「顔のないヒトラーたち」
1958年の西ドイツ、フランクフルト。ジャーナリストのグルニカは、元ナチス親衛隊員が小学校の教師をしている事実を突き止める。グルニカの告発に心揺さぶられた若き検事ヨハンは、周囲の反対を押し切り調査を進めるが…
ナチスドイツの非道さ、残虐さを描いた映画は枚挙にいとまがありせんが、この映画も悲痛で重苦しい内容でした。アウシュヴィッツの悲劇、人間がやったこととは信じられない、信じたくない。日本人の私でさえ耐えがたい気持ちに襲われるのに、当事者のドイツ人にとっては…と察するに余りある。恐ろしい恥ずべき過ちは、どこの国も背負っていますが…ナチス時代のドイツ人のユダヤ人虐殺は、人類史上最大級の禍根。この映画では、ドイツ人がドイツ人を断罪しなければならない悲劇を描いていて、時間が経っても決して忘れられない、癒えない傷の深さ、痛みに暗澹となってしまいました。
アウシュヴィッツの真実が、おぞましすぎて…それを再現するシーンとかはなかったのが、少し救いになりましたが…収容所の生き残りであるシモンが語る、彼の双子の娘に施された悪魔の人体実験とか、やめてー!と耳を塞ぎたくなった。ナチスの残虐行為だけでなく、罪を問われることなく平然と社会生活を送っている元ナチスの人たちと、彼らによって生き地獄を味わった被害者が、戦後の社会で表面的には何事もなかったように共生しているという事実にも、衝撃と恐怖を覚えました。悪魔の所業に及んでいた元ナチスが、金持ちの実業家とか尊敬される教師とか親切なパン屋さんとか、平和で豊かな生活を送っていたり。あんな地獄を体験して、気も狂わずに生きてる被害者もそうですが、厚顔無恥という表現では足りないような元ナチスも、人間って強い生き物なんだな~と戦慄。
怖かったのは、そんなに遠い昔のことではないのに、戦後のドイツ人の多くがナチス時代に関して無知無関心だったこと。主人公のヨハンや若い人たちが、アウシュヴィッツのことを知らなかったのがショッキングでした。そして、ナチス時代をよく知る人たちの、臭いものには蓋をしろ!的な考え方や生き方にもゾっとしました。あまりにも重い辛い過去ゆえに、蒸し返したくない、ほじくりかえさないで!という気持ちは解からないでもないけど、隠蔽や忘却するにはあまりにも大きく深い罪業。無知無関心、そして沈黙することの罪深さも、あたらめて思い知りました。
表面的には平和な世の中になってるけど、ナチスは決して根絶されておらず、影のようにそこかしこに存在している…ヨハンや仲間たちが受ける妨害や圧力に、戦後ドイツ社会の暗部を思い知らされました。信じがたかったのは、ナチスの高官や人体実験を指揮した医師が、手厚く保護されていたこと。“死の天使”と恐れられていた悪魔の人体実験ドクター、メンゲレの追跡劇もサスペンスフルに描かれていますが、スルリと堂々と追尾をかわすメンゲレに、いったい世の中どーなってるの、とヨハン同様に観客も絶望感に苛まれてしまいます。
メンゲレのような大物は逃しながらも、小物はじゃんじゃか捕まえていくヨハンたち。捕えても反省どころか罪悪感のかけらもなく、ナチスの面影をうかがわせる被告人たちは、悪人を成敗してる!という勧善懲悪気分にさせてくれません。ガス室に送ってやる!と罵る元ナチスの老教師とか、三つ子ならぬナチスの魂百まで、みたいで怒りよりも虚しさを覚えました。元ナチスがみんな絵に描いたような極悪人という描写は、ハリウッドのサスペンス映画っぽい分かりやすさですが、ほんとはもっと複雑で悲しい事情が被告人側にもあったんだろうな~。もし私が当時のドイツでフツーのドイツ人として生まれてたら、果たしてナチスを全否定して生きられたでしょうか…ヨハンだけでなく、当時のドイツ人、そして観客も出口が見つからず踏み迷ってしまう歴史の闇は、この映画のオリジナルタイトル通りラビリンス(迷宮)のようです。
主人公の若き検事ヨハンを演じたのは、アレクサンダー・フェーリング。いま注目の独逸イケメン
いや~めっちゃカッコいい、ていうか、可愛かったです!ブロンドで長身で優しく端正な顔立ちは、昔話の王子さま風。ちょっとアーミー・ハマー似?アーミーくんをさらに爽やかにスウィートにした感じ?背が高いけど、スラ~っとスレンダーではなく、ドイツ人らしくガッチリ骨太なイカちー体格なのもポイント高し。ちょっとだけ脱いでましたが、いいカラダしてました!すごい優しそうで誠実な雰囲気、困難にも屈せず突き進むタフネスも、まだ世の中の汚さ醜さに染まってない青年の若さ、美しさと強さであふれていて、年寄りには眩しい爽やかなキラキラ感。
スーツも似合ってましたが、カッコいい車ではなく原チャリ!乗り回してるのが可愛かった。どのシーンも爽やかでカッコいいのですが、家族や恋人までナチスと無関係ではなかった事実に打ちのめされ、ボロボロになってしまう姿が切なくて胸キュン。もうあかん!というところまで落ち込みながらも、正義と希望を信じて立ち上がる勇姿も、清々しくて感動的でした。それにしても。あんなイケメン検事が裁判に出廷したら、法廷はザワつくだろうな~。毎日傍聴に行っちゃいそう
↑アレクサンダー・フェーリング、1981年生まれの34歳。「ゲーテの恋」も好評みたいでしたが、何と!彼は現在、アメリカの人気TVシリーズ「ホームランド」に出演中!クレア・デーンズの恋人役なんだとか。くわー!デーンズさんよぉ~!実生活ではヒュー・ダンシー、仕事ではフェーリングくんかい!?何か腹立つわー
1958年の西ドイツ、フランクフルト。ジャーナリストのグルニカは、元ナチス親衛隊員が小学校の教師をしている事実を突き止める。グルニカの告発に心揺さぶられた若き検事ヨハンは、周囲の反対を押し切り調査を進めるが…
ナチスドイツの非道さ、残虐さを描いた映画は枚挙にいとまがありせんが、この映画も悲痛で重苦しい内容でした。アウシュヴィッツの悲劇、人間がやったこととは信じられない、信じたくない。日本人の私でさえ耐えがたい気持ちに襲われるのに、当事者のドイツ人にとっては…と察するに余りある。恐ろしい恥ずべき過ちは、どこの国も背負っていますが…ナチス時代のドイツ人のユダヤ人虐殺は、人類史上最大級の禍根。この映画では、ドイツ人がドイツ人を断罪しなければならない悲劇を描いていて、時間が経っても決して忘れられない、癒えない傷の深さ、痛みに暗澹となってしまいました。
アウシュヴィッツの真実が、おぞましすぎて…それを再現するシーンとかはなかったのが、少し救いになりましたが…収容所の生き残りであるシモンが語る、彼の双子の娘に施された悪魔の人体実験とか、やめてー!と耳を塞ぎたくなった。ナチスの残虐行為だけでなく、罪を問われることなく平然と社会生活を送っている元ナチスの人たちと、彼らによって生き地獄を味わった被害者が、戦後の社会で表面的には何事もなかったように共生しているという事実にも、衝撃と恐怖を覚えました。悪魔の所業に及んでいた元ナチスが、金持ちの実業家とか尊敬される教師とか親切なパン屋さんとか、平和で豊かな生活を送っていたり。あんな地獄を体験して、気も狂わずに生きてる被害者もそうですが、厚顔無恥という表現では足りないような元ナチスも、人間って強い生き物なんだな~と戦慄。
怖かったのは、そんなに遠い昔のことではないのに、戦後のドイツ人の多くがナチス時代に関して無知無関心だったこと。主人公のヨハンや若い人たちが、アウシュヴィッツのことを知らなかったのがショッキングでした。そして、ナチス時代をよく知る人たちの、臭いものには蓋をしろ!的な考え方や生き方にもゾっとしました。あまりにも重い辛い過去ゆえに、蒸し返したくない、ほじくりかえさないで!という気持ちは解からないでもないけど、隠蔽や忘却するにはあまりにも大きく深い罪業。無知無関心、そして沈黙することの罪深さも、あたらめて思い知りました。
表面的には平和な世の中になってるけど、ナチスは決して根絶されておらず、影のようにそこかしこに存在している…ヨハンや仲間たちが受ける妨害や圧力に、戦後ドイツ社会の暗部を思い知らされました。信じがたかったのは、ナチスの高官や人体実験を指揮した医師が、手厚く保護されていたこと。“死の天使”と恐れられていた悪魔の人体実験ドクター、メンゲレの追跡劇もサスペンスフルに描かれていますが、スルリと堂々と追尾をかわすメンゲレに、いったい世の中どーなってるの、とヨハン同様に観客も絶望感に苛まれてしまいます。
メンゲレのような大物は逃しながらも、小物はじゃんじゃか捕まえていくヨハンたち。捕えても反省どころか罪悪感のかけらもなく、ナチスの面影をうかがわせる被告人たちは、悪人を成敗してる!という勧善懲悪気分にさせてくれません。ガス室に送ってやる!と罵る元ナチスの老教師とか、三つ子ならぬナチスの魂百まで、みたいで怒りよりも虚しさを覚えました。元ナチスがみんな絵に描いたような極悪人という描写は、ハリウッドのサスペンス映画っぽい分かりやすさですが、ほんとはもっと複雑で悲しい事情が被告人側にもあったんだろうな~。もし私が当時のドイツでフツーのドイツ人として生まれてたら、果たしてナチスを全否定して生きられたでしょうか…ヨハンだけでなく、当時のドイツ人、そして観客も出口が見つからず踏み迷ってしまう歴史の闇は、この映画のオリジナルタイトル通りラビリンス(迷宮)のようです。
主人公の若き検事ヨハンを演じたのは、アレクサンダー・フェーリング。いま注目の独逸イケメン
いや~めっちゃカッコいい、ていうか、可愛かったです!ブロンドで長身で優しく端正な顔立ちは、昔話の王子さま風。ちょっとアーミー・ハマー似?アーミーくんをさらに爽やかにスウィートにした感じ?背が高いけど、スラ~っとスレンダーではなく、ドイツ人らしくガッチリ骨太なイカちー体格なのもポイント高し。ちょっとだけ脱いでましたが、いいカラダしてました!すごい優しそうで誠実な雰囲気、困難にも屈せず突き進むタフネスも、まだ世の中の汚さ醜さに染まってない青年の若さ、美しさと強さであふれていて、年寄りには眩しい爽やかなキラキラ感。
スーツも似合ってましたが、カッコいい車ではなく原チャリ!乗り回してるのが可愛かった。どのシーンも爽やかでカッコいいのですが、家族や恋人までナチスと無関係ではなかった事実に打ちのめされ、ボロボロになってしまう姿が切なくて胸キュン。もうあかん!というところまで落ち込みながらも、正義と希望を信じて立ち上がる勇姿も、清々しくて感動的でした。それにしても。あんなイケメン検事が裁判に出廷したら、法廷はザワつくだろうな~。毎日傍聴に行っちゃいそう
↑アレクサンダー・フェーリング、1981年生まれの34歳。「ゲーテの恋」も好評みたいでしたが、何と!彼は現在、アメリカの人気TVシリーズ「ホームランド」に出演中!クレア・デーンズの恋人役なんだとか。くわー!デーンズさんよぉ~!実生活ではヒュー・ダンシー、仕事ではフェーリングくんかい!?何か腹立つわー