まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第12回九州八十八ヶ所百八霊場めぐり~特急「海幸山幸」で日南線を走破

2023年10月08日 | 九州八十八ヶ所百八霊場

九州八十八ヶ所百八霊場めぐり、南郷から宮崎まで「海幸山幸4号」に乗車する。1時間ほど前に回送された後、ホームにそのまま停車していたが扉が開く。

「海幸山幸」は2009年から運転されている特急で、毎日ではなく土日祝日や夏休み期間などを中心に運転のため、臨時列車の位置づけである。列車名は海幸彦、山幸彦から採られており、車両はかつて高千穂鉄道のトロッコ列車として走っていたが、災害からの復旧を断念して廃線となった後、JR九州に譲渡された。内装に木をふんだんに使っているということは・・・一目見て「水戸岡デザイン」とわかる。

ただ外観が独特なのは、側面にも木が使われていること。これらはいずれも沿線の飫肥杉だという。車両のコンセプトは「木のおもちゃのようなリゾート列車」だといい、レトロ感も出ている。

座席は1-2列で、2列席のほうが海側である。今回、早くに予約したので海側の席が取れたが、スマホで空席状況を見るとやはり海側は満員御礼のようだ。ただ、日南線の列車じたいが少ないためか、一部の席は自由席扱いとなっている。私が今回乗った2号車は「山幸」。

そして先頭1号車は「海幸」として、車内も海の色合いが使われている。

車内を一回りするうち、15時30分に発車。「ライオンズ南郷駅」で観光案内所の方の見送りを受ける。先ほど西明寺からの帰りにコンビニに立ち寄っており、テーブルを広げての呑み鉄とする。

先ほど訪ねた西明寺の境内を通過する。

続いて大堂津の河口の鉄橋を渡る。ここでは徐行運転となる。この辺りは海水も流れ込むところである。

大堂津で列車行き違いのため停車。今季は終了しているが駅前に海水浴場が広がるところ。

そして日向灘と「七つ岩(七つ八重)」の景色。何だか、車窓の見どころがいきなり来てしまった感もある。

いったん海と別れ、天福球場を車窓に見た後、油津に到着。宮崎行きの列車としてここから乗車する人もいて、乗車率も高くなった。

飫肥に停車。

この先は広渡川に沿って北郷を目指す。かつて、飫肥杉の水運で利用された川である。ここに来て雲が広がり、外も暗くなってきた。

客室乗務員が車内販売にやって来る。その中で目玉ともいえるのが、地ビール「太陽のラガー」。延岡の「宮崎ひでじビール」が製造しており、代表的なピルスナー。今年、アメリカで開かれた「ワールドビアカップ2023」において、銀賞を受賞したという。宮崎は焼酎だけではない。

北郷からは谷之城トンネルに入る。九州の在来線ではもっとも長い3670メートルあり、しかもずっと直線である。海岸と内陸をつなぐトンネルだが、日南線の中で最後に開業した区間である。

この日南線、現在は宮崎(南宮崎)~志布志間の行き止まり路線であるが、当初は都城~志布志の区間、そして志布志~北郷の区間が志布志線だった。逆に、南宮崎~内海の区間は軽便鉄道が全身の宮崎交通の鉄道線で、1963年に谷之城トンネルが開業したのに合わせて、南宮崎~北郷の区間に志布志線の志布志~北郷の区間を合わせて、現在の日南線となった。

先に触れたように、国鉄の終わりとともに志布志線(都城~志布志)が廃止となり、日南線は残ったが、もしこの区間全体が「志布志線」だったら、線区の運命はどうなっていただろうか。

客室乗務員が箱を手に座席に回って来る。鵜戸神宮の「運玉」にちなんで、箱の中から玉を一つ取り出す。当たりが出ると景品がもらえるとあったが、残念ながらはずれ。

トンネルを抜けた伊比井~内海間では鬼の洗濯岩に近づく。こちらでも徐行があるが、満潮のためか岩の姿はあまり見られなかった。

列車は青島に到着。往路では青島で下車して油津までバスで移動したので、これで日南線の全線に乗った形である。今回は鉄道の旅満喫だ。

対向列車が遅れているためしばらく停車するとのことで、ホームに出て改めて「海幸山幸」の外観を眺める。

後はこのまま宮崎まで乗るだけだ。この後の予定だが、宮崎に16時51分到着後、「B&Sみやざき号」で新八代に移動する。このバスがあるから、今回「海幸山幸4号」に乗ってもその日のうちに広島に戻ることができる。さすがに宮崎駅16時57分発の「B&Sみやざき334号」に乗り継ぐのは無理なので、その次の18時18分発「B&Sみやざき406号」を押さえていた。

しかし改めて「B&Sみやざき号」の時刻表を見ると、この路線は宮崎駅出発後、宮交シティバスセンターに停車する。そしてこの宮交シティ、実は南宮崎駅から徒歩5分ほどのところに位置している。・・ということで、「海幸山幸4号」は終点宮崎まで全区間乗車とはならなくなるが、南宮崎で下車すると、間に合わないと思っていた「B&Sみやざき334号」を宮交シティで捕まえることができる。そうすれば1本早い新幹線で広島に戻ることができて安心である。

JR九州の早割チケットで博多までの新幹線とのセットで購入していれば変更できない場合があるのだが、今回バスは「高速バスネット」でチケットレスにしており、幸い空席があったのでスマホから変更する。新幹線は最終の「さくら406号」の指定席券を持っていたが、自由席乗り継ぎでいいだろう。

ということで南宮崎で下車し、「海幸山幸4号」を見送る。これで日南線の旅がより印象深いものとなった。

途中の対向列車待ちで数分遅れての到着だが、変更後のバスには間に合いそうだ。今回で九州八十八ヶ所百八霊場めぐりのコマは南宮崎、あるいは志布志まで進んだということで、長々とした紀行文もようやく帰途に就く・・・。

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