まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

氷見線で雨晴海岸へ

2018年01月05日 | 旅行記D・東海北陸
高岡に来てやはり訪ねたい、乗りたい路線がある。氷見線である。今回、高岡に着いて先に氷見線に乗るか、町歩きをしてから乗るか時刻表でいろいろ考えたのだが、結果として15時22分発の氷見行きに乗ることにした。

北陸新幹線ができて北陸線があいの風とやま鉄道に移管したことで、路線図では根なし草のようにも見える氷見線と城端線。その両線も駅の一番北と一番南に離れたホームからそれぞれ出ているから余計に孤立した感じがする。そんな中で観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール」というのが出ている。舌を噛みそうな名前だが、フランス語で「美しい山と海」という意味だそうだ。ただ日本人には覚えにくい。ということで愛称は「べるもんた」。こう書かれると逆に「みのもんた」をイメージしてしまうな。

この列車に乗った・・・ということなら観光旅行の記事としての価値が上がるのだろうが、毎週土日を中心に運転のところ、年末年始は運転されない。残念だ。

それでも、今では希少な車両の一つになったといってもいいキハ40、47型に乗ることができるのはよい。そしてやって来たのは2両編成のキハ40。1両は昔ながらの朱色の車両である。これも汽車旅のムードを高めてくれる。

そしてもう1両は同じキハ40でも「忍者ハットリくん」のイラスト車両である。先の記事で万葉線のドラえもんトラムや、駅前広場のドラえもんの鋳造作品について触れたが、今度は同じ藤子不二雄作品のハットリくんと来た。こちらはハットリくんを手掛けた安孫子素雄(藤子不二雄A)が氷見出身というところからである。せっかくなのでハットリくんのほうの車両に乗る。座席の間にもキャラクターたちのステッカーが貼られている。地元の人のほかに帰省、観光らしい客も多く乗り、座席はほぼ満席である。

発車して、ワンマン列車でおなじみの車内の案内放送が流れる。するとその後で、「拙者、忍者ハットリカンゾウでござる!」と、子どもの頃にテレビアニメで見ていたあの声が流れた。ここからはハットリくんが車窓の案内をするという。ニンニン。

藤子不二雄の二人が最初に出会った高岡の小学校の横を通り、古城公園に近い越中中川に着く。次の能町は、かつては北陸でも有数の貨物コンテナ駅だったが、現在は貨物の取り扱いもなくなり、古びたコンテナが1台ポツンとあるだけ。以前、JRコンテナの担当をしていた時に、貨物の営業案内で北陸線の支線に当たる能町、二塚(城端線)、速星(高山線)という名前を知った。いずれも専用線の扱いで直接これらの駅向けに何かを出すことはほぼなかったが、北陸のものづくり、物流の拠点として名前は今でも印象に残っている。それだけに寂れた景色に時代の流れを感じる。

氷見線というのは短い区間ながら車窓が変化に富んでいるので好きな線の一つである。最初は高岡の今の町並みを走り、能町の貨物駅の後には小矢部川沿いの工場群に囲まれる。専用線を走っているような感覚になる。次の伏木も港の玄関駅。ただこの伏木はかつて越中の国府が置かれたところでもあり、駅の周りには歴史スポットも多い。伏木の港町の家が密集している一角もあり、軒先が近い。

その中でやはり一番の見どころは越中国分を出てパッと進行右手に広がる富山湾である。ハットリくんの車内放送も「右手に見えてきたのは富山湾でござる」とある。「富山湾の向こうには立山連峰が広がるでござるが、今日の眺めはいかがでござろうか」とあるが、やはりこの時季、あいにくの空模様で山々を見ることができない。

そして雨晴。かつて海岸目当てに降りたこともあるし、立山連峰は見えないのでそのまま氷見に行ってよいが、他の客が下車したのにつられる形で、私もここで下車した。氷見まで行ってもすぐに折り返すだけだし、それならば、折り返しの列車が来るまでの30分ほどしかないが、その間を海岸で過ごすことにした。

海岸は駅の真裏にあるが、直接行くことはできない。少し行ったところで踏切を渡って行くことになる。駅舎の横に雨晴海岸の写真パネルが飾られている。晴れた時の立山連峰をバックにした男岩の写真、そして日の出の写真である。目の前の景色はそのどちらでもないどんよりとした冬の日本海だが・・。

今回の旅の計画を立てるにあたり、富山・高岡の初日の出のスポットというのはどこなのかを調べてみた。その中で名所の一つに上がっていたのが氷見の海岸である。そこに雨晴海岸も含まれており、高岡から氷見線の始発に乗れば来ることができるので元日はここに来てもいいかなと思っていた。ただ、天気予報を見ると鉄板で雨または雪の予報。これでは初日の出どころか青空も見込めないということで、この写真パネルを見て一足早い初日の出の気分だけを味わう。旅の天候というのは、そう全てが自分のイメージ通りに行くものではない。

さて海岸。風はやや強いが、波はそこまで高くはない。この時季としては穏やかな海と言えるのではないだろうか。ひとまず海岸を歩き、水をたっぷり含んだ砂浜を通って義経岩までたどり着く。ちょうど団体ツアーが見物を終えたところだ。この後は氷見、あるいは足を伸ばして和倉温泉にでも泊まるのだろうか。ちょうと団体客がいなくなったことで、残った私だけで景色を独り占めする。

時間はわずかなものだったし、立山連峰との景色が見られたわけではなかったが、久しぶりに来られたことでよかった。そろそろ時間が近くなり、駅に戻る。やって来たのは先ほどと同じ2両編成。ということで再びハットリくんによる車窓案内である。時刻は16時を回り、周りも急に暗くなってきた。

これで高岡めぐりも終了となり、駅前のルートインホテルにチェックイン・・・・。
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