まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

どチンピラとヒゲ娘

2015-08-04 | イギリス、アイルランド映画
 お松の独りアイルランド映画祭⑤
 「ダブリン上等!」
 恋人のデアドラにふられ傷心の青年ジョンと、彼の友人で仕事をクビになったバス運転手ミックに、チンピラのレイフが強盗計画をもちかけてくる。そこに、デアドラの妹、レイフを目の敵にしている暴力刑事、デアドラの不倫相手の妻らが絡んできて…
 ジャンルとしては犯罪コメディに分類される作品でしょうか。ハリウッド映画みたいなトリッキーでド派手な場面も仕掛けもありませんが、フツーの一般市民が巻き込まれたり引き起こしたりする騒動が、ポップに愉快に描かれてます。特に主役はおらず、うだつの上がらない青年たち、不倫カップル、トラウマとヒゲがある娘、小悪党のチンピラ、ヒーロー気取りのマル暴刑事、夫に捨てられた人妻、といったメインキャラが、それぞれ独立した話を展開しているうちに、だんだんつながっていくという内容。メインキャラはなかなか個性的で、ユニークな群像劇になってます。メインキャラの生活や人間関係、人生への不満や鬱屈に満ちたやりとり、ビミョーにコワレててズレた言動や思考が笑えます。

 それにしてもアイルランド人って…ほんと気がいい人々、そして血の気が多すぎる人々ですね~。のんきでのんびりしてるけど、すぐカっとなってプッツンして好戦的になる。その落差が激しすぎて、結構めんどくさい、疲れる国民性です。あと、この映画でも思いましたが、アイルランド人の勤労意欲のなさには驚かされます。ジョンやミックのテキトーすぎる怠け者ぶり、レジの女の接客態度のいい加減さ。勤勉な日本人からすると、その怠惰さは異常。そして、治安の悪さもショッキング。ドちんぴらのレイフなんか、まさに野放しにされてる狂犬だし。バスに石を投げてくる悪ガキとか、凶悪すぎてゾっとしました。あんな連中フツーにいそうなダブリン、何か行くのが怖くなってきた
 レイフ役のコリン・ファレルが、めっちゃ可愛いです。

 アイルランドのドちんぴら役だなんて、コリンに最も似合う役。女でも平気で殴る鬼畜なクソ野郎なんだけど、何か愛嬌があってアホっぽくて、憎めないんですよ。凶暴なのに何かいつも悲しそうなところも、キュンとくるコリンです。故郷のダブリンでイキイキと楽しそう、そして可愛いコリンでしたが。レイフみたいな奴とは、絶対ぜったい出くわしたくないです!

 ジョン役は、コリン同様ハリウッド映画でも活躍しているアイルランド俳優、キリアン・マーフィ。まだちょっと少年っぽくて、ナイーブにダメ男な彼も可愛いかったです。コリンとキリアンのからみを、もっと見たかったかも。カフェでコーヒーにソース入れて飲むキリアンに、コリンがウゲゲありえねー!みたいな顔しつつ、美味いからやってみと言われて恐る恐る飲むシーンが、何か微笑ましくて好きです。あと、ラスト近くでレイフが暴力刑事に追いつめられる草原?の風景が、すごく美しかったです。アイルランドの緑って、透明感がありますよね~。
 メインキャラのひとり、ヒゲ娘がインパクトあるのですが、もっと彼女を活かしてもほしかった。元カレにベッドに縛りつけられて胸にウンコされ、数日間放置されていた、という壮絶すぎる過去が強烈すぎて笑えた。そんなことされたらトラウマ、男性不信にもなるわな
 後に衝撃の秀作「BOY A」を撮ったジョン・クローリー監督は、なかなか才気ある演出家なのではないでしょうか。

 ↑コリンの新作は、ジェシカ・チャステイン共演、ストリンドベリの舞台劇を映画化した“Miss Julie”や、レア・セドゥ共演のファンタジー“The Lobster”など。早く日本でも公開されないかな~
コメント (2)
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