まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

雨の津和野から日本海へぐるり

2021年08月30日 | 旅行記F・中国

8月22日の日帰り乗り鉄、「DLやまぐち号」で津和野に到着。津和野の駅は改修工事中で、売店が閉鎖されていた。それで改札の前に駅弁の立ち売りが出ていたのかな。

さてこの後だが、せっかくなので山口線のこの先の区間を抜けることにしよう。鈍行・・となると15時18分発の益田行きまで待つことになるが、その前に14時03分発の特急「スーパーおき4号」がある。これで益田まで行き、益田から鈍行に乗り換えて浜田、そして浜田17時発の広島行きの高速バスにつなぐ。そうすれば19時過ぎという手ごろな時間に広島バスセンターに戻れる(この後、15時18分発の鈍行に乗っても、益田から浜田まで特急に乗れば同じバスに乗り継げるのだが・・)。

それまでの1時間ほどだが、ちょうど雨脚が強くなり、観光スポットの殿町通りまで歩くのは億劫に感じる。そこで、駅前にある安野光雅美術館に向かう。ちょうど屋内だし・・。

安野光雅美術館には、この春「DLやまぐち号」に津和野から乗る前にも入った。その時は、安野氏が昨年亡くなったことを受けて開催の追悼展の第1期として「繪本 平家物語」が展示されていた。そして今回は第2期として「繪本 シェイクスピア物語」と「片思い百人一首」の展示である。

シェイクスピアの作品については、そもそも私があらすじを知っている話がほとんどないものだから、絵については「そんなものか」というところだった(無教養・・)。一方、安野氏直筆で一幅の書にした「片思い百人一首」は、上の句を安野氏が詠み、下の句を百人一首から取る「本歌取り」の手法である。解説では、上の句での「現代の『問い』」に対して、下の句で「王朝の人々の『答え』」をもらうということで、現代から昔への一方通行の「片思い」としている。展示の解説文には氏らしさのユーモアも込められている。こちらにはちょっと笑いも出た。

「片思い百人一首」は文庫本が出ていて、エッセイも載っているそうだ。ミュージアムショップにも置かれていたのだろうが購入せずにそのまま出てきた。またAmazonででも買い求めることにしよう。

外は引き続き雨だが、駅に戻り、乗車券と自由席特急券を手にホームに出る。次の「スーパーおき4号」だが、本来は鳥取行きのところ、山陰線の江南~田儀間が先日の大雨の影響で不通のため、浜田までの運転に短縮されている。この区間も代行バスは走っているが、9月上旬とされる山陽線と異なり鉄道再開の目処は立っていないそうだ。ネットに掲載されていた地元局のニュースによると、並走する国道9号線も地滑りで通行止めだが、その解除の目処が立たず、車両を入れて線路の修理に着手することもできないそうだ。

特急といっても2両編成で指定席・自由席が1両ずつだが、自由席にも2人並びの空席がある。窓が曇っていて外の景色は望めない。

益田までの時間を利用して、先ほど手をつけていなかった駅弁をいただく。新山口で買った「ふく福飯」。元々は下関の駅弁だったそうだが、調理元を見ると「広島駅弁当」とある。広島で山口の駅弁を作るとは妙なものだが、駅弁業者そのものが減っている以上、こうしたことは十分ありだろう。

「ふく福飯」はフグの出汁で炊いたご飯の上に、フグの天ぷらと唐揚げが乗っている。以前いただいた「ふく寿司」よりはこちらのほうが好みだ。買った時は、このフグの天ぷらや唐揚げをアテに「DLやまぐち号」の中で一献・・と目論んでいたが、他のおつまみで腹が膨れてしまい、酒だけ飲んで弁当は後回しになった。

結局、弁当をいただいているうちに益田が近づき、そのまま14時36分、到着。

次の浜田までは海沿いを走ることもあり、鈍行でゆっくりたどることにする。そのために津和野から特急に乗った。15時22分の発車まで時間があるが、駅前も雨で別に行くところもない。幸い、ホームには浜田行きのキハ120が停まっていて、すでに乗車可能なようだ。そのためさっさと改札口からホームに入り、まだ運転手以外誰もいない列車のボックス席に腰掛けて発車を待つ。単なる待ち時間でしかないが、こういうぼんやりした一時を過ごすことも今の生活の中では貴重に感じる。

発車時刻が近づくが、その筋の人が現れるわけでもなく、地元の人や高校生などが数人乗る程度で出発。

朝に瀬戸内海(周防灘)、午後に日本海という違った海を見ることができるのは中国地方の旅の楽しさの一つである。この日は瀬戸内、日本海どちらもどんよりした姿で、日本海を眺めると特に冬の景色をイメージする。益田~石見津田、三保三隅~折居~周布といった海に近い区間を過ぎる。

16時13分、浜田に到着。ここで青春18きっぷは終わり、高速バスで一気に広島に戻ることにする。次の広島行きは17時ちょうどで、それまで待つことに。

石見交通の車両に乗ったのは10人ほど。最前列のシートは運転手へのコロナ対策として着席できないので、2列目のシートに乗る。前回はこの春に広島から浜田まで乗り、後半は日が暮れた後だったので景色が見えなかった。今回はその逆である。

いったん、国道9号線の自動車専用区間を走り、浜田インターから浜田道に入る。雨の中、また工事のため片側交互通行の区間もあったが、順調に走る。

こうした片側1車線の高速道路、バスに揺られている分には気楽なものだが、自分で運転するとプレッシャーを感じる。絶対、普通の高速を走る感覚で後ろからあおってくる輩に出会うので・・・(追越車線が出てくるまで辛抱するのがつらい)。

広島県に入り、寒曳山パーキングエリアにて休憩。こちら上り線(中国道方面)には小さなスナックコーナー、売店があったのだが、今年の3月末で営業を取りやめたとある。委託業者が撤退したためだが、コロナの影響なのかどうか。その前に、こういうローカルな高速道路の売店で採算が取れていたのかなという気がするが。すでに一部で実施しているように、道の駅とのタイアップで、サービスエリア代わりにETCでの途中下車を認めたほうが現実的なようだ。

中国道に入った後はウトウトしていたようで、気づけば暗い中、広島西風新都を走っていた。ここからは都市高速4号線を伝って広島市街に入る。広島バスセンターに到着し、そのまま広電で高須まで戻る。後は翌日からの仕事に備えて眠るだけだ・・・。

これで青春18きっぷの2回目となったが、有効期間が少なくなる中、せっかくなので使いきりたい。中国地方のローカル線などを回るプランを立てるところで、あの指定席入手困難な列車についても日々空席が出るのを待つばかりである・・・。

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