7月22日、神仏霊場巡拝の道めぐりと、富雄駅前の野球居酒屋「ビークレイジー」で行われた達川光男・正田耕三両氏のトークショー・サイン会を終えて、近鉄奈良駅に向かう。宿泊するのはJR奈良駅前だが、徒歩で移動する途中にどこかで一献と思う。
いったん、行基像が出迎える地上に出て、アーケードの東向商店街を南に歩く。奈良らしい居酒屋といっても特にお目当てがあるわけではなく、下調べ、予約もしていない。先ほどの「ビークレイジー」でイベント終了後にそのまま居酒屋の客として一献できれば・・ということも期待していたが、さすがにそのまま閉店となった。ということで、道中で雰囲気のよさそうな店があればのぞいてみよう。
そこで目についたのが、「奈良ism」という店。最近開業した感じの店だが、地産地消、「地場産品応援の店」を示す緑の提灯が掲げられている。これはよさそうだ・・・(と思って入ったのだが、後で写真をよく見ると、緑提灯が出ていたのは同じ建物の2階の別の店だった)。
町家らしく間口は狭く奥行きが長い建物の1階で、店員や客の年齢層も若く見える。
緑提灯は勘違いとしても、「奈良イズム」である。メインは串揚げの店のようだが、大和の地場産品メニューも力をいれているようで「奈良ならでは」という一品もある。
まずはプレミアムモルツから始まり、メニューに目についた地ビール「そらみつ」をいただく。「そらみつ」とは「大和」にかかる枕詞で、瓶には「酒の起源 奈良発」のラベル文字も見える。
ただ、ふとラベル横を見ると、「販売者」は奈良市の「ゴールデンラビットビール」とあるが、「製造場」として新潟市の「エチゴビール」とあるのに驚いた。エチゴビールといえば地ビールの草分けのような存在で有名である。現時点で、奈良の素材を使って奈良で醸造するまでは至っておらず、新潟に醸造を委託しているとのことだ。産地偽装とまでは言わないが、そんなんあり?とも思う。
あてをちょこちょこ頼み、メインの一つは大和丸茄子の肉詰め。大和丸茄子は奈良市、大和郡山市で古くから栽培されていて、肉質がよく煮崩れしにくい特徴があり、煮てよし焼いてよしとのこと。夏野菜もしっかりいただこう。
酒は、奈良を代表する蔵元の一つである春鹿。超辛口純米を一献傾ける。そこにあえて奈良漬クリームチーズを充てる。
まず満足して店を後にする。JR奈良駅に続く三条通りに出る。さすがに通りは暗くなったが、こちらにもさまざまな小洒落た店が並ぶ。
その中に「牡蠣食べ放題!!」の看板もある。奈良で「カキ」といえば間違いなく「柿」だと思うが(柿の葉すしや、「柿食へば~」の一句)、海の牡蠣とはね。まあ、今は冷蔵、冷凍の技術も発達しているから、こういう店があってもいいだろう。
JR奈良駅に戻り、コインロッカーの荷物を取り出して「ABホテル奈良」にチェックイン。部屋によってはJRの高架を行く列車が見えそうな建物だ。
シンプルな造りだが、大浴場も併設されていて、改めてここでゆっくりして癒される・・。
さて翌7月23日。まずはしっかりと朝食とした後、チェックアウト。
この日は今回の神仏霊場めぐりの本来の目的地である長谷寺に向かう。宿泊をJR奈良駅近くにしたのは、万葉まほろば線で桜井まで行けば、乗り換え1回で長谷寺駅に着くということもあった。近鉄奈良駅からだと、大和西大寺、大和八木と2回乗り換えになる。
8時ちょうど発のJR難波行きに乗る。といっても、万葉まほろば線~和歌山線~大和路線とたどる列車である。桜井に向かう分には問題ないが、大阪方面に向かうのは遠回りのルート。乗り間違える客がいなければいいが・・。
この万葉まほろば線の沿線には神仏霊場巡拝の道の札所も多い。これまでの回で一通り訪ねており、その時のことなども思い出しつつ車窓を眺める。土産に三輪そうめんでも買って帰るか・・。
これで何度目かの下車となる長谷寺に到着。時刻はまだ朝の9時だが、早くもムワッとした暑さを感じる。荷物をコインロッカーに預けたが、駅から寺までの1キロあまりというのが中途半端に遠く感じる・・・。