まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ぼんぼんのしきたり

2009-01-05 | 日本映画
 「ぼんち」
 市川雷蔵主演&市川崑監督の「炎上」に続くコンビ作。原作は、山崎豊子の小説。
 昭和初期の大阪・船場。老舗の足袋問屋の一人息子・喜久治は、放埓な女遍歴を重ねながら、たくましい商魂を培ってゆく...
 市川雷蔵、か、可愛い~今まで観た雷蔵の映画の中では、最高にキュートでした。雷蔵ってクールでニヒルな二枚目ってイメージですが、「好色一代男」とかもそうでしたけど、愛らしくてコミカルな役させても天下一品だったんですね。
 現代劇の雷蔵って、「炎上」とかもですが、何か可愛いんですよねえ。でも、やっぱどこかクールでミステリアス。すっとぼけて飄々としてる坊ちゃん役でも、芯の深いところは誰にも見せない掴ませないキャラにしてしまうところが、凡百のイケメン俳優とは役者のクオリティも格も違うな、と感嘆することしきり。それに、ほんと色っぽいの!別に過激なラブシーンしてるわけではないのに、ドキっとしてしまう動きや表情するんですよねえ。商売人な大阪弁も可愛かった。着物姿も上品で小粋。
 
 喜久ぼんのキャラも、ほんと可愛くて女にモテるのも理解できる。女たちには優しくて太っ腹、言いなりになり翻弄されているように見えて、実は女たちを上手に操縦しているところや、決して誰にも夢中になったりせず自分ワールドに生きてるところが、ただのヤリチンや不誠実な女好きとは一線を画し、人間の大きさを感じさせる喜久ぼんです。金を出し惜しまない遊びっぷりも、豪快だけど筋の通し方が律儀でスマートでもある。私も、あんな旦さんに囲われたいわあ。
 船場の商人ライフやルールなど、笑えるほど格式ばってます。妾の処遇とか、ほんと可笑しい。
 喜久ぼんをめぐる女たちが、みんな超個性的で魅力的です。
 何でもかんでも、しきたりしきたり!な喜久ぼんの祖母&母。エゲツない母娘ですが、何かズレてて笑えます。母役の山田五十鈴の、クネクネした甘えん坊ママっぷりがキモ笑!
 ちゃっかり者の芸者ぽん太役、若尾文子が可愛い!しっかり者の女将役、京マチ子の妖艶なこと!草笛光子、越路吹雪はブスだけど味のある存在感。愛人とはいっても、湿っぽさや粘着性ゼロ、ドライでノーテンキで逞しいところが、小気味よく痛快で楽しい女たちです。
 
 文芸作品でも、どこかモダンでスタイリッシュな演出が、市川崑監督らしいです。
 「ぼんち」がリメイクされるとしたら、誰が喜久ぼん役にピッタリだろう?う~ん、ぜんぜん思い浮かばないなあ。男前、イケメン俳優は仰山いるのになあ。演技が巧いだけじゃダメ、顔がキレイ可愛いだけでもダメ。雰囲気だけでもダメ。それに、品&ミステリアスさって今の俳優に最も欠けてる魅力だしねえ...
コメント (2)
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