まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

親が子どもの重荷になる時

2016-10-07 | 北米映画 80s~90s
 「恋のじゃま者」
 仕事も順調、セックスライフも気ままに楽しんでいた敏腕広告マンのデヴィッドは、両親の突然の離婚に困惑する。彼らに生活を乱されながらも、デヴィッドは距離ができていた家族の絆を見つめ直すが…
 最新作「ハドソン川の奇跡」も好評のトム・ハンクス、当時30歳、1986年の主演作です。トム・ハンクスの出演作の感想をUPするたびに、同じこと言ってますが…大傑作「ビッグ」を頂点とした、80年代のトム・ハンクスのカッコカワイさは、まさに神ってる!この映画のトムも、可愛い!カッコいい!そして当然ながら、若い!今はデップリした貫禄たっぷりなハリウッドの大御所ハンクス氏ですが、80年代のトムはスマート&スウィートなイケメン

 トム・ハンクスの明るいけどノーテンキとは違う、ちょっとヒネったユーモア、キャラなところが好き。あの大真面目な顔で面白いこと言ったりしたりするのが、オチャメで独特なんですよね~。ひどい目に遭いまくって困惑したり、プッツンして怒鳴りまくるトムの表情や声が笑えます。トボけた顔、演技だけど頭脳明晰なトムは、仕事がデキる都会的で有能な役が似合います。女にモテモテな役も当然。H大好きなヤリチン男役でも、トムだとゲスにならないです。

 デヴィッドが仕切るCM製作の過程や現場、80年代の広告業界の様子も興味深く楽しかったです。あと、80年代といえばの懐かしいファッションも、今あらためて見るとなかなか衝撃的(笑)。キャリアウーマンのバブリーな衣装やアクセサリー、メイクが時代を感じさせます。
 デヴィッドの職場がすごく楽しそう。トム・ハンクスみたいな愉快でカッコいい上司がいたら、仕事も楽しいだろうな~。デヴィッドの部下たちも、みんな味だしてました。何とかハゲを隠そうと必死なヅラ社長が、特に笑えた。顔じたいは男前で、ヅラなんかかぶらなくても全然イケてましたけど。
 
 仕事や恋愛はコミカルに描かれていたのですが、デヴィッドと家族の話は結構シリアス。邦題と内容が一致してません。デヴィッドの恋を邪魔する人なんて出てきませんし。恋じゃなくて、人生の邪魔者ならピッタリ。老いた親が子どもの人生を不安定にする、という怖い映画なんです。両親の離婚の原因とか、かなり救いようがなく陰惨で笑えません。熟年離婚って、怖いわ~。飛び出した妻は自由を取り戻して、元気いっぱいに第2の人生をエンジョイしてるのに、出て行かれた夫のみじめさときたら。世の中の旦那さんたち、あんまり横暴で自分勝手だと、いつか捨てられちゃうのでご用心。まだ若いうちだといいけど、老いてからだとほんと悲惨…
 デヴィッドと親父の葛藤や溝も、じっくり描けばかなり暗く悲しい話になってたでしょう。いちおうコメディなので、そこのところがサラっと避けられてました。でもデヴィッド、いい息子すぎ。ナンダカンダで両親に優しく献身的だったし。私なら、両親を責めるだろうし、ヘタすりゃ絶縁ですよ。ソレハサテオキ。高齢化社会、老いた親が子どもの負担、重荷になる厳しい悲しい現実は、決して他人事ではありません。老いた両親との関係、という重いテーマはコメディ向きではないような。無理やりコメディにしたような違和感が拭えませんでした。親父と知り合いたいと、デヴィッドが休職して老父の車いすを押すラストシーンは、心温まるどころかデヴィッドを待ってる辛い介護生活の始まりとして、暗澹となってしまいました…
 後に大ヒット作「プリティ・ウーマン」を撮ったゲイリー・マーシャル監督作品。トムの代表作「ビッグ」のペニー・マーシャル監督とは兄妹だったんですね~。
コメント (4)
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