現在、10月半ばの神仏霊場めぐりの滋賀編を書いている途中だが、やはりここはクライマックスシリーズである。
21日に行われたバファローズ対マリーンズのクライマックスシリーズファイナルステージ第4戦。バファローズが日本シリーズ進出を決めたこの試合を幸運にも京セラドーム大阪で観戦することができた。ということで、先に観戦記を書くことに。
21日朝に広島を出発し、鈍行と新快速を乗り継いで大阪入り。今回は青春18きっぷの秋バージョンといえる「JR秋の乗り放題きっぷ」を使用。遠征費用を抑えつつ、他の楽しみも交えてのことで、そのことはまた書くことにする。
京セラドーム大阪のエントランスに到着。早速壁には、パ・リーグ優勝記念のロゴがあしらわれており、多くの人が記念撮影していた。この後、クライマックスシリーズ優勝は通過点として、反対側の壁に日本シリーズチャンピオンの記念ロゴがあしらわれるのを楽しみにする。
スタンドに入る。ファンクラブの先行販売でチケットは早くに入手したが、その時は座席番号までは指定できなかった。しかしながら発券してみると、希望した内野上段席の中でも最前列という申し分ないところだった。グラウンド、スタンド全体が見渡せるところである。
ちょうど正面がマリーンズ応援席なのだが、クライマックスシリーズにあたり、ビジター応援席はレギュラーシーズンよりもエリアを狭めたように見える。もっともその分、ただでさえ熱心なマリーンズファンがより濃縮された形になり、試合中の応援のボルテージはレギュラーシーズン以上に感じた。
ホームの応援席を増やし、ビジターの応援席を減らす。これも、クライマックスシリーズにおけるホーム開催のアドバンテージといってもいいだろう。
話はそれるが、前日の20日、甲子園球場でタイガース対カープのファイナルステージ第3戦があった。この日、私は休暇で自宅にいたのだが、夕方の広島のローカル情報・ニュース番組にて試合前の甲子園球場からの中継リポートがあった(カメラの前にカープファンに集まってもらって・・・という中でキ〇ガイ・・・もといタイガースファンも割り込んできたのだが・・)。それによると、甲子園球場でのファイナルステージでビジター応援席は約700だったという。レフトスタンドの、ほんのわずかな空間。その中で、いやそれだからこそ熱いカープファンが集まっている!!と盛り上がっていたが、結果はご承知のとおり。
それに比べれば、バファローズ、いやパ・リーグ各球団はビジターにもまだ寛容だと思う。ただこの先、バファローズが日本シリーズに進出してタイガースと対戦するとして、ライト側、一塁側にも黄色い連中が湧いて出るのが間違いないだけに辛いものがある・・・。
さて試合前のビジョンでは、おすすめグルメの一つとして「BEER BAT(ビアバット)」を紹介していた。バットの形に作ったジョッキに注がれた生ビール。バファローズのリーグ優勝記念ロゴもあしらわれているということで、3500円(ここの生ビールは1杯800円)とお高めなのだが、記念グッズの一つということで一杯いただく。
現物がこちら。長さ約60cm、容量はビールの泡込みで500ml。「MADE IN USA」の文字もある。彼の国では結構広まっているグッズなのかな。材質はしっかりしており、応援用のメガホンと同じか、それ以上の硬さに感じる。だから使い捨てではなく普通にジョッキとして使える。この先、自宅での桟敷観戦で使ってみるのもよし、またいわゆる「野球居酒屋」に置いたら面白がられるのではないだろうか。富雄駅前の居酒屋さんあたり、いかがでしょうか・・?
もっとも、いざ「ビアバット」をスタンドで飲むと結構大変だ。バットのグリップを持ってそのまま持ち上げてのどに流し込むとサマになるのだろうが、混雑したところだと周りの人に当たりそうだ。
で、飲んでいる途中。最前列のドリンクホルダーはこの位置なのでちょうど立てかけておくことができた。材質もしっかりしており、後で水道で洗ってそのまま観戦土産に持ち帰る。また家で、これで一献やりながら野球観戦しようか・・。
いつもながら前置きが長くなっているが、スタメン発表。第4戦の先発は今季10勝ながらも故障明けの種市。故障者が多く、レギュラーシーズンに引き続き苦しい台所事情をやり繰りしてきたマリーンズ、第3戦は澤村を先発としたブルペンデーが設けられたほどだ。それでも、投手の小刻みなリレーで勝ち上がっているのは立派である。この日も種市もぶっつけ本番での登板で、また継投策でしのぐことになりそうだ。
バファローズ先発は宮城。打線では紅林が左手首の違和感でベンチ外となり、野口が入る。若月が捕手、森がライトという、日本シリーズも見据えた攻撃型シフトである。
さて試合開始。マウンドに上がった宮城は初回、荻野、藤岡、石川慎に対してまず三者凡退の立ち上がり。
1回裏、マリーンズ先発の種市に対し、一死から西野が四球で出塁。そして続く森の一振りはライトへ。下段客席に入る先制の2ランとなった。勝つか引き分けで日本シリーズ進出が決まるバファローズには大きな先制点となった。
4回表、マリーンズは石川慎、茶谷のヒットで二死一・二塁のチャンスを作るが安田が凡退。宮城もここまで時速90km台のスローボールも交えながら安定した投球を続ける中、ほっとしてベンチに引き上げる。
4回裏、マリーンズは種市に替わり、東妻が登板。この試合勝たなければシーズン終了という中だが、故障明けの種市に無理させず、予定通りの継投なのだろう。その東妻に対し、一死から杉本、宗に連続ヒットが出て一・三塁と追加点のチャンス。タオルチャンスとなるが、若月、ゴンザレスが続かず2対0のまま。
5回裏は森が登板。まずは三者凡退として早いテンポで試合が進む。
そして6回表、マリーンズは先頭荻野の二塁打、藤岡の内野ゴロで一死三塁とする。ここでいったん一呼吸を置き、宮城は石川慎、ポランコと打ち取ってベンチに戻る。途中、若月とグータッチし、ベンチ前でナインを迎える。
6回裏、先頭の森がレフトへの二塁打を放つ。続くセデーニョは凡退したが、杉本がレフトへの二塁打を放つ。これで3対0とリードを広げ、短期決戦を得意とする杉本らしさが出る。
7回表、マリーンズのラッキー7。応援エリアが狭められたことで応援旗も密集しており、繰り返しになるが、面積あたりの応援の熱さではバファローズに負けていない。
その7回表は、6回まで無失点の宮城から阿部に交代。バファローズのさまざまな継投パターンの中でこの投手を使ってきた。一死から安田にヒットを許したものの、後続を打ち取って無失点。そして、バファローズのラッキー7だ。
マリーンズのマウンドは森から東條に交代。こちらも前日に続きリリーフ陣を惜しみなく投入する。その東條に対し、一死から野口がヒットで出塁。続く中川がバントを決める。
次の西野のところで代打がコールされ、T-岡田が登場。スタンドからはこの日一番の拍手声援が起こる。ここ一番での代打だが、成績が成績だけに彼の打席がこの後いくつ見られるかというもあるし、かつて成績が上がらなかった時期からずっとチームを支えてきたし、ここ一番で期待を裏切らない「浪速の空砲」で空振り三振をするかと思えば、絶体絶命の場面でミラクルの一発も放つし・・。
この打席、粘った末にレフトへのヒットを放ち、二死一・三塁とチャンスを広げる。あわよくば追加点だったが・・。ここで代走が出て、ベンチからも選手が出てきて万雷の拍手で迎える。結局後続が倒れて追加点はならなかったが、ベテランのここでのヒットはこの先の起用にもつながるだろう。
8回表は山﨑颯が登板。ところが先頭の藤原にライトに運ばれる。これで3対1。マリーンズとしては反撃ののろしである。三塁ベンチでも吉井監督とハイタッチ。しかし山﨑は後続を3人で退け、何とか踏ん張る。
8回裏は元バファローズの澤田が登板。一塁側からも拍手が起こる。マリーンズではセットアッパー、時には益田に代わるクローザーも務め、見事復活している。まずは先頭の杉本を内野ゴロに打ち取るが、この時杉本は途中で走塁をやめて立ち止まり、そのままベンチに下がる。最初の一瞬、早々と走塁をあきらめたのかと思ったが、この時に足首を痛めてしまったようである。
そして9回、中嶋監督が送り出したのは平野。杉本のところにも交代が出た。
ここで先頭のポランコ。振り抜いた打球は見事に右中間へ。さすがはリーグ本塁打王である。これで3対2、試合だけ見ればまったくわからない展開となった。これでマリーンズが同点、いや逆転しようものなら、クライマックスシリーズの行方もわからなくなる。レフトスタンドも完全に息を吹き返した。
それでもここから抑えるのが平野で、代打の切り札・角中、シリーズ好調の安田を退け、迎えるは山口。
最後は三塁へのライナーとなり、試合終了。このシリーズ、接戦が続いたが見事(アドバンテージ込みで)3勝1敗tで日本シリーズ進出を決めた。よかったよかった!
試合終了後、まずはマリーンズの選手たちが挨拶で登場。よく見えなかったが、吉井監督がこのファイナルステージで登板機会がなかった佐々木朗に声をかける場面があったとか。ともかく、レギュラーシーズンのゲーム差を感じさせない接戦を連日繰り広げたマリーンズも大きな拍手である。
この後は中嶋監督のお立ち台。日本シリーズへの期待、そして、タイガースファンの多さに負けないバファローズファンからの応援も期待していた。よし、絶対に全員でタイガースに勝つぞ!!
しばらく間があり、選手、監督、コーチ、スタッフがクライマックスシリーズ制覇記念のTシャツ姿で登場。表彰式である。そういえば、2022年のクライマックスシリーズファイナルステージでホークスを破り日本シリーズ進出を決めた試合後、中嶋監督の胴上げがあったのを思い出す。もっともそれは、ペナントレース優勝が決まったのがビジターということもあり、またその前年は全日程終了後にリーグ優勝が決まったために京セラドーム大阪での夕観客での胴上げがなかったためのことで、今季は堂々と本拠地での優勝を決めただけに、今さらというところだ。
その中、まずはクライマックスシリーズ優勝記念の盾が中嶋監督に贈呈される。
そしてシリーズMVPは杉本と発表されたが・・8回裏の走塁で足を痛めたため表彰式にも出ていない。そこで代わりに前に出たのは石川。森、若月の陰に隠れてどちらかといえば縁の下を支える役割だが、ここはムードメーカーぶりを発揮して、あたかも自分が打って勝ったかのような堂々とした立ち居振る舞いにグラウンド、スタンドからも笑いが起こる。
選手間の投票による優秀選手賞には紅林が(こちらは自分で)受賞。杉本、紅林、シリーズ前の故障は不安材料で、何とか戻ってきてほしいところだ。
最後に記念撮影、そして阿部の発声によるクラッカーの打ち上げ。いや本当によかった。選手、監督、コーチ、ファンの皆さん、改めておめでとうございます!!
これでドームを後にする。このまま大正まで歩き、大阪に出て22時20分発の新快速網干行きに乗る。新快速の車内にもバファローズのユニフォーム姿の人をちょくちょく見たし、私はといえば、先ほど買い求めた「ビアバット」の頭がリュクから顔をのぞかせている。
23時すぎ、姫路で下車し、そのまま「ホテルアルファーワン姫路南口」。「JR秋の乗り放題きっぷ」を有効活用したとも言えるが、大阪の実家に行くわけでもなく、かといって新幹線で広島に戻るわけでもなく(最終の「のぞみ」で広島に戻ることもできた)、中途半端に姫路に泊まった理由はまた後で書くことにする・・・。
・・・後日談。気になっていたタイガースとの日本シリーズのチケットの先行抽選。結論でいえば・・・・28日の第1戦、何とか当選した。バファローズファンクラブの先行抽選予約というのがプラスに働いたと思うが、一方で(勝手な思いだが)各地の札所めぐりのご利益とも思うこともある。ともかく、熱戦期待・・・。