まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第11回九州八十八ヶ所百八霊場めぐり~豊後水道を渡り「謎のまち」へ上陸

2023年08月04日 | 九州八十八ヶ所百八霊場

今回の九州八十八ヶ所百八霊場めぐりは広島から四国を経由し、これからいよいよ八幡浜から臼杵に向けて出航する。乗るのは11時45分発の宇和島運輸フェリーの便で、臼杵には14時10分の到着予定である。

乗船するのは「おおいた丸」。宇和島運輸フェリーの中では最も古い2004年の就航である。2等船室は桟敷席が基本で、後はデッキや売店前にベンチ、ソファーがある。この日は十分に余裕があり(船会社とすればもう少し乗ってほしいところだろうが)、桟敷の一角を独り占めする。クッション枕もあるし、コンセントも備え付けられている。

最上階のデッキに出てみる。潮風が吹くものの、夏の太陽が照り付けて暑い。他の季節、いや以前なら夏場であっても2時間くらいなら外の風に当たるのが船旅の気持ちよいところで・・・何ならデッキの上で缶ビールを飲むのが贅沢や!!・・・などと思っていたのだが、ここ数年、夏の暑さも異常なものになってきている。まして真っ昼間である。基本的には涼しい室内にいて、海を見たければその都度外に出ることにする。

船内には売店があり、のぞいてみると幕の内弁当があった。そして缶ビールもしっかり確保する。私の場合、旅に出るとガチガチにあれこれ入れ込んでしまうので昼食の時間が取れず、欠食になることが多いのだが、さすがにこの日くらいは昼を食べたかった。先ほどフェリーターミナルでも弁当が早々に売り切れていたのでこれはありがたい。掛け紙には豊後水道を挟んだ大分、愛媛の観光名所がイラストで描かれている。中身も、昔ながらの幕の内、駅弁である。もちろんビールもはずむし、松山で買ったチューハイも何とか溶け残ったグラス氷と一緒に豊後水道のお供にする。

しばらく八幡浜の入り江を行く。右手にはこの先佐田岬半島が続く。斜面を利用したみかん畑が広がる。この佐田岬半島、40キロにわたって続く。したがって航路の長い時間、半島の景色が続く。この先端の三崎から佐賀関までのフェリーも出ており、四国と九州を最短距離で結んでいる。

一方左手には宇和海が広がる。遠くに島も浮かぶが、方向によっては水平線だけが広がる。九州に渡るのにこうした景色を眺めるとは意外であり、旅の面白さである。

デッキに出てこうした景色を眺めたり、また客室の桟敷に寝転がったり、あれこれくつろぐ。昼間の2時間半というのはちょうどよい長さに感じで、開放的なぶん、鉄道の2時間半よりも疲れを感じない。他の乗船客も思い思いに過ごしている。

そろそろ佐田岬半島の先端が近づく。佐賀関に続く島々も見えるようになり、四国と九州の間は案外狭いものである。この辺りは豊予海峡と呼ばれ、地図で見比べるとちょうど瀬戸大橋が結ばれる児島~坂出とさほど変わらないくらいの距離に見える。ここにトンネルを掘って、大分~松山間に「九州・四国連絡新幹線」を通すという構想もあった(今もあるのかな)。もっとも、ここだけ新幹線を開通させても意味のないことで、前後の区間があることが前提である。

九州本土がだんだん大きくなり、14時10分、臼杵に入港する。こういう形での九州上陸というのも意外性あるが、そういえば、「水曜どうでしょう」の「サイコロの旅」でも、東京から最初のサイコロで松山が出て、次のサイコロで「謎のまち 臼杵」に渡っている。臼杵といえば城下町もあり、石仏もある。決して「謎」ではないのだが、北海道の方にすればなじみがない町であることは確かだろう。大泉洋さんの九州初上陸が臼杵というのも何だか妙だが、ある意味九州の玄関口ともいえるだろう。

臼杵駅から乗るのは14時40分発の「にちりん9号」で、これを逃すと2時間待ちとなる。臼杵港に来るのは初めてで、フェリー到着後30分で間に合うかなと気になっていた。フェリーターミナルにタクシーはいなかったが、地図によると駅との間は1キロほど。歩いても間に合いそうだ。

臼杵駅に来るのは初めてである。駅前には臼杵石仏のシンボルといえる大日如来像の模造もあり、訪れる人へのアピールである。

みどりの窓口であらかじめネット予約していた指定席券を発行する。駅そのものは昔ながらの建物だが、観光案内所も併設され、ホームの駅名標はあの「う+ハートマーク」で「うすき」である。謎のまち・・もとい石仏、城下町の玄関地としてのおもてなしである。町の中心から少し離れているとはいえ、もう少し駅前が賑わっているとよいのだが・・。

やって来たのは787系の4両編成。指定席もほぼ満席だが、あらかじめ海側の席を確保していた。後はこれで宿泊地の延岡に向かうだけである。

この先の海岸沿いのルートは前回の九州八十八ヶ所百八霊場めぐりでたどったところに近い。あの時は雨模様だったがこの日は海の輝きを見ることができる。

佐伯に到着。ここから延岡までが県境の区間である。前回訪ねた宗太郎駅も列車で通過する。ちょうどこちら側からだと、訪問者がメッセージを書いた石が並ぶベンチが見えるはずだ。少しずつ山が深くなる・・。

・・・ところが気が付くと、周りの景色も開けた感じである。県境区間、佐伯から延岡までは1時間ノンストップで走るが、ちょうど眠気にモロに襲われたようだ。もっとも眠っていたのは私だけではないようで、指定席車両全体を見渡しても静かな様子であった。

16時09分、延岡到着。同じくここで下車する人も多い。今朝、自宅を出てからの動きは広電宮島線 ~ 広電市内線(路面電車) ~ スーパージェット ~ リムジンバス ~ 特急「宇和海」 ~ タクシー ~ フェリーの桟敷席 ~ 特急「にちりん」 と8つの乗り物を乗り継いで10時間かかった。延岡は遠い・・・(いや、遠回りしてるだけやん)。

1泊2日での九州八十八ヶ所百八霊場めぐりといいつつ、1日目は札所に行くことなく完全な移動日となった。この日は延岡に宿泊し、明日(7月17日)は朝から宮崎に向けて・・・。

コメント