まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

友だちが上九一色村にいました

2017-12-08 | ドイツ、オーストリア映画
 「コロニア」
 1973年のチリ。ジャーナリストのドイツ人ダニエルは、勃発した軍事クーデターにより反体制分子として連行されてしまう。ダニエルの恋人レナは、拷問の果てにコロニアと呼ばれる宗教施設に強制収容されたダニエルを救い出すべく、入信を装ってコロニアに潜入するが…
 実話だとは、にわかに信じがたい…と言いたいところですが、あのオウム事件を体験した私たち日本人にとっては、嫌な既視感を覚えずにはいられない悪夢映画でした。上九一色村のサティアンとか、ヘッドギアをした信者とか、奇怪で異様な光景を、この映画を観たら思い出してしまいます。拷問としか思えない修行や、教団幹部に支配・管理された非人間的な生活、そして欲望にまみれた邪悪な教祖…おぞましさ、非情さはオウムと酷似しています。オウム以上に非道だったのは、教団施設内で行われていた人体実験や毒ガス(サリン!)製造が、国家がらみだったこと。「NO」とかでも描かれてたけど、チリの軍事政権の極悪さには戦慄せずにはいられません。どこの国にも忌まわしい恥ずかしい黒歴史はありますが、チリのそれは世界最悪のひとつなのでは。あんなメチャクチャなことがまかり通ったのが、そんなに遠い昔じゃないという事実にも暗澹となってしまいます。

 オウム信者もそうでしたが…コロニアに自ら進んで入信して、あんな奴隷生活に黙従する信者たちが、不気味で不可解すぎ。理解できない自分に安堵です。宗教き◯がいって、ほんとヤバいですよね~。オウムと違って、外部の無関係な人に害を及ぼすことがなかったのが、せめてもの救いでした。コロニアの教祖は、オウムのグルに比べたら一見フツーのおっさんでしたが、女嫌いで女に暴力的なサドで、少年を性的に弄ぶ変態、とか麻原以上に醜悪でした。
 決死の脱出劇がこの映画の見どころとなってるようですが、結構あっさり逃げることができて肩すかしでした。助かると分かってはいても、もっとハラハラドキドキな演出にしてほしかったかも。
 レナを演じたエマ・ワトソンが、なかなか好演してました。教祖やババアシスターから、男を惑わす危険な女!と目される設定に???でしたが、「美女と野獣」よりは可愛く見えた。スッチー姿もキュートでした。ラブシーンや下着姿になるシーンがあるのですが、ぜんぜん色気なし。美女設定には甚だ疑問ですが、気が強そうだけど性悪っぽさはなく、若い女優にありがちな媚や自意識過剰もなく、聡明そうで毅然としたところには好感。キラキラなプリンセス系ヒロインだと何か違う…だけど、気丈で不屈な戦うヒロインだとピッタリ。
 ダニエル役は、大好きなダニエル・ブリュール。

 可愛い!大きい犬みたい!優しい熊みたい!ムチムチした体つきも好き。抱かれ心地よさそう!裸エプロン姿など、明らかにファンサービス。セクシーなケツでしたダニブリュももう40になるというのに、若く見えますね~。まだまだ青年っぽいです。誠実で真面目そうだけど、タフで情熱的な役が似合うのは、やはりドイツとスペインのハーフだからでしょうか。この作品でも、流暢な英語、ドイツ語、スペイン語を駆使してました。コロニア内で生き延びるために、脳に障害を負ったフリをしてるダニブリュの幼児退行演技が、めっちゃ可愛かったです。

 極悪教祖役は、「ミレニアム」シリーズで知られる、ハリウッドやフランス映画でも活躍していたスウェーデンの国際俳優ミカエル・ニクヴィスト。憎々しい悪人、キモい変質者っぷりでした。善人役も悪役もハマる名優。残念なことに、今年亡くなってしまいました。あらためてご冥福をお祈りします… 
 極悪教祖が、実はナチスの残党で、戦後も外国でのうのうと、さらに残虐なことをしていた、という史実には、本当に驚かされました。しかもこの悪魔の変態教祖、捕まっても死刑にならず、病院のベッドで安らかに死んだとか。悪はいつか滅びるなんて嘘?正義って、いったい?

 ↑可愛かったダニブリュも、すっかり大人のいい男に成長。いつの間にか一児のパパになってました。「ユダヤ人を救った動物園」が、もうすぐ日本公開!
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする