'09.08.12 『ぼくとママの黄色い自転車』(試写会)@九段会館
yaplogで当選。実はこの日やっぱりyaplogで『里山』の試写会も当選してた。どっちにしようか悩んだんだけど、『里山』はドキュメンタリーなので、やっぱりストーリーのある映画の方がいいかなと思いこちらにした。
「父親と2人暮らしの大志。パリに留学中の母から届く手紙を楽しみにしている。ある日、母がパリにいるのではなく、実は小豆島にいることに気づく。父には内緒で、従姉に協力してもらい、母を尋ねて旅に出るが…」という話。これはなかなか良かった。事情があって離れて暮らす親に、家族に内緒で会いに行き、その途中様々な人に出会い、彼らの心をほぐして行くって感じは、今まで何度も見てきた印象。どのシーンも特別目新しくはなく、見たことある感じ。つまり王道。だけどやっぱり、王道ゆえに感動してしまう。そして、多分親ならきっと泣いてしまうと思う。
全体的にテンポがよかった。冒頭、パリから届いた手紙に喜ぶ大志。無邪気ながらするどい質問をして父親を慌てさせる。見ている側は、手紙は本物ではないことを知っているので、ここはちょっと切なくもおかしい部分。父親が遅くなる時には叔母の家で帰りを待つらしく、少し年上の従姉と姉弟のように過ごす感じもほほえましい。でも、偶然母と叔母がパリの凱旋門で並んで写っている写真を見つけてしまう。それは今朝届いた母からの手紙に同封されていた写真と同じ日に撮られたものだった。
ここから大志の調査が始まる。幼いながら結構しっかり調査は進む。とにかく主役の武井証くんが上手くてかわいい。この辺りは大志もお母さんに会いたいとういう気持ちよりむしろ、謎が1つ1つ解けていく感じがおもしろい側面はあるのかも。例えば、郵便局へ行って消印から発送された郵便局を教えてもらうとか、子供でも出来る方法でちゃんと見せているところがいい。ところどころご都合主義的な部分もあったけれど、テンポを崩さないってことでは良かったかも。
自転車に乗って小豆島へ向かうとチラシなどに書いてあったので、何と無謀な
と思ったけれど、当初の予定ではガール・スカウトに参加している、しっかり者の従姉が新幹線のチケットなどを手配。この辺りも岡山までのチケット代はどう調達したんだ?というツッコミは、記事を書いてて今気づいた(笑) というくらい、大志くんと一緒にドキドキ、ワクワクしてた。紆余曲折あって、最終的に黄色い自転車で旅することになるけれど、この紆余曲折も自然な流れ。
チャリで行くことになったのは、愛犬アンが少なからず関係しているけど、このアンがかわいい! 後に大活躍シーンがあって、このシーン自体はありがちではあるけれど、よくこの犬種を選んだなというくらいかわいいので、ベタながらも感動してしまう。猫派なので犬にはあまり詳しくないからアンちゃん(くん?)が何という種類なのか不明だけど、小学校3~4年生くらいと思われる大志のチャリのカゴにすっぽり入ってしまう大きさ。もこもこの毛並で短い手足。前足をちょこんとカゴにかけて、おじいちゃんみたいな顔で乗っているのがかわいい。大活躍後に座布団にちょこんと座っている姿はもうぬいぐるみです。かわいすぎ! そして、しっかり演技してた。
電車に乗れなかったことから大志の大冒険が始まるわけで、ここからはロード・ムービーのお約束、出会った人達に助けられ、逆に助けてという感じ。でも、テンポ良く進むし、役者さん達の演技がいいので、すんなり入ってきた。途方に暮れていた大志は"岡山運送"と書かれたトラックを見つけ、その荷台に乗り込む。この運転手の彼女が現れ痴話ゲンカの末、車を奪って走り出してしまう。この辺りは、ありがちな若い女の子の大袈裟でガサガサした感じが苦手なので、ちょっとあざといかなと思っていたけれど、この役を演じていた女優さんがわりと良くてギリギリOK。
明石に辿り着いた大志は警官に見つかって保護されそうになる。この警官がほっしゃん。このシーンなんかもあざとくなりがちだけど、ほっしゃん。のとぼけた感じがおかしくていい。「ぼくぅ~」と言いながら追いかける姿が、やる気があるのかないのか分からない感じでいい(笑) このピンチを救うのが大志と同じくらいの女の子。コテコテの関西弁でパキパキとほっしゃん。警官を煙に巻く、ちょっと生意気な感じの女の子。だけど、この子の演技が良くてこのエピソードは好きだった。女を作って出て行ってしまった父を思い寂しい思いをしているけれど、明石焼屋をきりもり自分を育てている母親を思って強がっている。素直に母親に会いに行くと語る大志に、いじわるを言ってしまう気持ちは良く分かる。ここの2人のシーンはすごく好き。
台風に遭遇してしまった大志はアンの大活躍で、自殺しようとしていた老人に救われる。そして大志は結果的にこの老人を救うことになる。ここで初めて大志の父は、彼の無事を知る事になる。この2人のエピソード自体もありがちではあるし、柄本明の演技をもってしても、明石の少女とのシーンにはかなわなかったかなと思うけれど、この老人が父親に対して言う「男と男の約束だから」とういうセリフはベタだけどいい。父親の一志は大志の母琴美との約束を守ったのだけれど、それは自分がその約束にすがっていたという側面もあるわけで、結果大志にきちんと向き合えていなかったということにもなる。幼くても大志を男と認めたこの言葉はいい。そして老人は全てを知った上で、大志を送り出す。このシーンもいい。
チラシなどにも書いてあるので、ネタバレではないと思うけれど、大志の母が嘘をついてまで、彼の元から去ったのは、記憶障害になってしまったから。この病気のことは詳しく知らないけれど、要するに『私の頭の中の消しゴム』と同じだと思う。未見だけど(笑) 母親がこの病気になってしまったということは、重要な要素ではあるけれど、物語の主軸は少年が遠く離れたところに居る母親に会いに行くということなので、この母のエピソードは父の回想シーンとして描かれる。父は回想することで、改めて現実と向き合うことになる感じもいい。断片的に描かれるシーンは、はっきりとした時間経過などの説明はないけれど、着実に進行していくのが分かる。大志を連れて散歩に出かけて帰り道が分からなくなってしまうシーンが印象的。琴美は帰り道が分からなくなってしまったことは分かったけれど、大志をどこかに置いてきてしまったことは忘れてしまっていた。それに気づき愕然とする。これは辛い。病気とはいえ自分を許せないと思う。そして、この後さらに事件を起こし、彼女は大志の元から去る決心をする。1つ1つは少ないシーンながら、徐々に進む病状と、病気に対する不安、こんな事になってしまった自分を責める気持ちなど、鈴木京香はきちんと表現していたと思う。
ついに大志は小豆島へ。この島へ来てからも冒険は少し続くのだけど、最終的に彼が母の元に辿り着いたのは"記録"と"記憶"のおかげ。記録は記憶のサポートだとすれば、今は母の中からは失われた"記憶"は、大志の"記憶"となって生きているということ。これは良かった。大志が母を認められないシーンなんかは、いらないかもと思ったけれど、ずっといい子だった大志が急にわがままになるのは現実逃避と甘え。それは母親ゆえ。母からのメッセージは泣けた。このメッセージ親だったら絶対泣くと思う。琴美は自ら運命を知っていたからこんな形で残したけれど、内容的には多分親なら普段意識していなくても、普通に思っているであろうことが語られている。人は皆いずれ死ぬ。たいていの場合、親は子を残してこの世を去ることになる。子供が何歳になっていても、親はきっとこんな気持ちになるんじゃないだろうか。なんて親になったこともないのにえらそうだけど、MJのご両親も最近電話で話した時、の●ピー事件をふまえて「あんたは麻薬やったらあかんで!」と言っていたそうだし、間違ってないと思う(笑) このシーンでボロボロ泣いて感動もMAXだったので、この後の奇跡のシーンはやり過ぎかなとは思う。それが無くても十分伝わってた。でも、王道ゆえ見ている側は奇跡を期待してしまうので、映画としてはありだと思う。
感想の中にも書いてきたけど、役者さん達はみんな良かったと思う。鈴木京香についてはすでに書いたとおり、老人役柄本明も映画をしめていたし、明石焼屋の鈴木砂羽も良かった。大志に嘘をついていることに1人反対していた叔父、甲本雅裕もいい。反対理由は柄本老人とはちょっと違う気がするけれど(笑) 父親の阿部サダヲはちょっと演技が舞台調で大袈裟なところもあったけれど、琴美との約束を自分も信じたかったって気持ちはすごく分かる。それは逃げてるって思わなくもないけど、親だからって完璧なわけじゃない。その辺りは良かったと思う。大志の武井証くんは奇跡シーンが少しやり過ぎちゃったかなと思うけれど、全体的に上手い。すごく自然だった。そして、とにかく健気でかわいい。
30代半ばくらいと思われる父は建築士のようで、建築士の収入具合が分からないけれど、いくら保険が降りたとはいえ、もう建て直したのか?とか、入居費用や治療費は?なんてツッコミも見ている間は全く気にならなかったくらいテンポが良くて、ベタではありながら自然に進むので、ツッコミどころも気にならず。良かったと思う。
とにかくアンがかわいい! 大志くんとアンのかわいさだけでも見る価値あり(笑)
追伸:エンド・クレジットでそれぞれのその後が描かれるので、終了後もお楽しみに。
『ぼくとママの黄色い自転車』Official site
yaplogで当選。実はこの日やっぱりyaplogで『里山』の試写会も当選してた。どっちにしようか悩んだんだけど、『里山』はドキュメンタリーなので、やっぱりストーリーのある映画の方がいいかなと思いこちらにした。

全体的にテンポがよかった。冒頭、パリから届いた手紙に喜ぶ大志。無邪気ながらするどい質問をして父親を慌てさせる。見ている側は、手紙は本物ではないことを知っているので、ここはちょっと切なくもおかしい部分。父親が遅くなる時には叔母の家で帰りを待つらしく、少し年上の従姉と姉弟のように過ごす感じもほほえましい。でも、偶然母と叔母がパリの凱旋門で並んで写っている写真を見つけてしまう。それは今朝届いた母からの手紙に同封されていた写真と同じ日に撮られたものだった。
ここから大志の調査が始まる。幼いながら結構しっかり調査は進む。とにかく主役の武井証くんが上手くてかわいい。この辺りは大志もお母さんに会いたいとういう気持ちよりむしろ、謎が1つ1つ解けていく感じがおもしろい側面はあるのかも。例えば、郵便局へ行って消印から発送された郵便局を教えてもらうとか、子供でも出来る方法でちゃんと見せているところがいい。ところどころご都合主義的な部分もあったけれど、テンポを崩さないってことでは良かったかも。
自転車に乗って小豆島へ向かうとチラシなどに書いてあったので、何と無謀な

チャリで行くことになったのは、愛犬アンが少なからず関係しているけど、このアンがかわいい! 後に大活躍シーンがあって、このシーン自体はありがちではあるけれど、よくこの犬種を選んだなというくらいかわいいので、ベタながらも感動してしまう。猫派なので犬にはあまり詳しくないからアンちゃん(くん?)が何という種類なのか不明だけど、小学校3~4年生くらいと思われる大志のチャリのカゴにすっぽり入ってしまう大きさ。もこもこの毛並で短い手足。前足をちょこんとカゴにかけて、おじいちゃんみたいな顔で乗っているのがかわいい。大活躍後に座布団にちょこんと座っている姿はもうぬいぐるみです。かわいすぎ! そして、しっかり演技してた。
電車に乗れなかったことから大志の大冒険が始まるわけで、ここからはロード・ムービーのお約束、出会った人達に助けられ、逆に助けてという感じ。でも、テンポ良く進むし、役者さん達の演技がいいので、すんなり入ってきた。途方に暮れていた大志は"岡山運送"と書かれたトラックを見つけ、その荷台に乗り込む。この運転手の彼女が現れ痴話ゲンカの末、車を奪って走り出してしまう。この辺りは、ありがちな若い女の子の大袈裟でガサガサした感じが苦手なので、ちょっとあざといかなと思っていたけれど、この役を演じていた女優さんがわりと良くてギリギリOK。

台風に遭遇してしまった大志はアンの大活躍で、自殺しようとしていた老人に救われる。そして大志は結果的にこの老人を救うことになる。ここで初めて大志の父は、彼の無事を知る事になる。この2人のエピソード自体もありがちではあるし、柄本明の演技をもってしても、明石の少女とのシーンにはかなわなかったかなと思うけれど、この老人が父親に対して言う「男と男の約束だから」とういうセリフはベタだけどいい。父親の一志は大志の母琴美との約束を守ったのだけれど、それは自分がその約束にすがっていたという側面もあるわけで、結果大志にきちんと向き合えていなかったということにもなる。幼くても大志を男と認めたこの言葉はいい。そして老人は全てを知った上で、大志を送り出す。このシーンもいい。
チラシなどにも書いてあるので、ネタバレではないと思うけれど、大志の母が嘘をついてまで、彼の元から去ったのは、記憶障害になってしまったから。この病気のことは詳しく知らないけれど、要するに『私の頭の中の消しゴム』と同じだと思う。未見だけど(笑) 母親がこの病気になってしまったということは、重要な要素ではあるけれど、物語の主軸は少年が遠く離れたところに居る母親に会いに行くということなので、この母のエピソードは父の回想シーンとして描かれる。父は回想することで、改めて現実と向き合うことになる感じもいい。断片的に描かれるシーンは、はっきりとした時間経過などの説明はないけれど、着実に進行していくのが分かる。大志を連れて散歩に出かけて帰り道が分からなくなってしまうシーンが印象的。琴美は帰り道が分からなくなってしまったことは分かったけれど、大志をどこかに置いてきてしまったことは忘れてしまっていた。それに気づき愕然とする。これは辛い。病気とはいえ自分を許せないと思う。そして、この後さらに事件を起こし、彼女は大志の元から去る決心をする。1つ1つは少ないシーンながら、徐々に進む病状と、病気に対する不安、こんな事になってしまった自分を責める気持ちなど、鈴木京香はきちんと表現していたと思う。
ついに大志は小豆島へ。この島へ来てからも冒険は少し続くのだけど、最終的に彼が母の元に辿り着いたのは"記録"と"記憶"のおかげ。記録は記憶のサポートだとすれば、今は母の中からは失われた"記憶"は、大志の"記憶"となって生きているということ。これは良かった。大志が母を認められないシーンなんかは、いらないかもと思ったけれど、ずっといい子だった大志が急にわがままになるのは現実逃避と甘え。それは母親ゆえ。母からのメッセージは泣けた。このメッセージ親だったら絶対泣くと思う。琴美は自ら運命を知っていたからこんな形で残したけれど、内容的には多分親なら普段意識していなくても、普通に思っているであろうことが語られている。人は皆いずれ死ぬ。たいていの場合、親は子を残してこの世を去ることになる。子供が何歳になっていても、親はきっとこんな気持ちになるんじゃないだろうか。なんて親になったこともないのにえらそうだけど、MJのご両親も最近電話で話した時、の●ピー事件をふまえて「あんたは麻薬やったらあかんで!」と言っていたそうだし、間違ってないと思う(笑) このシーンでボロボロ泣いて感動もMAXだったので、この後の奇跡のシーンはやり過ぎかなとは思う。それが無くても十分伝わってた。でも、王道ゆえ見ている側は奇跡を期待してしまうので、映画としてはありだと思う。
感想の中にも書いてきたけど、役者さん達はみんな良かったと思う。鈴木京香についてはすでに書いたとおり、老人役柄本明も映画をしめていたし、明石焼屋の鈴木砂羽も良かった。大志に嘘をついていることに1人反対していた叔父、甲本雅裕もいい。反対理由は柄本老人とはちょっと違う気がするけれど(笑) 父親の阿部サダヲはちょっと演技が舞台調で大袈裟なところもあったけれど、琴美との約束を自分も信じたかったって気持ちはすごく分かる。それは逃げてるって思わなくもないけど、親だからって完璧なわけじゃない。その辺りは良かったと思う。大志の武井証くんは奇跡シーンが少しやり過ぎちゃったかなと思うけれど、全体的に上手い。すごく自然だった。そして、とにかく健気でかわいい。
30代半ばくらいと思われる父は建築士のようで、建築士の収入具合が分からないけれど、いくら保険が降りたとはいえ、もう建て直したのか?とか、入居費用や治療費は?なんてツッコミも見ている間は全く気にならなかったくらいテンポが良くて、ベタではありながら自然に進むので、ツッコミどころも気にならず。良かったと思う。
とにかくアンがかわいい! 大志くんとアンのかわいさだけでも見る価値あり(笑)
追伸:エンド・クレジットでそれぞれのその後が描かれるので、終了後もお楽しみに。

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