まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

朧月夜に妖しく心乱されて

2006-07-14 | 北米映画 20s~50s
 夏の不快害虫。気持ち悪いとは思うけど、怖いとは全然思わない。 
 ゴキブリなど、素手でも潰し殺せます。カメムシ、ハエ、アリ、ナメクジなど、即効で抹殺!
 そんな私でも、唯一怖い虫がいます。
 蝉。セミ。
 姿かたちが不気味...土中からドバっと出てきたセミの大群に襲われ、生き血を吸われてミイラになる...という、むかし読んだ怖い少女漫画が、トラウマになってるのかもしれません。絵がメチャクチャ怖かった。ウジャウジャと人間にたかるセミが、激キモかった。怖いもの見たさで、再読したいけど...
 死に向かっての狂った断末魔の叫びのようなセミの鳴き声も、怖い。夏の朝夕、道に転がっている蝉の死骸も、怖い。命は、こんなにも哀れに醜く終わるものでもあるなのだ、と思わせるから。
 そんな、セミに恐怖と不安を煽られる季節が、イヤです...

 「ピクニック」
 1955年のハリウッド映画。
 夏休み最後の日、町をあげてのピクニック(ていうか、お祭り)直前に、フラリと現れた男。彼のワイルドな風貌と陽気な人柄に魅せられる女たち...
 主人公の風来坊男、大学は出てみたけれど、取り柄は頑強な肉体だけ。まともな職にも就けずフラフラさまよっている、根無し草なハミダシ者。青年でもない、中年でもない、中途半端な年齢でもある。野放図で豪胆な振舞いも、でっかいことばかり言うのも、劣等感や不安、焦燥感をごまかすため。余裕はあるけど魅力はなく心の狭い人間たちに、その化けの皮を剥がされるシーンは、哀れすぎます。
 主人公だけでなく、ヒロインも他の登場人物たちも、みんな何らかの劣等感に苦しんでいるところが、この映画のミソ?
 ヒロインは、町一番の美貌だけど、自分はそれだけの女と自覚していて、みんなからは賛美されても一人の人間としては敬ってもらえないことに悩んでいる。似た者同士の風来坊とヒロインが、惹かれあうのも当然の成り行き。
 ヒロインの妹は、優等生だけど地味なガリ勉娘。美しい姉を軽蔑しつつ、強烈な劣等感も抱いている。
 風来坊の親友でヒロインの恋人の男も、親父に頭が上がらず、魅力的な風来坊を軽視しつつ嫉妬もしている。
 ヒロインの家を間借りしているオールドミスの女教師が、最強最悪!中年女の虚栄心&欲求不満の醜さときたら!ピクニックの夜に酔っ払って、風来坊を罵倒するシーンは、エゲツなさすぎて笑えるほどです。
 とまあ、様々なコンプレックスが、微熱を帯びて絡まり合うところが、面白かったです。
 風来坊役のウィリアム・ホールデンが、全編通して見事なまでに、ほとんど上半身裸!やたら脱いだり脱がされたりします。見せまくるだけある肉体美だけど、あの役には、ちょっと年を取ってる感じが。男前だけど、顔はブルドッグみたいに弛んでたし。
 バカみたいに天真爛漫で朗らかなキャラ、輝く金髪と笑顔、そして老いも若きも女たちの心をズキュン☆バキュンするナイスバディ。30歳ぐらい。あの風来坊は今だと、さしずめポール・ウォーカーかクリス・エバンズが適役でしょうか。10年前のブラピが、ほんとは最適なんだけど。
 ヒロインは、ヒッチコックの「めまい」などが有名な、キム・ノヴァク。ゴージャズ&妖艶!色っぽすぎて、田舎娘に見えません。フツーの男じゃ、圧倒されて手も出せない色香です。
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする