まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

熟年探偵のフルムーン推理!

2009-01-18 | フランス、ベルギー映画
 「アガサ・クリスティの奥さまは名探偵」
 おしどり夫婦トミー&タペンスが活躍する人気シリーズのひとつ「親指のうずき」が、フランスで映画化されました。やはりクリスティ原作の「ゼロ時間の謎」と同じ、パスカル・トマ監督作品。
 好奇心旺盛なブリュダンスは、夫のベリゼールとともに老人ホームに住んでいる彼の叔母を見舞う。やがて叔母が急死し、彼女の遺品である絵画に胸騒ぎを覚えるブリュダンス。そして老人ホームで出会った老女が失踪したことを知った彼女は、事件のにおいを嗅ぎ取り捜査に乗り出すが...
 親指のうずき、とは、マクベス夫人の台詞からの引用で、不吉な予感のこと、だとか。
 好奇心のうずきに動かされて事件解明に奔走するブリュダンスと、そんな妻を心配しつつサポートするベリゼールの熟年探偵ぶりが、洒脱で愉快。事件の謎そのものよりも、夫婦の優雅な隠居生活や小粋なやりとりが楽しいです。スリリングなサスペンス劇場と勘違いして観ると、ヒーリングフィルムのような田舎の美しい自然の映像や、まったりゆったりしたムードに、うつらうつらと睡眠誘導されるので要注意。
 コメディですが、ここで笑え!なシーンはほとんどなく、何気ない表情や行動、会話や風景が何となくヘンで笑える、という感じ。ブリュダンスと娘婿の、何か噛み合わないやりとりとか。叔母の葬儀での馬の様子とか。老人ホームの情景は、かなりアブなくて大いに笑えますが。叔母さんのブリュダンスへの態度が珍妙。
 ブリュダンス&ベリゼールが、二人とも魅力的です。
 
 好奇心の塊で行動的、クールで皮肉屋だけど愛らしいブリュダンスは、こんな奥さんいたら退屈しないだろうな、と思わせるマダム。ベリゼールは、のんびりしてて優しくて、しかもエリートで金持ちな老紳士。婦唱夫随な二人の、死ぬまで枯れそうにない愛情も素敵。二人とも孫がいるのに、現役に男と女なところもスゴい。さすがフランス人。あんなに夫婦仲良く、あんなに素敵な田舎の屋敷で、精神的にも経済的にも満たされた老後、憧れます。
 ブリュダンス役のカトリーヌ・フロは、ほんと名コメディエンヌですよね。もし黒木瞳がブリュダンス役やったら、気持ち悪いブリッコおばさんになるだろうに、フロおばさまは可愛いけど颯爽としててカッコいい。ハリウッドや韓国なら悪趣味になるだろうブルジョワライフやファッションも、エレガントでシック。さすがフランス女優です。ところでフロおばさまって、オードリー・ヘプバーンに似てる?オードリーの美度を低くして、ファニー度を高くした感じ、みたいな。
 ベリゼール役のアンドレ・デュソリエも、まさに理想のロマンスグレーって感じ。ED無縁!ヴァイアグラ無用!な元気さも、さすがフランス男。それにしても売れっ子デュソリエおぢさま、働き者ですよねえ。
 謎の老女役で、むかし懐かしなジュヌヴィエーヴ・ビジョルドが。すっかり婆さんになってて吃驚!
コメント (2)
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