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【cinema】『ファースト・マン』

2019-03-06 00:16:42 | cinema

2019.02.22 『ファースト・マン』鑑賞@TOHOシネマズ日比谷

 

製作のニュースを聞いた時点から見たいと思ってた。これ試写会あったっけ? 見かけた覚えがないのだけども。でも、たしかライアン・ゴズリング登壇のイベントあったよね? あれ? 見たかったわりに公開から時間が経っちゃったけど行ってきた~


ネタバレありです! 結末にも触れています!

 

「1961年空軍のテストパイロットをしていたニール・アームストロングは、悪性腫瘍で娘を亡くす。心の空白を埋めるように宇宙飛行士のテストに応募し採用される。1966年船長としてジェミニ8号にて任務遂行中にあわやの目に遭うも、冷静な判断で生還。ソ連とのせめぎあいで国の威信をかけたアポロ計画で、人類初の月面着陸を成し遂げる」って、これあらすじじゃなくてほぼ全部という感じになってしまった。141分かけて描くのは、ニール・アームストロングが宇宙飛行士になり月面着陸を果たすまで。宇宙計画そのものではなくて、ニール・アームストロングを描きたいということ。ニール・アームストロングさんご本人が寡黙な方だったのかもしれないけれど、とにかく重苦しさの漂う映画で、今まで見たどの宇宙映画とも違っていた。そういう意味では興味深かったけれど、ライアン・ゴズリングの演技をしてもニール・アームストロングを理解できたかというと微妙ではある。

 

デイミアン・チャドル監督作品。監督作品は『セッション』(感想はコチラ)、『ラ・ラ・ランド』(感想はコチラ)、脚本のみ担当は『グランドピアノ 狙われた黒鍵』『10 クローバーフィールド・レーン』を見た。今作を見たいと思ったのもデイミアン・チャドル監督×ライアン・ゴズリング主演だったからだけど、特別好きな監督かというと実は微妙ではあったりする。

 

作品について毎度のWikipediaから引用しておく。『ファースト・マン』(原題:First Man)は、2018年のアメリカ合衆国の伝記映画。監督はデイミアン・チャゼル、脚本はジョシュ・シンガーで、ジェームズ・R・ハンセンによるニール・アームストロングの伝記『ファーストマン: ニール・アームストロングの人生』を原作としている。ライアン・ゴズリングがニール・アームストロングを演じ、他にクレア・フォイ、ジェイソン・クラーク、カイル・チャンドラー、コリー・ストール、キーラン・ハインズ、クリストファー・アボット、パトリック・フュジット、ルーカス・ハースらが出演。スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務める。映画はヴェネツィア国際映画祭においてワールド・プレミアを迎え、アメリカでは2018年10月12日、日本では2019年2月8日に公開された。

 

史上初めて月面を歩いた宇宙飛行士ニール・アームストロングの、1961年から1969年にかけてのNASAのミッションが実話に基づいて描かれる。 過去に制作された『ライトスタッフ』や『アポロ13』、『ドリーム』のような宇宙開発や宇宙飛行の英雄譚を描いた群像劇とは一線を画する異色作として描かれており。全体的に暗い内容で描かれており、あくまでニール・アームストロング個人の視点、焦点で物語が進んでいく。

 

2003年、クリント・イーストウッドとワーナー・ブラザースがジェームズ・R・ハンセンによるニール・アームストロングの伝記『ファーストマン: ニール・アームストロングの人生』の映画化の権利を購入した。のちにユニバーサル・ピクチャーズが権利を購入し、『First Man』というタイトルでの映画化を計画した。2015年11月24日、ライアン・ゴズリングがタイトルロールを演じ、デイミアン・チャゼルが監督、ジョシュ・シンガーとニコール・パールマンが脚本を担当することが発表された。2017年3月、公開日が2018年10月12日に設定された。主要製作は2017年10月後半にアトランタで開始し、2018年2月に終了した。いくつかシーンはIMAX 70mmカメラで撮影された。

 

本作は2018年8月29日にヴェネツィア国際映画祭においてワールド・プレミアを迎え、2018年9月にはテルライド映画祭で、2018年9月9日にはトロント国際映画祭で上映される。アメリカ合衆国においては2018年10月12日にユニバーサル・ピクチャーズより公開予定。映画批評集積サイトRotten Tomatoesでは12件のレビューに基づき、批評家支持率は92%、平均評価は10点満点中8.4点となっている。Metacriticでは、10件のレビューに基づき100点満点中81点が付けられ、「世界的な大絶賛」(英: "universal acclaim")と紹介されている。

 

また、ヴェネツィアでのプレミア上映後、ニール・アームストロングとバズ・オルドリンが月面に星条旗を立てるシーンが存在しないことが物議を醸した。また、同日に行われた記者会見で、ライアン・ゴズリング(カナダ人)が「アームストロングが成し遂げた偉業はアメリカの偉業ではなく人類の偉業だと思っています」と発言したため、アメリカの保守層の反感を買うことになった。ついには、マルコ・ルビオ上院議員が自身のTwitterで「これは全く以てふざけた話です。(中略)アポロ計画に必要だった費用はアメリカ国民の血税で賄われました。宇宙船はアメリカ人の手で建造されましたし、アメリカ人が生み出した技術によって生み出されたものです。また、搭乗していた宇宙飛行士もアメリカ人です。アポロ計画は国連のミッションではありません。」とツイートするに至った。なお、原作者のジェームズ・R・ハンセンとアームストロングの息子2人が本作を擁護するコメントを出している。オルドリンは自身とアームストロングが月面に旗を立てた際の写真をTwitterに投稿しており、そのツイートには#proudtobeanAmericanや#onenationなどのハッシュタグがつけられている。という物議をかもしてしまったのだそう。

 

ニール・アームストロングについてもWikipediaから少しだけ引用。ニール・オールデン・アームストロング(Neil Alden Armstrong, 1930年8月5日 - 2012年8月25日)は、アメリカ合衆国の海軍飛行士、テスト・パイロット、宇宙飛行士、大学教授である。人類で初めて月面に降り立った人物でもある。大統領自由勲章(1969年)、議会宇宙名誉勲章(1978年)、議会名誉黄金勲章(2009年)受章。とのことで、さすがに長文なので以下は割愛。ただ、娘さんのことについてだけ引用しておく。子供は3人授かった が、第二子のカレンは脳幹に悪性腫瘍があると診断された。X線療法で病状の進行は抑えられたが、次第に体力が衰え、立つことも話すこともできなくなり、1962年1月28日に肺炎のため死亡した。

 

えーと。前述通り宇宙計画そのものではなくて、ニール・アームストロングを描いた作品なので、これは宇宙映画ではなくて人間ドラマなのだろうとは思う。とはいえ、主人公が宇宙飛行士であって人類初の月面着陸者なのだから、訓練場面や宇宙飛行場面が多く出て来る。ただ、見ている側に決定的に知識が不足しているため、大概の場面で大きな"?"が頭に浮かんでいた。そもそも理解できていないので、例えばジェミニ8号で起きたトラブルとかも正確に説明することが出来ない。なので、書いていることはこう理解したということになるし、そもそも全ては書けない。なのでザックリした感想になると思います。毎度、どうでもいいと思うけれど断り書きとして書いておく😌

 

冒頭。激しく旋回する機体のコックピットで必死にコントロールしようとするニール・アームストロング(ライアン・ゴズリング)のシーンから始まる。既に宇宙なのか?!と思うけれど、実はこれは空軍の訓練。危機一髪で脱出し、機体は墜落してしまう。でも、この時どうやら大気圏に到達していたらしい。アームストロングは栄転(だったよね?)をほのめかされるけれど、引っ越したくないからと断る。これには理由があって、まだ幼い娘に悪性腫瘍があり、治療中だからなのだった。この娘ちゃんが本当にかわいくて、指しゃぶりしながら眠っちゃうような幼い体に腫瘍があるなんて辛過ぎる。

 

結局、カレンは亡くなってしまう。お葬式でも取り乱すことのなかったアームストロングだけれど、1人になると激しく嗚咽する。後にある重要なシーンでカレンのことを回想しているので、カレンのことはアームストロングの中にずっと重しのように存在したのだと思う。実際どうだったのかは不明だけど。カレンを亡くした翌日から出勤する彼に驚きつついたわる同僚たち。アームストロングにはそれが耐えられなかった。ライアン・ゴズリングがあまり表情を変えずに演じているけれど、こんな感じの人だったのかな? なかなか難しい人だったのかもしれない。近寄りがたいというわけでもないのだけど。

 

環境を変えようと考えたのか宇宙飛行士の試験を受ける。試験会場の外で待っている時、隣同士になって話した人って一緒に合格して友達になったんだっけ? あれ?(o゚ェ゚o) とにかく月面着陸するわけだから、当然合格する。合格したという報告をすると妻ジャネット(クレア・フォイ)は喜んでくれるけど、どうもこれ事前に相談なしに受けてしまっているっぽい。当時の世相などを考えると、女性の地位は全然低かったし、アメリカでさえ妻は夫に従うものという観念だったと思うけれど、それにしたって事後報告なのか?と見ていて思ったけど、そういうわけでもなかったのかな?

 

一家はヒューストンに移り住む。家の周りは宇宙飛行士が多く住んでいるようで、特に向かいに住むエド・ホワイト(ジェイソン・クラーク)とは、ジャネットが妻のパトリシア(オリヴィア・ハミルトン)と仲良くなったこともあり家族ぐるみのつき合いとなる。ここで次男も誕生している。とはいえ、アームストロングエドたちとも腹を割って話すという感じではなかったかも。本当にそういう人だったのかしら? 原作未読なので分からないし、そもそも原作もご遺族などに取材した結果書かれたものなのかしら? まぁ取材もなしに書いたりはしないか😅

 

当然ながら訓練は過酷なもので、タイムショックでぐるぐる回転しちゃう椅子みたいな装置に乗せられ、高速回転される。最初の体験者に選ばれたアームストロングは途中で失神してしまうけれど、自分はまだできると言うガッツを見せる。とはいえ、その後汚いトイレで吐いていたけれども😅 他の飛行士もトイレに駆け込んでくる。訓練などにデューク・スレイトン(カイル・チャンドラー)という人物出て来たけれど、立ち位置みたいなものがよく分からなかった。カイル・チャンドラーだなという認識で終わるという。Wikipediaのキャスト欄によると、元テストパイロット兼技術者で、マーキュリー・セブン(Wikipedia)の一人ということらしい。なるほど🤔

 

時代背景としては米ソ冷戦時代。お互い宇宙計画に力を入れていた。ケネディ大統領が1961年に60年代中に人類を月に到達させるというアポロ計画(Wikipedia)を発表したことにより、これは国家プロジェクトとなった。状況としてはアメリカはソ連に若干遅れを取っている。なかなか成果を上げられないこともあり、国民の関心は薄れがちで、税金の無駄遣いであると抗議まで出ている状況。そういう状況の中で、作業や訓練を続けていくのは大変なことだったろうと思う。ただ、やっぱり自分がアメリカ国民なら声高に叫びはしないけど、友達との茶飲み話的な時には愚痴ってしまうかもとは思う。

 

そんな中、友人のエリオット・シー(パトリック・フュジット)が訓練機の事故で亡くなってしまう。月に行くなどという誰も成し遂げたことのないことをしようとしているわけだから、当然ながら危険が伴うわけだけれど、こうして死に直面すると精神的にかなりキツイだろうなと思う。葬儀の日、アームストロングはカレンの幻影を見ている。本当に幻想を見たのかは不明だけれど、改めて死と直面した心理として理解しやすい描写だと思った。

 

アームストロングはジェミニ8号の船長に任命される。今作全体に言えることだけど、とにかく忠実に再現ということなのかしら? いろいろな面において全く美化していない。アームストロング船長のこともヒーローとして描いていないし、アポロ船内も本当にこれで行ったの?!というくらいかっこよくない。ジェミニ8号にはアームストロングとデイヴ・スコット(クリストファー・アボット)の2名が乗り込むのだけど、2人は機内に逆さまに押し込まれる。コックピット内は狭くて身動きが取れないような状況。機材も全然かっこよくない。そして、打ち上げ中もガタガタ、ミシミシ音がする。壊れそうで怖い😱

 

ぼんやりとした理解なのだけど、ジェミニ8号のミッションは宇宙空間で別の機体とドッキングするということなのかな? ドッキングには成功するのだけど、突然機体が激しく回転して止まらない。あまりの激しさに気を失ってしまうスコット。アームストロングも気を失いそうになるが、必死に踏みとどまり何とか生還することが出来た。ニール・アームストロングがアポロ11号の前に宇宙経験があったことは知っていたけれど、生還できないかもしれない状況に陥っていたとは知らなかった。これはよく再び行ったね。でも、いつでも取り乱さない人だから帰ってこれたし、結果月に行けたのかもしれないと思った。

 

このミッションははラジオなどで中継されていたのだけど、トラブルが発生した段階でNASA?の判断で中断される。家でラジオを聞いていたジャネットは居ても立っても居られず、NASAに向かうも全く状況を教えてもらえない。国家プロジェクトなのだから、最重要機密なのだろうけれど、家族にも教えてもらえないなんて辛い😣

 

調査委員会からの審問などが行われるが、世間の批判とは裏腹にアポロ計画続行が決定する。そんな中、新たなミッションの船長にエドが選ばれる。祝う会が開かれ、アームストロングも乗り気ではないながら参加する。これはやっぱり宇宙計画の無謀さを思ってのことなのかな。1人外に出たアームストロングを追ってエドがやって来る。息子との話をする。なんとなく不安になる。これはもしかして? アポロ計画に詳しい人ならエドの名前を聞いただけで、この後起こる悲劇が分かってしまうと思うけれど、知らなくてもこれはフラグなのではと思ったりする。

 

アームストロングは政府主催(だったかな?)のパーティに出席するように言われる。アポロ計画の意義について政治家の理解を得ることが任務。でも、アームストロングは口下手で全く興味を持ってもらえない。そんな中、アームストロング宛に電話がかかって来る。エドたちが最終テストに臨んでいたアポロ1号のコックピットで火災が起き、3人の宇宙飛行士が犠牲になったのだった。原因究明のため40分も遺体はそのままにされた。この事故のことは『アポロ13号』などで知っていたけど、アームストロング船長のお友達だったのね。なんともいえない気持ちになる。ちょっと犠牲者が多いよね😢

 

アポロ計画史上最悪の事故を起こし、世論は計画反対が多数。そんな中、アームストロングはアポロ11号の船長の任命を受ける。いつもどおり無表情なので推し量り難いがさすがに複雑な様子。アポロ11号の乗組員は3名。アームストロングと毒舌なバズ・オルドリン(コリー・ストール)が月面に降り立ち、ジェームズ・ラヴェル(パブロ・シュレイバー)が船内に残りバックアップする計画。3名は記者会見に臨み、バズが得意の軽口で答えるも、質問はアームストロングに集中し、それらは決して好意的なものではなかった。

 

それでも打ち上げに向け着々と準備は進み、いよいよ打ち上げ前夜となる。アームストロングは息子たちに向き合えないでいた。妻のジャネットはそんな彼に厳しい口調で子供達にきちんと説明するように言う。結構長く怒りをぶつけていたけど、自分的に心に響いたのはアポロ1号の火災で亡くなったエドの家族のこと。あの子たちにはもう父親はいない。その覚悟を伝えるのは私の役目ではない。そして、アームストロングは息子たちに宇宙へ行くことを伝える。次男マーク(コナー・コルトン・ブロジェット)はまた理解が浅いのか納得して子供部屋へ向かう。長男のリック(ルーク・ウィンターズ)はアームストロングの目を見つめ帰ってこれるのかと聞く。そのつもりだと答えるアームストロング。任務の危険性を感じるやり取り。

 

1969年7月16日打ち上げ当日、ノリノリなバズとは対照的に、沈痛な面持ちで向かうアームストロング。宇宙に行くことは自分の夢でも、これは仕事であり国をあげてのミッションだから、真摯な態度で臨むのは分かるけれど、それにしたっての暗い表情。こんな悲壮感漂う打ち上げシーンは初めて見た。

 

打ち上げは無事成功。月に到着するまでに何かしらのミッションをしていた気もするけど忘れてしまった💦 特に事故的なものは起きなかったと思う。そして、いよいよ月面に向かう。アームストロングとバズは別の機体?に乗り込む。月面に着陸する際にトラブルがあったけれど、アームストロングの冷静な判断で無事に着陸することが出来た。これは盛り上げなのか実際にあったことなのか。

 

いよいよ月へ降り立つためハッチを開けた瞬間。無音になる。この無音状態は結構続く。たしか月面にいた間は音楽は流れていなかったように思うけど違ったかな? でも、この無音と言うのは音楽が流れていないということではなくて本当に無音。これは感動的だった😭 この場所は"静の海"っていうんだよね? おそらく様々な画像やデータをもとに作られていると思うけれど、この場所は本当に幻想的だった。カレンをなくしてから笑顔もあまりなく、沈痛な面持ちをしていることが多かったアームストロングだけれど、この場所に立てたことは特別な感慨があったに違いない。この偉業に対しては達成感というと陳腐な感じがしてしまうけれど。

 

アポロ11号については打ち上げの段階からテレビ中継されていたので、この月面着陸についても全世界が見守っていた。こういう場合必ず海外で人々が集まっている場所としてトラファルガー広場が映るね😅 こういう映像は本物の映像が使われたりしたのかしら? で、アームストロングと中継がつながり、あの有名な「That's one small step for man, one giant leap for mankind.(人間にとっては小さな一歩だが人類にとっては偉大な一歩だ)」を発することになる。この名言はもちろん知っていたけど、なんとなくアメリカ人宇宙飛行士というイメージから、とても明るくウキウキした感じで発せられたのかと思っていた。でも、ニール・アームストロング船長が今作のとおりの方なのだとしたら、とっても重みのある言葉だなと思った。決して浮かれて発したのではないというような。

 

アームストロングたちはガラス面が黒光りするようなヘルメットを着用していて顔が見えないのだけど、この黒い部分は外すことができるら(もしくは透明にすることが出来る)しく、アームストロングの表情が見える。感慨深い表情。そして何かを取り出す。それはカレンの形見。これは本当にしたことなのかな? 月に地球上の物を残しちゃいけないとかそういうのあったりするのかしら? 実際の出来事なのかは別として、これはやはり感動した😭

 

アポロ11号は無事地球に帰還。帰還に関してはNASAのコントロールルームは各地の中継地と連絡を取っているけど、その中に那覇という言葉が出てきてビックリ😲 日本が関わっていたの知らなかったと思ったけど、よく考えたら1968年当時は沖縄はアメリカだったのだった。結局ハワイに着地したんだっけ? ちょっと曖昧な記憶💦

 

月から何かの病原菌を運んできている可能性があるということで、アームストロングとバズは1ヶ月専用施設で隔離される。コーヒーを飲みながら歓談できるラウンジのような場所もあるので、隔離病棟のようなイメージとは違うし、気が合うかどうかは別として、1人きりではないので、まぁ酷い状況というわけではないけれど快適とも言い難い。ようやく許可がおりたジャネットとの面会も、刑務所の面会のようにガラス越し。夫が英雄になって危険な任務から帰還したというのに、ジャネットの表情は暗い。でも、心の底から安堵したという部分はあると思う。このクレア・フォイの演技は良かったと思う。妻が夫に向けて手をガラスに当て、夫がそっと重ねるシーンで映画は終わる。面会時間が夜だったのかもしれないけれど、カメラが引くととっても薄暗い。特にクレジットはされていなかったと思うけれど、後に2人は離婚してしまったそうなので、そういう部分を暗示しているのかもしれない。そして、宇宙計画という名のもとに人命や家族の絆も失われたということが言いたいのかなと思った。決して輝かしい面だけではないというような。見終わってとっても複雑な気持ちになった。

 

今作を見ただけでニール・アームストロング船長の全てを理解できるはずはないのだけど、見ていたとおりの人なのだとすると、やはりとっても冷静。『オデッセイ』(感想はコチラ)公開時に、主人公が取り乱さないことに驚いたと言ったら中国人の宇宙飛行士に、あの局面で取り乱してしまう人物はそもそも宇宙飛行士になれないと言われたという記事を読んだ。それがとっても納得できた。変な言い方だけど😅 でも妻としては辛いかもしれないとも思った。ジャネットは安定を求めて結婚したと言うセリフがあった。そういう人が宇宙飛行士の妻をするのは大変なことだったと思う。現在の宇宙飛行士の妻、もしくは夫がどういう待遇なのか分からないけれど、生死がかかった夫の現状も教えてくれないというのも辛かったと思う。

 

キャストは皆良かった。カイル・チャンドラーは相変わらずカッコイイ上司だったし、エドのジェイソン・クラークも印象を残す。アームストロングに息子の話をするシーンは良かった。とはいえライアン・ゴズリングとクレア・フォイの2人芝居だったという印象。イヤ、2人で芝居しているシーンの割合は、映画全体からしたら決して多くはないのだけど、それだけ2人の印象が強かったということ。

 

クレア・フォイは自分の思い描いていた家庭とはかけ離れた宇宙飛行士の妻という立場を、必死で努めようとしている感じが伝わってきた。時に取り乱したりするけれど、それは当然だと思わせてイライラしてしまうことはない。そして母としてアームストロングに子供たちにちゃんと向き合うよう言うシーンは素晴らしかった

 

ライアン・ゴズリングはいつもの色気を封印しての熱演。とはいえニール・アームストロングは寡黙で感情をあまり表さない人物なので、激しい演技をしているわけではない。ライアンは普段からあまり表情を変えないタイプだけど、今回はより無表情。この演技は良かったと思う。

 

デイミアン・チャゼル監督はSFではなくて、人間ドラマを描きたかったのだと思うけれど、そういう意味では役者たちの好演をもってしてもやや伝わりにくかった気がしなくもない。主人公が寡黙であるということもあると思うけれど、各エピソードから登場人物たちが何を思っているのかというのが分かりにくかった気もする。例えば、ジャネットから子供たちにちゃんと向き合うように言われるシーン。何故主人公が向き合えないのかが分かりにくい。イヤ、分かるけどそこにはもっと複雑な思いがあるかもしれないのに、ただ口下手なだけで言えないのではないかという印象を与えてしまう恐れもある。その前の時点から主人公はあまり息子たちと関わっている印象がなかったけれど、それは何故なのかも描かれていない。なので、そのシーンも唐突に見えてしまったりもする。

 

とはいえ、全く伝わらなかったわけではないし、映画全体としては見ごたえがあった。全体的に美化していないので、宇宙船にしても全然かっこよくない。え?!そんなボタンなの? そんなスイッチなの? というくらい質素。質素というよりは庶民的。機体も思ったよりもちゃちでよくこれで宇宙に行っていたなという感じ。打ち上げ時にミシミシキシキシ音がしたりと不安しかない。リアル過ぎて逆に嘘っぽくなってる感じと言ったら変だけど。宇宙空間に関しても美化しすぎていないので、これは逆にリアルな気がした。見たことないのでよく分からないけど😅 月面の映像はとても良かった。1960年代の普通の人の服装とかも良かったし、セットも美術も華美じゃなくて良かった。

 

リアルさの追求ということであれば、宇宙船の中など時々アームストロング目線になる。それが一緒に乗っているみたいな感覚になっておもしろかった。のだけど!結構いろんな場面で手ぶれ感があるので少し酔いそうになった🤢 あれは何故手ぶれ感なのだろう?

 

公開してから1ヶ月くらい経っているけど、まだ上映しているかな? 自分が見た時は普通の金曜日だったけれど、小さい劇場だったこともあるかもだけどほぼ満席でビックリした。てっきり余裕だと思っていたので。って失礼か😅

 

SFを期待するとちょっと違うかも。でもそちらの方面でも楽しめると思う。ニール・アームストロングに興味のある方オススメ。かっこいいライアン・ゴズリングを期待するとちょっと違うかな? でも、役者ライアン・ゴズリングが好きな方是非!

 

『ファースト・マン』公式サイト


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