曲って、なんとなくしっくりこない気がする。
Look Down ~ Stars
実はパリに着いたバルジャン&リトコゼをジャベールが追い詰めるシーンがあるのだけど、ここはちょっと余計だった気も・・・ リトコゼを抱いたまま高い塔に登るなど映画ならでわの映像ではあるけど、ここのシーンを入れるのであれば、薄めになってしまった学生たちのシーンを増やして欲しかった・・・ でも、ジャベールの見せ場を増やしたってことかな。Starsの位置はここになってたよね? ちょっと記憶が・・・(o´ェ`o)ゞ Look Downからのガブローシュが街を案内(?)するシーンは良かった。馬車の中に入っちゃったり映画ならでわ。ガブローシュの子がまたかわいくて上手い。旧演出場版では通りかかるだけだったアンジョルラスとマリウスが街頭演説してる! この辺りは原作にもあったのかな。もうほとんど覚えてない・・・ マリウスに恋するエポニーヌが彼の演説に心ときめかす気持ちがよく分かる。でも、マリウスは次の瞬間コゼットに恋しちゃう。この恋に落ちた瞬間のエディ・レッドメインの演技が素晴らしい。もちろん2人が恋に落ちることは知っているから、恋に落ちた瞬間が分かるのは当たり前。でも、上手く言えないけど輝いちゃってる マリウスってそもそもはお坊ちゃまで、仲間がどんどん革命にのめり込んでいく中、一人恋に落ちちゃって、自分にずっと恋しているエポニーヌの思いに気づかず、恋のキューピッド役を頼んじゃうという、なんとも空気の読めない若者なんだけど、自身もイートン校出身のお坊ちゃまであるエディ・レッドメインが演じると、とってもピュア。後のシーンでコゼットが去ってしまうと知り、自暴自棄になって危険行動を取ってしまってもイライラしない。
The ABC cafe ~ Do You Hear the People Sing?
このシーン大好き! このシーンが見たくて見に行ってる部分は大きい。WEでは学生たちのアンサンブルからマリウスやアンジョルラスを経てスターになる人が多く、いわば若手の登竜門。アンジョルラスは学生のリーダー。金髪のあの人。舞台版の成功はジャン・バルジャンはもちろんだけど、どれだけカリスマ性のあるアンジョルラスを配役できるかにかかっていると個人的には思っている。結局失敗に終わる学生たちの蜂起をどれだけ切なく感じられるかは、後半の大きなうねりに繋がる。舞台では幕間があるので、ここの学生たちのシーンからOne Day Moreで最高潮に盛り上がり前半終了となる。だからとっても重要! そしてこのシーン多くのWE俳優が出演している。自身はそんなに詳しくないので、コンブフェール役で元WEアンジョルラスのキリアン・ドネリーくらいしか名前と顔は一致しないけど、25周年コンサートで見かけた人はいた。で、つらつら書いているのは、ここがとってもアッサリしていたのがちょっと残念だと言いたかった。例えば革命に不安と疑問を感じているグランテールは、原作ではアンジョルラスを崇拝しているのに見下されているけれど、舞台版では親友。アンジョルラスとマリウスの関係も、兄と弟のような感じだったり、何より学生たちが全員アンジョルラスに心酔している。そういう描写があまりなかった。特にアンジョルラスは見せ場を減らされてしまったし・・・ They will come when we’ll call!(←合ってる?)全員で歌うことになっちゃったし 当初は地味さが懸念されたアーロン・トヴェィトが、カリスマ性を発揮できる感じがあっただけに、そこまで描かれてなくて残念。でも、Do You Hear the People Sing?は良かった! ラマルク将軍の葬儀を占拠しちゃう学生たち。このシーンは映画ならでわ。ここは盛り上がった! 映像も美しい。想像していたパリとはちがったけど・・・
Rue Plumet ~ One Day More
ここではOne Day Moreを除くと、やっぱり若い恋人たちのA Heart Full of Loveかな。正直勝手にどうそという感じもするけど(笑) 初めて見た時にはコゼットに感情移入したけど、彼女の年なんてとっくに過ぎた今では、あたたかく見守るのみ。少しはエポニーヌの気持ちに気づけよマリウス! と思うけれど、酔いしれちゃってるマリウスがエディなのでよし(笑) 独特の声。歌も上手い。ちょっとのどの奥にまくがかかっているような声だけど、不思議な魅力。コゼットのアマンダ・セイフライド(サイフリッド表記はどうなった?)は『マンマ・ミーア』で歌声は披露済み。未見なので初めて聴いた。美しい声で歌も上手い。子供っぽいコゼットにしたくなかったと語ったそうだけど、良かったと思う。清純な美しさと自分の生い立ちや人生を真剣に考える聡明さもある。マリウスが一目で恋に落ちることも納得。One Day Moreはこのミュージカルを代表する曲。この曲を聴くといつも胸が熱くなる。それぞれが明日に思いを託す大好きな曲。舞台版の全員で行進も好きだったけど、映画なのでカット割りでそれぞれを見せられる。大好きなミュージカル映画『ウェスト・サイド・ストーリー』のTonight Ensembleっぽい。ここは良かった!
Upon These Stones ~ A Little Fall of Rain
バリケードを作るために家具を窓から投げてもらうというアイデアは、撮影中に思いついたらしいけれど、これは良かったと思う。これは市民の革命で、学生のバリケードなので。On My Ownは良かった! このエポニーヌのサマンサ・バークスはWEでもエポニーヌを演じ、25周年コンサートでも同役にキャスティングされた。オーディションは大変だったらしいけれど、WE舞台のカーテンコールでキャメロン・マッキントッシュから決定の知らせを受けたまさにシンデレラ 歌の上手さは25周年コンサートで確認済み。25周年のように歌い上げてはいないけど、その分細かな感情が伝わってくる。良かったー! これは期待以上。A Little Fall of Rainも良かった。やっとエポニーヌが自分を愛していることに気づいたマリウス。彼の腕の中で、とっても安らかだと死んでいくエポニーヌ。死にたいと思っていたわけじゃないだろうし、ファンティーヌほどの地獄じゃないにしても、つらい現実を生きる彼女。死ぬことでしか安らぎを得られないなんて悲しい・・・ でも、愛するマリウスの腕の中で逝けてよかった。そうそう! エポニーヌを姫抱っこしているのは、サマンサの恋人キリアン・ドネリー
Night of Anguish ~ The Finale Battle
ガブローシュが死ぬシーン。舞台版では銃弾が不足してしまい、遺体から弾を取ってこようということになり、反対する間もなくガブが飛び出して行ってしまうんだけど、映画版では怒りにまかせてって感じだった。ガブローシュ役の子がホント上手くて泣けた・・・ ちょっと甥っ子2号に似てるチョロチョロしたガブが、目を開けたまま息絶えるのは切ない。なんで子供を撃つんだよ!(*`д´) 後のシーンで、ジャベールが自分の勲章をつけるシーンでまた涙・・・ ラッセル・クロウのアドリブだったそうだけど、これはよかった そうそう! ここで学生たちに呼びかける兵士役で、POTO25 ラウル、レミ25周年コンサート グランテールのハドリー・フレイザーが! ハドリー上手い。ほんの数フレーズなのに、彼らを殺したくない、助けたいと思っているのが伝わってくる。元WEジャベールだからこの物語のテーマをきちんと理解しているんだと思う。学生たちが最後に一緒に歌うDrink With Meが切ない。彼らの運命を知っているから・・・ ここではグランテールがこの戦いの意義に対する不安を口にするのが切ない。そして、コゼットが去るなら死んでもいいとふて寝することで、彼を救いに来たバルジャンに認識されるマリウス。この後のBring Him Homeは、マリウスを愛するコゼットのもとに帰してくれと神に祈る曲。一度はコゼットを取られてしまうと嫉妬すら感じたマリウスだけど、彼女のために助けたいと思う。それはまさに嫉妬も含めて父親の愛。このヒューも良かった。この曲は歌い出しに全てがかかってるけど、良かったと思う。翌日の総攻撃で玉砕する学生たち。すごい迫力。舞台版の見せ場、アンジョ足引っ掛け逆さ死体。ここ! 原作では薔薇を撃つみたいだと狙撃手を躊躇させるほどの美青年アンジョルラスを、崇拝するも見下され続けたグランテール。彼がアンジョと並んで逝けるという感動シーン。映画ではここが再現されていてうれしい。そして、もちろんアンジョ逆さかま死。ここはとっても美しい!
Dog Eats Dog ~ Javert’s Sucide
ティナルディエが下水道で遺体から金目の物を盗んでいるシーン。羅生門にも描かれてた。洋の東西を問わずしたたかな人はいる。うーん・・・ 彼は良い人ではないけど、どこか憎めない。それが足りない気がする。バルジャンがマリウスを背負って下水道を逃げるのは、2人とも汚水まみれの熱演はすごいけど、長い・・・ ここをこんなに撮るなら学生のシーンを増やしてくれ!(笑) 出口でのジャベールとの対決は良かった。ジャベールは絶対バリケードでバルジャンに君の職務だから恨んでいないと言われ、命を救われた時点で、バルジャン=悪だから逮捕するという自分の中の使命が崩壊してしまい、今また汚水まみれになって若者を救おうとしている彼を、逮捕する気などなかったと思うけれど、もう一度バルジャンは生かすに値する人であるのか確かめたかったのかも。罪は償うことができるのか? 悪人も正しい人になれるのか? 自分が追っていたのは何だったのか? 牢獄で産み落とされたジャベールは、法=正義だと思って生きてきた。ただ、それだけでは量れない人の徳というものに触れて、自らの信念も崩れた。自分がいつの間にか悪の側にいる・・・ 正直、ジャベールの心情については正しく理解出来ているか自信がない。ラッセル・クロウは好演していたと思うけど、彼の真意までは分からなかった。自殺シーンは圧巻。ここの映像も映画ならでわ。キリスト教では自殺は罪だと思うのだけど、ジャベールはキリスト教徒じゃないのか? それとも、神からも赦されないところに行こうとした?
Turning ~ Every Day / Heart Full of Love
Turningは学生たちの死を女性たちが悲しむシーン。子供の頃あやした子だと歌うのが・・・ こことLovely LadyのシーンはWEの女優さんたちが多く出演している。Turningの最後にアップになるのは元WE「オペラ座の怪人」クリスティーヌのジーナ・ベック。YouTubeしか見てないけど、彼女のクリスティーヌ好き! Empty Chairs Empty Tablesはマリウスのソロ。仲間と集ったABC cafeで一人生き残ってしまった苦悩を歌う。死を覚悟していたとはいえ、死にたかったわけではないだろうけれど、一人残された罪悪感や空しさは大変なものだと思う。その辺りをエディ・レッドメインが持ち味の繊細さと品の良さで好演。エディのマリウスとっても良かったと思う。まぁ、その後あっさりコゼットと幸せ噛みしめちゃうけど(笑)
Valjean’s Confession ~ Wedding Chorale
コゼットとマリウスの結婚が決まり、彼にコゼットを託し姿を消す決心をするバルジャン。自らの命の終わりを考えている。元囚人である自分は2人の幸せの妨げになるとマリウスに告白する。それでもマリウスは父として受け入れようとするけれど、この時点では自分をバリケードから救ったのがバルジャンであることを知らない彼は、バルジャンの意向を受け入れる。Wedding Choraleはわりとあっさり。さり気なくマリウス登場シーンで祖父に絶縁されるシーンがあったけど、和解したらしい映像が差し込まれている。結婚式が豪華なのことに説得力が増した。本来はティナルディエ夫妻が一暴れするコミカル・シーンでもあるけど、ここはアッサリ。マリウスがバルジャンこそ命の恩人であることを知ることに重点が置かれている。
Finale
いよいよラスト・・・ 修道院で暮らすバルジャン。死が近い。迎えにくるファンティーヌ。舞台版ではエポニーヌも来るけどファンテのみ。これは良かったと思う。バルジャンとエポあんまり関わりないし・・・(笑) ファンティーヌが迎えに来てくれたことが、バルジャンの罪が償われたのだということだと思うし。罪は犯した人に対して償うべきだと思うけれど、人生という大きな流れの中で、人から与えられたものを、別の誰かに返していくということもありなんだと思う。それこそがバルジャンの贖罪。その象徴が再び現れるミリエル司教なんだと思う。この修道院にミリエル司教が赴任したということではなくて、あくまでバルジャンを神のもとに導く者ということなんだと思う。コルムさんが司教様に配役された意味がよく分かる。そして、コルムさんに対するリスペクトも感じる。駆けつけたコゼットとマリウスに見守られ、司教とファンティーヌに導かれて神に召されるバルジャン。パンを1つ盗んで19年間牢獄にいた男の、この穏やかで尊い人生の終わり。市長になるまでや、パリでどのように暮らしていたのか不明なので、ちょっと説得力に欠ける部分がなくもないけど、ファンティーヌにSalvationと言われているからには、これは魂の救済であり、どんなMiserableな生い立ちであっても、心がけ次第で神から救済されるのだというメッセージなのかと思う。キリスト教について詳しくないので間違っているかもしれないけれど・・・ そして! ラストDo You Hear the People Sing? の大合唱。ファンティーヌ、エポニーヌ、学生たち、そして大群衆による巨大バリケード! これは映画ならでわ。無駄な命も、人生もないということ。これは素晴らしい! 涙が止まらなかった。
キャストについては、もう十分過ぎるほど長文だし、それぞれの中に書いたので割愛する。皆演技はもちろん歌も上手い。通常は先に録音した歌に合わせて、口パクで演技するそうだけれど、同録しているので自然。ちなみに大好きな『アクロス・ザ・ユニバース』も同録。これまで映画化の話は何度もあったけれど、消極的になっていたキャメロン・マッキントッシュの心を動かす決め手となったのが、同録だったそうで、ミュージカル苦手な人のダメな理由の一つは不自然な歌唱だと思うので、これは英断だったと思う。
正直、生の舞台の迫力や高揚感にはかなわないけど、その分映画ならでわのクローズアップや、細かい描写、そして迫力の映像や演出で見せたのは良かったと思う。映画にする意味ないし。街並みなどはあえてのセット感を感じる部分もあったけど、画としては美しかった。
ミュージカル苦手な人や慣れてない人はダメかも・・・ 舞台版ファンの方是非! ヒュー・ジャックマン好きな方是非!!
長文、読んでくれてありがとーヽ(・∀・)ノ♪
『レ・ミゼラブル』Official site
ほんとに大作だね!!
ベストがんばってかいてるかな?
わたしもいまupしてこれから支度してでかけなきゃなので
またじっくり読みに来るね!ハマってたこれが何位になるかな?
たのしみにしてるよー☆
゚☆。HAPPY NEW YEAR。☆゚
元のミュージカル大好きだから、ついつい長文に(o´ェ`o)ゞエヘヘ
BEST 10書いたよ♪ さて結果は~?
今年もよろしくね~ヽ(・∀・)ノ{ラブラブ}
うわー、すっかり遅くなってしまってゴメンね!
それにしても原作並みの長文~~☆さすがmaruちゃん。
しっかり原作読み込んでいるんだねぇ。えらいわ。
私は導入がミュージカルからだし、読んだのは昔児童文学だけだったから、それほど違和感はなかったかな。
でも感想は正直maruちゃんといっしょだよ。
涙はなぜか本当に止まらなかったんだけど、心を揺さぶられる感動みたいなのはちょっと少なかったかも。
明日会えるかなぁー?
待ってたよー!(笑)
映画というより"元のミュージカル"が好きだから、
ついつい熱弁になってしまったよ(笑)
私もミュージカルから原作入ったんだけど、1回しか読んでない・・・
長いんだもん(o´ェ`o)ゞエヘヘ
そうなの! 大量の涙を流して見ていたわりには・・・なんだよね~
予告とかで想像してたより、全シーンがアッサリしてたのかな?
あっという間に場面が移って行っちゃうというか・・・
今日は会えなくて残念{涙}
でも、電車止まってたから行かなくて正解だったかも・・・